第六話「一難去って」
連休ということで、毎日あげていきたいと思います。
その後、何度かスライムとの戦闘を挟みながら歩いていると、やっと街道を見つけれた。長かった。
「やっと見つかったか。」
「そうですね、長かったです。」
俺たちはちょっとした達成感を感じながら、次のことを考えることにした。
「んで、どっちにいこうか?」
「どっちにしましょうか。」
当たり前だが、街道はそれぞれ逆側に延びていっている。片方はそのまま草原をずっと進む、もう片方は...遠くに森が見えるな。
「よし、森の方にはいかねぇ、こっちだ。」
「ちょっと待ってください」
森はいやだ、絶対めんどくさい。そう考えた俺は即決で森とは逆方向に進もうとしたのだが、エリーに止められた。なんだよ。
「あれ見てください。」
「ん?どれ?」
エリーが指差した方向をじっと見てみると、なんか森の方から馬車?が出てくるのが見えた。お、ラッキー。
「ちょうどいい、ここで待って乗せてもらえるか聞いてみよう。」
「そうですね、さすがにこれ以上歩くのはちょっと…」
「だよなぁ、俺は今日車のありがたさを学ばされたよ。」
「あはは…」
そんな雑談をしていると、馬車が近づいてきた。
手をふってこっちの存在をアピールしようとしたが、俺はある異変に気づいた。
「なぁ、あれ、おかしくね?」
「え?何がです?」
「いや、なんか速度だしすぎな気がする。馬、全力疾走してるし。」
そうなのだ。普通は、馬を歩かせて荷物を運びそうなものだが、あれは走っている。ていうか手綱持ってる人が必死な顔して走らせてる。なんかあったんかね。
乗り手の人は俺たちに気がつくと、馬を走らせながら、俺たちに向けてこう叫んだ。
「た、助けてください!盗賊に追われてるんです!」
「…はい?」
一瞬何を言われたか理解できなかったが、すぐに馬車の後ろの方から「まちやがれー!」という声が聞こえ、状況を理解した。
どうやら、あの馬車は盗賊に狙われているようだ。
「クオンさん!」
「あぁ、わかってる。」
俺とエリーはお互いの言いたいことを理解しているようだ。そして、声を揃えてこういった。
「「逃げるぞ(助けましょう!)」」
「「……え?」」
あれ?いまなんかおかしくなかった?
俺とエリーはお互いの顔をみて、
「「逃げる(助けます)よな(よね)?」」
疑問をぶつけた。うんだめだこれ、前言撤回、俺たちにお互いの理解なんぞない。
「な、なにいってるんですか!?普通助けますよね!?」
「お前こそなにいってんだ、俺らにそんな力あるわけねーだろ。」
「いやあるでしょう!?何のための魔法だと思ってるんですか!?」
「この世界で楽に生きるためのもの、決して人を助けるものではない。」
「ぐぬっ、な、なら私だけで行きます!もう知りません。」
「おういってら」
「そこは止めましょうよ!?お前だけ行かせられるかとか言いましょうよ!?」
「いやしらんよそんなお約束。そもそもーー」
「てめぇらいい加減こっち気づけやぁ!」
二人で言い争っていたらなんか怒られた。んだよこんな時に…
「よくもまぁこんな状況で言い争えるもんだなおい?」
気が付いたら馬車と盗賊たちに囲まれていました。マジですか。
「これで助けるしかなくなりましたね!」
エリーがニコニコしながらそういってくる。ムカつく。
つーか、そんな堂々と敵対宣言してんじゃねーよ。
盗賊たちめっちゃ警戒してんじゃねーか。不意打ちもできねーよ。
はぁ…どうするかね。




