第39話「何この状況」
『驚異の排除を終了。所有者に行動権を返還。』
「…え?」
気が付いたら、俺は剣を振り切ったような体制でいて、中二は俺の前で倒れている。中二が倒れているところには血だまりが広がっていた。
「…何この状況?」
「お、おいクオン?大丈夫なのか?」
そうつぶやくと、アーサーが話しかけてきた。
「あ、あぁ、大丈夫だけど…これどうなってんだ?」
「…覚えてないのか?」
俺の問いかけにアーサーが驚いたような目を向けてくる。覚えてない?…どういうことだ?
俺はアーサーに聞いてみた。アーサーはこういった。
「お前が切った。」
「うん、もうちょっと詳しく言えやこの脳筋。」
んなもんこの状況見れば誰でもわかるわ。
アーサーは「脳筋…」と落ち込んだ様子で話を続ける。
「お前がそいつに切られそうになったと思ったら、お前がいきなり剣を振りぬいてそいつを切ってた。」
…あぁうん、大体分かった。そういやオートとかなんとか聞こえたなぁ。
「つまり聖剣のせいってことだな。」
「…謎の説得力があるな。」
大体チートなものがあるとこういうからな。OOなら仕方ないって。
ということでもう気にしないでおこう。俺は助かった。それでいいじゃないか。
「さて、これで魔物は片付いたってことでいいんかね。」
「たぶんなぁ。そいつが生み出してたっぽいし。」
「…結局のところこいつはなんだったんだ?」
「…さぁ?」
いいながら、俺たちは中二をみた。
「「…は?」」
そこにはごく一般的な?村人風の男性が倒れていた。え?中二は?黒マント+銀仮面という痛い服装の中二は?
「…う、うぅ」
この男性は息があるようだ。いやんなこたぁどうでもいい。中二はどこ行った。
そうおもってあたりを探してみたら、男のそばに中二がつけていた銀仮面が落ちていた。
「…なんで仮面だけ。」
そうつぶやきながら俺は仮面に触れた。…触れてしまった。
「おぉっ!?」
仮面に触れた手から、何か吸われるような感覚がし、俺はすぐに手を放した。仮面はそのまま地面に落ちるが、ふわっと浮き上がって俺たちの目線と同じくらいの高さに上がった。
「「…は?」」
…うん、なんだろうね今日は。一生分驚いたんじゃねぇの?
そんなことを考えていたら、突如こんな声が聞こえた。
『す』
「「す?」」
どこから聞こえてくるかわからない音に対して、俺たちは相槌を打った。
『すっばらしぃいいいいいいいいいいいいい!』
「「おおっ!?」」
いきなり大音量の音声が響いた。え、マサカマサカソンナソンナ。
もしかして仮面がしゃべってるんですかね?
『素晴らしいなおぬし!不完全とはいえ我を倒したうえで、それほどまでの純度の魔力を蓄えているとわ!』
「…俺?」
『そうだ!おぬし以外に誰がいる!』
とりあえず仮面がしゃべってることは確定として、なんかこいつの言い方嫌な予感するぞぉ?
『よし、おぬし!我の所有者となれ!ともに魔王道をつきすすもうぞ!』
ほらきたーテンプレテンプレ…でもないかな?まぁ予想通り。
「いやでs」
『だまりなさい魔具風情が』
「うおっ!?」
断ろうとしたとき、切られる前に頭に響いた声が聞こえた。声のほうを見ると、
『彼はすでに私の所有者です。負けたやつは引き下がりなさい。彼は私とともに勇者道を往くのです。』
聖剣が浮いてしゃべっていた。いや、口ないからしゃべってるはおかしい気がするがな。
………。
「「…はぁ?」」
…二度あることは三度あるというのは本当らしいな。




