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シスコンリーマン、魔王の娘になる  作者: 石田ゆうき
第4章 国境の外へ。戦いのはじまり
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044 魔族殺し

 雪が積もった大地を三人が走る。

 すべてが真っ白で、どこが道なのかもわからない。


「あ~、それにしても恥ずかしいわ。複数の街を治める大貴族ともあろうものが、配下にすがりついて泣くなんて。私なら自殺してるわね」


 横を走るシグネが話しかけてきた。

 ……実のところ、朝起きてからずっと彼女にからかわれているのだ。フィアはあんなにいい子なのに、なんで姉の方はこんなに性格が終わっているのか。


「うるさいのじゃ! しゃべるヒマがあるなら、もっと早く走れっ」

「そうでちゅか~。早く走ると赤ちゃんには辛くないでちゅか~?」


 クソ、かっこうの餌を与えてしまった。

 まあ、たしかに昨日のオレはブザマだった。なんであんな精神状態になったのかいまだによくわからない。ディニッサの人格が表にでたのだろうか? けど、夢で会うディニッサはぜんぜん平気そうなんだよなあ……。


「だいたい泣いてなにが悪い! わらわは200歳にもならぬお子様なのじゃぞ。さびしくて泣いちゃったって不思議はないのじゃ。むしろその程度のことは、わらわのチャームポイントだと言ってもいいくらいじゃ!」


「あらやだ、恥ずかしげもなく開きなおったわ」

 シグネがわざとらしく口に手を当てた。ムカつく。


 こんな風にやりあっているが、体は高速で移動している。時速100kmは出ているだろう。魔族でなければできない芸当だ。……激しい向かい風の中でも会話できてしまう能力はいらなかったが。


 オレとシグネはずっとやりあっているが、デトナはほとんど口を開かなかった。デトナは浅黒い肌のダークエルフで、寒さに弱いということはあるのだろう。だがもっと直接的な理由は、昨日の出来事だろう。


 オレの方も気まずくてデトナには話しかけづらい。そういう意味では、イヤミなシグネがいてくれたのは良かったのかもしれない。感謝する気にはなれないけど。



 * * * * *



 その日、五つ目の街が見えてきた。

 いままではすべて素通りしてきたが、そろそろお腹も減ってきた。


「シグネ、あの街で昼食にせぬか?」

「そうね。さすがにだいぶ疲れたものね」


 わらわはぜんぜん疲れてないがの。そう言いかけてやめた。疲労がないのは事実だけど、皮肉に皮肉を返してもしょうがない。大人として、余裕を持った態度でのぞまなくては。



 * * * * *



 オレたちは、その街の領主館を訪れた。

 この世界にレストランはない。パンや焼いた肉は店先で買えるが、食べる場所を探すのが難しい。落ち着いて食事をするなら、この選択がベストだろう。


 領主は魔王の娘だった。外見はシグネとそっくりで見分けがつかない。彼女は城にいた娘達と違って、まともな服を着ていた。やはり、時間を持て余したせいでファッションがおかしな方向に先鋭化した、という仮説は当たっている気がする。


 領主館では、これからの旅についての情報を得ることができた。この大陸最南端の港まで、あと1500kmほど。すこし速度を上げて夜まで走って、最後の街でまたソリを借りれば、明日の朝までには辿り着けそうだ。


 オレが予定を告げるとシグネが嫌そうな顔をした。

 デトナもじゃっかん引いている。


「……もっと急ぐの? 無理しすぎじゃないかしら」

「おしゃべりする余裕があったんだから、大丈夫じゃろ」


 急ぐのには理由がある。領地が心配でしかたないのだ。一日でも早く帰りたい。 ルオフィキシラル領はわりと、オレのワンマン経営だ。オレなしでうまくまわるか非常に疑わしい。


 ここに来る寸前に、トレッケ一族が傭兵として加わってくれたが、それさえも今は懸念材料になってしまった。オレの留守中に反乱が起きる可能性もある……。


「なんじゃ、同じ魔王の娘なのにだらしないの。わらわに出来ることが出来ぬか」

「……っ。出来ないなんて言ってないわ」


 反応がかんばしくなかったので、挑発してみた。案の定、あっさり乗ってきてくれた。あとは……。横のデトナをみると、あきらめ顔をしていた。まあ、なんとか頑張ってくれるだろう。



 * * * * *



 午後からはオレが先頭で走っていく。大陸の南側は、街道沿いに街路樹が植えてあって、道がわかりやすかった。気温も少し暖かいように思える。


 朝と違って会話はほどんどない。シグネも無駄口を叩くゆとりはないようだ。

 少し不思議だった。三人の中で、一番貧弱な体なのがオレだ。それなのにどうしてオレだけ疲れがすくないんだろう?



