第36話「聖剣TUEE」
「ーーほら次来たぞ!」
「あいよっとぉ!」
一閃、それだけで数十はいた魔物が跡形もなく消し飛ぶ。いやぁ、聖剣って便利だわ。え?盗品?知るか、使えるもんは使う。
「にしても、アーサーよ。」
「ん?」
おれは聖剣を盗んだ犯人、アーサーに声をかけた。
「よくそんなドでかい岩?をくっつけたまんま振れるな。」
「おれは力だけは自信があるからな。」
ふむ、脳筋か。聖剣を盗んだ理由も魔物を退治するためとか言ってたし、後先考えないやつか。あの子供がいってた約束とかはこいつなんだろうな。なぜ盗むんじゃなく相談をしなかったのか。それを聞いてみたら、
「…っ!その手があったか!」
はい脳筋けってーい。
俺がそんな失礼なことをかんがえていたら、また魔物が集まってきた。数十ではもう太刀打ちできないと学んだのか、今度は三桁は行きそうなほどできた。しかも奥にまだまだ控えているのが見える。
「またか…てかどっから出てくるんだあいつら」
「そだなぁ、まぁ全部けしちまえばもんだいねぇ!」
はい脳筋発言いただきました~。聖剣があるから半ば実現できそうなのが困る。てか完全にマークされたなぁ。その分エリーたちが安全に避難できるからいいけども…。
「よっしゃいくぞー!」
アーサーが再び聖剣を振り上げ光を放とうと振り下ろす。
しかしなにもおこらない。
「「…あれ?」」
「い、いまのはちょっとしくった。もっかい…」
そういって再びアーサーが聖剣を振り下ろす。
しかしなにもおこらない。
「お、おい?」
「い、いやいや、大丈夫だ」
そういってまた振り下ろす。三度目の正直!
しかしなにもおこらない。
「「…」」
これはあれかな?
しかしえむぴーがたりない。
何のネタだったかな…言ってる場合ちゃう。
「おいぃいいいいいいいいいいいい!?」
「お、おおおおちつけ!大丈夫だ!残り4ケタくらい聖剣の力なくても…」
「無理だろぉ!?」
好機と思ったのか、魔物たちが駆け出してくる。ちょ、タンマ!
「"阻め""氷壁"」
壁を作って敵の進行を止める。壁万能説。こればっかり使ってるな。
「ちょっとアーサー!聖剣貸せ!俺が振る!」
「お、おう。」
アーサーは聖剣を地面に置く。そして俺はその柄をつかみ、
「よいしょぉおわ!?」
重そうだったので思いっきり振り上げようとしたら、意外と軽くてしりもちをついてしまった。
なんだ、あの台座そんなに重くなかったのな。発泡スチロールみたいなもんだったのか。
そんなことを思いながら俺は立ち上がろうとした…が、
「え?」
目の前にはその台座の岩が転がっていた。…まさか
「…」
俺は恐る恐る手元を見た。そこにはやはり聖剣があった。しかし見ての通り、台座の石は目の前、剣先には何もついてない。これはつまり…
考え込んでいたらアーサーが話しかけてきた。
「聖剣、抜けちゃったんじゃね?」
…うっそだろおまえ。




