第35話「犯人」
「″貫け″″氷槍″」
「グァア!?」
襲いかかってくる園児と同じ大きさ位の…ゴブリンだろうな、それに向けて氷の槍を作り出し、撃ち出す。そしてそれは綺麗にゴブリンに向けて飛んでいき、突き刺さる。うぇえ…気持ち悪。
「っと、″阻め″″氷壁″」
「ギャン!?」
顔をしかめていた間に飛びかかってきた狼に対して、壁を作り妨害する。魔物は一瞬怯んだが、そのままゴブリンなどと共に壁を叩いて破壊しようとする。
「ばーか。″突き立て″″氷槍″」
俺は壁に手を触れ、命じ、壁から槍を突き出す。壁を叩いていた魔物たちはそのまま貫かれ、絶命する。
「うわぁ…」
自分でやっておいてなんだが、アップでみたためか、超気持ち悪い。とくに刺さっているのが氷だから、うっすらと中身が…うっぷ。あぁ気持ち悪。さて、敵さんの残りは…
「…うわぁ」
見なきゃよかった。結構倒したはずなのに、全然減ったようにみえねぇ。村人の方は大丈夫か?これ絶対いくらかあっちいったよな…。といってもこっちも一人でやるのはそろそろ限界がなぁ…え?何で一人なのかって?最初に魔法使ったことで、そのまま戦ってたらいつのまにかこうなったんだ。その場の勢いって怖いね。
*
「″貫け″″極光″」
「えいやぁ!」
こちらによってきた魔物を魔法で吹っ飛ばします。リナちゃんは雷を見にまとって殴る蹴るの猛攻です。早くて目で追えません。お陰で村人の皆さんは安全に移動できているんですが…。
「エリーさん!またきました!」
「むっ?」
むぅ、減らしても減らしても向かってきます。私の魔法がもうちょっと広範囲に広がればいいんですが…。いってても仕方ないですね。
「さぁきなさい!一匹一匹消し去ってやります!」
「その必要はねぇよ。」
「えっ?」
*
「クオンさーん!」
「ん?」
吐き気をこらえながら戦っていたら、名前を呼ばれた。エリーだ。リナもいる。
「えいやっ!」
「ギャオン!?」
リナは雷を見にまとい、殴って蹴って、エリーに近づく魔物を撃退していた。
…何してんだあいつら。村人の護衛頼んだのに…
「魔物からはなれてくださーい!」
「はっ?」
「はーやーくー!」
「お、おう…″阻め″″氷壁″」
言われた通り、魔法で壁を作ってから魔物から距離を取る。すると…
「はっ?」
突如放たれた光が魔物を飲み込んだ。そして光が収まったあと、そこには魔物はいなかった。…どう言うことだってばよ。
「ふぃー、やっぱ疲れるなこれ…」
声が聞こえ、その方向を見てみると、剣先に大きな岩?をつけた奇妙な剣をもった青年がいた。どうやら彼が今のをやったらしい。
「あんたもお疲れさん。村の皆を守ってくれてサンキュな」
青年が笑いながら話しかけてくる。しかし俺は反応できず、彼が持っている剣をじっと見ていた。
すると、青年が、
「これか?すげぇだろ?振るだけで今みたいな光を打ち出せるんだぜ!」
得意気にいってくるが、俺はそれを無視し、こう問いかける。
「それ、聖剣?」
「そうだけど?」
「……」
王様、聖剣泥棒見つけましたよ…。