 * * * * *



「そろそろ休憩するかの?」

「……」


 どちらからも反応がなかった。休み無しでもっと走りたいのか?

 振り返ると、そうではない事がわかった。シグネもデトナも、しゃべる気力もわかないくらい疲れきっているようだった。


「すまぬ。すこし急ぎすぎたようじゃな?」

「……べ……べつに……平気よ……。たいしたこと、ないわ……」


 あきらかに平気じゃない様子でシグネが言った。やせ我慢にしてもたいしたものだ。デトナは無言で雪の上に座り込んでしまった。


 ……しかし、同行者をこれほど疲労させてしまったのは、オレの失態だな。あせりすぎてまわりが見えなくなっているようだ。よく考えると、昼から休息もせずに日暮れまで走ってしまった。


「……? あれ、ディニッサ様……。太陽が見えるんですけど……」

「いやいや、さすがにそれはないじゃろ。そなた、幻覚まで見え出したのか」


 デトナが虚ろな目で、オレの後ろの方を指差している。もう太陽は沈んでいるのだ。もちろ朝日がのぼるまでにはたっぷり時間がある。オレがデトナを介抱しようと近づいた時、シグネのうめき声が聞こえた。


「幻覚なんかじゃないわ……。よりによってこんな時に……!」


 シグネの切羽詰まった態度につられて、オレもデトナが指差すほうを見てみた。すると彼方の山あたりに、赤く光る丸いモノが浮かんでいた。まわりが真っ白なだけにひどく目立つ。


「シグネ、あれはなんじゃ」

「フェニックス……。この大陸では最強クラスの魔物よ……」


 逃げよう、と言いかけてやめた。オレはともかく、二人は休憩しないと満足に走れないだろう。


「やむを得ん。ヤツが去るまでどこかに隠れるのじゃ」

「ダメよ……。あれは別名、魔族殺しと言って、魔力を探して襲ってくるの……」


 逃走も、潜伏も無理なのか。なら、戦うしかない。

 問題は戦えそうなのがオレ一人しかいないってことだな……。あいつ、シロより強いのかなあ。



「もしかして、戦う気でいるの……? 無理よ、三人とも元気だったとしても、フェニックスに勝つのは難しいわ……」


「そう言っても、ほかに手がなかろう。とっととヤツの情報を教えよ」

「……。私も戦ったことなんてないから、間違ってても文句言わないでよ……」


 その時デトナが、オレたちの間に割り込んできた。


「ディニッサ様だけなら、逃げられるんじゃないですか……?」

「却下。仲間を見捨てて逃げられるわけないじゃろ」


「いつ私が……、あなたの仲間になったというのよ……」

「そなたはデトナのついでじゃ」


 性悪女だとはいえ、彼女もフィアの姉だ。見殺しにはできない。

 息も絶え絶えのシグネが少し笑ったようだった。


「フェニックスは、上空を飛びながら広範囲に炎をばら撒くわ……。空を飛ばないかぎり接近戦は無理ね……。火系魔法は無効、水系も効きにくい」


 失敗した。こんなことなら、ちゃんと武器を持っておくべきだった。テパエで作った大砲を、秘密兵器として隠していたのが裏目にでてしまった。戦闘訓練の時だけじゃなく、ふだんから持ち歩いておけばよかった……。


 実はオレも飛ぶことは出来る。小さいながら羽があるし、空中戦の訓練もかなりやっている。だが羽だけで飛ぶことができる魔族はほとんどいない。飛行にはかなりの魔力を使うのだ。今回はやめておいたほうがいいだろう。


「よし、わかったのじゃ。デトナとシグネは、最後に通った街に戻れ」

「一人で戦うつもりですか……?」


「敵が範囲攻撃するなら、大勢いても的が増えるだけじゃろ。むしろ足手まといじゃ。そなたたちは、街の者にフェニックスのことを伝えよ。わらわは、状況を見て一つ前の街に戻るか、逆に先の街にいくか決めるつもりじゃ。朝までに戻らなかったら、そなたたちは次の街まで来るがよい」



 * * * * *



 雪原で一人、フェニックスを待ち受ける。

 上空に浮く火の玉がどんどん大きくなってきた。まっすぐオレの元に向かってくるようだ。デトナたちが狙われなくて、まずは一安心といったところか。


『オーラセカンド5分』

『ダイヤモンドランス1秒』


 強化した体でダイヤの槍を投げつけた。

 けれど槍は、敵に当たる前に消えてしまった。これはフェニックスの特殊能力というわけではない。思ったより敵との距離があっただけだ。


 ダイヤモンドランス1秒の射程は、約500m。敵が空を飛んでいるせいで、距離感がうまくつかめなかった。またフェニックスが想像より大きかった、ということでもある。


 強化魔法を無駄にするのも惜しい。オレは走ってフェニックスに近づくことにした。近づくにつれ、あたりを照らす光が強くなる。本当に太陽のようだ。


『ダイヤモンドランス2秒』


 ある程度距離をつめてから、ふたたび槍を放った。

 こんどは当たった。フェニックスを包む炎が一瞬陰る。時間的に、射程ギリギリ1kmほどといったところか。


 2秒もかかるような遅い攻撃をかわせなかったことから、フェニックスの回避能力はたいしたことがないことがわかった。これがシロなら、無傷でよけていたはずだ。オレは長距離戦で片を付けることに決めた。


