第38話「ピンチ?」
「えーと、なんだあれ?」
「さぁ?…親玉っぽくはあるが…」
おれとアーサーは、聖剣の力ですっきりした荒野に突如現れた黒いナニカ…めんどくさいから中二としとこう。それをずっと見ていた。向こうもそのままつったって動かないかと思っていたら、
「…。」
中二は手を前にだす。すると、その手に体のオーラのようなものが集まり、地面に落ちる。そしてそのオーラが蠢き、段々とある形をかたどっていく。それは先程見た魔物のものだ。そしてその魔物は十匹くらいになり、こちらに向かってくる。
「親玉だったな。」
「見た感じあれを倒せば終わりそうだな。」
「だな。」
え?俺らの反応が薄いって?そりゃしかたないよ。こいつ出るまでに何回驚いたことか。もう何が起きても驚かねーね。
「と、いうことで聖剣さんおなしゃーす」
そういいながら俺は聖剣を振り下ろした。途端また、光で視界が真っ白になる。だがしかし、今回はわかっていたのでムスカルことはない。
「目がー!目がー!」
…訂正、ただし脳筋は別である。何してんだこいつは…
まぁいい、これであの中二も消えただろ…
そう思いながら俺は、中二がいたところを見た。
そこには真っ黒な球体があった。
「…は?」
どういうことだってばよ。え、もしかしてあれ中二?なにあれ、ガード形態的なやつ?…どう考えてもそうなんだろうなぁ。だって、球体が消えて中から中二が出てきたもん。聖剣の力防ぐとかなにそれチート。
「…。」
そして中二は、こちらに手を向け、変わらずオーラを放出する。そのオーラは形をかえ、槍のような形になり、こちらに飛んでくる…ってちょっとタンマ!
「"防げ""氷壁"」
とっさに壁を作って槍を受け止める。しかし止めたはいいが、その槍は今までほとんどの攻撃をはじいてきた壁に突き刺さった。あ、あぶねぇ、まじかよ…
「…。」
これではだめと考えたのか、中二は、放出するオーラの量を増やし、槍の数を増やしていった。その数ざっと20本。単純計算でさっきの20倍だ。まてまて死ぬ死ぬ!いくら壁さんでもそれは無理無理!
「…。」
中二は変わらず無言で、その槍を飛ばしてきた。あ、これオワタ。
「くそっ!"連なれ""氷壁"」
今度は壁を何重にも作り出す。しかし槍はとまらない。壁を貫通しながら、少しずつ少しずつ進んでくる。やばいやばいやばい!
「クオン!聖剣つかえ!」
アーサーがそう叫ぶ。そうだった!聖剣があったんだった!
「よいしょぉ!」
俺は聖剣を振りぬき、槍を光で消し去る。あ、あぶねぇ…。
…俺はその時、安堵感で油断していたのだろう。だから、聖剣の光を受けつつ、突き進んでくる中二に気付けなかった。
「え?」
「クオン!」
気が付いた時には中二が手に持った剣で俺を切ろうとしていたところだった。
(やばい、死ぬ。)
そんな時、こんな声が聞こえた。
『所有者の生命の危機を感知。オートで防衛に移ります。』
「え?」
そして俺は意識を落とした。




