第七話「盗賊撃退」
「てめぇら!動くんじゃねぇぞ!」
盗賊の親玉が、声を張り上げ、言ってくる。言われんでも動かねぇっつの。さて、どうしたもんか。下手に動いたら危ないよなぁ。
いま、俺たちの隣に馬車、それを複数の盗賊に囲まれている状況だ。
んで、下手に動くと奥に控えてる弓持ってるやつにズドン…詰んだかな?うぅむ、どうしたもんか…
「へへへ、手こずらせやがって、どうしてやろうか。」
そうこう考えてるうちにも、盗賊たちは囲んだまま距離を詰めてくる。
ん?囲む?……あぁこうすりゃいいか。
「″囲め″″氷壁″」
「うおっ!?なんだぁ!?」
俺は、スライム戦でも使用した氷壁を、馬車と俺たちを囲むように配置した。高さは三メートル位なので、これで盗賊たちは近づけない。弓を射ってるやつがいるが無駄無駄、矢なんぞで傷つくかっつの、意外と頑丈なんだよな、この氷。
「くっそ、どうなってやがる!」
「これでよしっと。さて、それじゃお頭さん?ちょっと話しねぇか?」
「あぁ!?」
おおこわ、まぁ手出しは出来ないからな、ビビるようなことはない。
ここからは俺のステーz…やめておこう。さて、交渉だ交渉。
「こっちとしては争うつもりとかないから見逃してくれないかな?」
「はぁ!?なにいってやがる!?確かに手出しはできなくなったがそりゃぁてめぇらも一緒だ!こっちが引く理由はねぇ!」
ふむ、まぁ確かに普通はそう考えるよな。だったら…
「"落ちろ""氷塊"」
「うおっ!?なんだ!?」
盗賊たちの頭上に氷の塊を作って落とす。あてる気はなかったから簡単によけられたけど。見事にビビったなぁお前ら…
まぁそれはいい、話を続けようか。
「これでわかったか?」
「な、なにがだ!」
「別にやろうと思えばお前ら殺せるんだぞ?それでもまだ俺たちを諦めてくれないのか?」
「ぐっ。」
今だ強気を保とうとする盗賊に、俺は脅しをかける。
まぁプラフだけどな、人死になんて見たくもない。ていうかエリーがやらせんだろう。これでやけになってきたらめんどくさいわけなんだが。
「…行くぞてめぇら」
「へ、へい!」
うっし、帰ってくれるみたいだな。あぶねぇあぶねぇ。
盗賊たちはそのまま姿を消した。
「あ、ありがとうございました。盗賊に追われてもうだめかと…」
「いえ!困ったときはお互い様です!」
馬車の所有者であろう商人風の男が礼を言ってくる。それに応対するエリー…お前何もしてねぇだろ。
どうやら商人は隣町から荷物を運ぶ途中で襲われたらしい。普通護衛をつけるんじゃないかともおもったが、どうやら近頃平和だったので、けちったらしい。それは運の悪いことで。
「そ、それでですね?ここで出会ったのも何かの縁。王都まで護衛してはいただけませんでしょうか?もちろんお礼はさせていただきますので。」
「あぁ、いいですよ。こちらとしてもありがたいですし。」
これ以上歩くのはあれだからな、それにお礼をくれるって言うし、悩む必要はない。ちなみにエリーは物珍しそうに馬車を引いていた馬を見ていた。
「では出発いたしましょうか。」
そして、俺たちをのせた馬車は王都とやらへむけて、動き出した。