『グランフェッテ2秒!』


 練習した魔法を発動する。これはダイヤモンドランスを、32本連続で撃てるように調節した魔法だ。バレリーナのように回転しながら槍を放つのだ。オーラセカンドで三半規管も強化されているため、回りながらも正確に目標を狙い撃てる。


 1秒ほどで32本の槍を投げ、さらに1秒後にはすべての槍がフェニックスに突き刺さった。フェニックスから血が噴き出る。だがその傷はすぐに治ってしまう。


 まあ想定通りだ。この程度で倒せるとは思っていない。

 ……とはいえ、今ので逃げてくれれば助かったのだが。しかしフェニックスはスピードを上げて突っ込んできた。


 これでもう一つ情報が手に入った。敵には500m以遠で使えるような攻撃手段はない。現在距離500。近づかれる前になるべくダメージを与えたい。ふたたび魔法を発動する。


『グランフェッテ1秒』


 一回転、二回転……。コマのよう一周するごとに、一本づつ槍を放っていく。十三、十四……。炎に包まれた巨鳥がどんどん近寄ってくる。予想より早い。二十六、二十七……。


 その時、世界が真っ赤に染まった。

 刹那に服が燃え尽き、体も焼け焦げる。皮膚が炭化と再生をくり返し、体中がアイスピックで刺されているように痛む。


「グハッ」


 悲鳴が漏れたと同時に、火が肺に入った。体の中と外から炎に焼かれ──



 * * * * *



 ……気づくと地面に倒れていた。あわてて状況を確認する。

 傷は治っているが、服は塵になったようだ。一糸まとわぬ姿になっていた。

 魔法のマントがなくなったせいで、気温の変化をじかに感じる。凍える雪原だったその場所は、サウナのように蒸し暑くなっていた。


 大きな円形に雪がとけ、大地がむき出しになっていた。かなりの広範囲への火炎攻撃をくらったようだ。空から爆音が聞こえる。フェニックスがゆっくりと旋回して、こちらに向き直ろうとしているのが見えた。


 気絶していたのは、ほんの一瞬だったらしい。

 どうしよう……? 思ったより敵がヤバイ。これ以上戦うのは危険か?


「よし、逃げるのじゃ」


 オレは後ろを向いて走りだした。靴も無くなってしまったため、焦げた大地で足が焼ける。しかし強化魔法で痛みも緩和されているため、たいしたことはない。


 1秒で焦げた大地を脱出し、雪が積もった平原に入る。チラリと振り向くと、フェニックスをかなり引き離していた。さらに1秒。雪に足を取られ、少しスピードが落ちる。もう一度敵の位置を確認した。


 ──炎のかたまりが、さっきより大きくなっていた。

 まずい。回避と方向転換は遅いけど、直線の飛行速度はめちゃくちゃ速い!


 これで敵を倒すしか、生き残る道が無くなってしまった……。


 しかしオレは攻撃せずに、相手の様子を観察することにした。さっきはグランフェッテ中に攻撃をくらったせいで、何が起きたのかまったくわからなかった。敵の攻撃方法と射程を確認しないといけない。


 距離500、400……。進むごとに、フェニックスは速度を増していく。ソニックブームが発生していることからして、音速はとっくに超えているが、まだトップスピードには達していないらしい。


 300、200……。オレは体を右に向け、顔だけで敵を見て待ち構える。

 100──


 フェニックスの炎が膨れ上がるのが見えた。オレはすぐに全速疾走を始める。

 また世界が真紅に燃え上がった。全身が焼け焦げる。しかし足を止めずに疾走を続けた。1秒かからずに敵の攻撃範囲から抜け出せた。


 爆風にあおられながら、フェニックスを見つめる。巨大な火の玉となった敵が衝撃波を出しながら飛んでいく。敵を中心に、半径150mほどの激しい炎が荒れ狂っているようだ。その炎結界が1秒ほど続いた。


 どうやら自分のまわりをすべて焼きつくすという、大雑把な戦いをするようだ。

 ……空を飛んで接近戦を挑んだりしないでよかったな。きっと、持続時間いっぱいまで炎を食らって灰になっていただろう。


 全周囲攻撃のため隙はない。だがあれだけ炎を垂れ流しているんだ。消費魔力は莫大になるはず。おまけに飛行でも、かなり魔力を使っているだろう。敵の攻撃をまともに喰らいさえしなければ、勝機はある……!


