11/17
6、正体①
引退した次の日、私の靴箱には、一通の手紙が...
今日の放課後、3階の物置部屋の隣に来い。七時を超えてから。裏口から入れる。道を開けておいてやる。
「...まさか」
その唯一の可能性に、私は何度もその手紙を読み返す。
「きりーつ」
「れーい」
終礼が、終わる。
「ありがとうございましたー」
終わった。
みんながばらばらに教室を出たりしゃべったりしてるのを片目に、私はダッシュで教室を抜け、階段を駆け上がる。
3階。
3階の、物置部屋。
今ーーーーあの場所には。
「ほら...」
やっぱり。
私は今、自分がたどり着いた廊下をもう1度確認する。
ここは、確かに3階。
物置部屋がある。
その横は。
「まだないよってことね...」
扉もノブもない、ただの壁であった。
放課後、七時過ぎ。
「物置部屋の隣に、音楽室が現れる」