 ファイトプランはかたまった。

 オレは後ろを向いて走りだす。もちろんこれは逃走ではない。

 計算通り、フェニックスがスピードを上げて追いかけてきた。


 500、300……。距離が縮まってくる。

 200──


 敵の射程距離すこし前で、百八十度ターンした。

 そしてフェニックスに向かって全速で走る。


 炎の射程は150m。ただし上空からの攻撃なので、じっさいに地上を焼く範囲はずっと狭い。100mくらいか? オレを追ってきたフェニックスは、音速をはるかに超えるスピードで飛んでいる。攻撃を喰らう時間はわずかだ。おそらく0.1秒ほど。さらにオレが反対に走ることで、もっと攻撃時間を減らせる。


 まばたきする間より早くフェニックスの真下にたどり着いた。まだ炎は発射されていない。完全に攻撃タイミングをはずすことができたようだ。そのまま足をとめずに走り抜ける。かなり敵との距離ができたころに、後方から爆風がきた。振り返ると巨大な火の玉が見えた。


 よし、成功だ! こんどはノーダメージで切り抜けられた。

 すぐさまフェニックスを追いかけて走る。槍で攻撃しないのは、このままだと当てることができないからだ。槍よりもフェニックスの飛行速度のほうが速い。槍は敵に追いつけずに消えるだろう。


 追ううちに、フェニックスが右に旋回をはじめた。速度が落ちる。


『グランフェッテ2秒』


 大きく弧を描いて飛ぶフェニックスに、32本の槍が突き刺さる。


『グランフェッテ2秒』


 思ったより旋回が遅い。もう1セット槍を叩き込んでやった。

 血しぶきがあがる。傷は治ってしまうが、その再生速度はだいぶ落ちている。

 一撃で戦車を壊せそうな槍を、もう120本くらい当てているんだからな。そろそろくたばってくれないと困る。


 また追いかけっこが始まった。すでにヤツにも罠だということはわかっているだろう。だが全速で追ってこないわけにはいかない。敵がスピードを緩めるなら、こっちは作戦目的を打倒から逃亡に変えるだけだからだ。


 もう一度同じことが繰り返された。今回はフェニックスの発火タイミングが適切で、すこし炎を受けた。けれど、ほんの一瞬なのでダメージはあまりない。戻ってくるフェニックスに64本の槍を撃つ。

 ……なんか3Dアクションゲームみたいだな。


 三度目、距離やタイミングは完全につかんだ。ターンからダッシュに移る。

 ──しかし慣れてきたのはオレだけではなかった。


 すこし油断していたかもしれない。これはゲームではないんだ。敵が同じパターンで行動してくれるはずがない。フェニックスは、オレのターンとともに、急速降下をしかけてきたのだ。そのまま地面にぶち当たりそうな凄まじい速度だ。


 この時、オレは迷ってしまった。

 敵を無視して全力で走れば、またうまく通り抜けられていたかも知れない。けれど落ちてくるフェニックスの威圧感におびえて、速度を落としてしまった。


 激しい音とともにフェニックスが地面に激突する。場所はオレのわずか前方。


『鉄壁1秒!』


 厚さ1mはある分厚い鉄の壁をとっさに建てた。同時に爆炎があたりを覆い尽くす。壁は正面からの火をすこしだけ防いでくれたが、横からまわりこんできた炎がオレの皮膚を焼く。体がバラバラになりそうに痛い。


『氷結1秒!!』


 次に自分を中心にまわりを凍りつかせようとする。凍傷も覚悟しての魔法は、しかしそれほど効果がなかった。氷は瞬間的に蒸発してしまったのだ。そこで、さらに絶望的なものを見てしまった。


 さっきまでドロドロに溶けていた鉄の壁が消えているのだ。つまり、すでに1秒は過ぎているということ。けれどいっこうに炎が弱まる気配がない。そう。いままで1秒しか使わなかったからといって、それが限界とは限らないんだ……!


 こうなれば敵から離れるしかない。しかしそれもできないのだ。

 手も足も、とっくに溶けてなくなっている。走るどころか、這うことさえできない。優先して再生がかかっている分、頭だけはダメージが少ないが、それも地獄の苦しみを長引かせるだけかもしれない……。


 魔力はほとんど再生にまわされ、息もできず、激しい熱でうまく考えることもできない。何秒耐えたのかわからないが、火はまったく衰えない。


 ついに目の再生が間に合わなくなり、世界が闇に包まれる。視力が失われると共にオレの意識も朦朧となった。


「鳥ごときがッ。調子に乗るなよ……!」


 ──気を失う寸前。

 オレじゃない誰かが、ディニッサの声でしゃべるのが聞こえたような気がした。

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