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神に向かってI want you !  作者: 真田 蒼生
最終章「最後に試練を」
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第34話「しかしまわりこまれてしまった」

魔物が来た。

その知らせは先程まで苦しめられてきた人たちにとっては、パニックに陥るには十分なものだった。


「ひぃっ!」「いやだぁ!」「もうだめだ、おしまいだ…」


様々な悲鳴をあげながら、村人たちは逃げ惑う。なかには武器をとって戦おうと言うものたちもいたが、先輩方が止めていた。


「全員聞いてくれ!」


先輩冒険者の一人が、


「我々が魔物の足止めをするから避難をしてくれ!何人か護衛をつける。そこに立っている女性のところにあつまってくれ!」


と、避難誘導を始める。村人はゆっくりとだが、避難を始めた。

村人が避難を始めるなか、


「ほら!はやくいくわよ!」

「いやだ!おれは兄ちゃんと約束したんだ!」


と、言い争っている親子がいた。


「まだいってるの?あの人は来ないわよ!」

「嘘だ!俺たちを助けるって、約束したんだ!」


ふむ、訳がわからんが子供が行きたくないといっているらしい。


「もう!はやくいく!」

「わっ!」


結局最後は大人の力にものを言わせてだっこしてつれていかれた。


「なにしてる、エリーちゃんたちと一緒にお前も避難だ。というかお前の魔法は防御に向いてそうだしな。」

「あ、わかりました。」


言われた通り、おれも避難誘導をしているところにいくことにした。



「ーーあの人たちは大丈夫でしょうか。」

「…すくなくとも、経験がない俺たちよりは大丈夫じゃねぇかな?」


村から少し離れた街道を歩きながら、俺とエリーは話していた。

エリーは何度も村に残った人たちの心配をしている。


「ま、気にしててもしゃあないし、俺らは俺らで村人の護衛を頑張ろうぜ。」

「…そうですね。わかりました!私、がんばりまーー」

「クオンさん!エリーさん!大変です!」


そんなときに、リナが慌てたように走ってきた。なんだ?


「どうした?」

「ま、魔物がこっちにも…っ!」

「どこだ?」

「あっちです!」


リナが指差した方向に走っていく。


「なっ!?」


そこで、こちらに向かってくる魔物の群れを見た。数十、いや、数百くらいだろうか、それくらいの数が近づいてきていた。


「ひぃっ!」「なんで!」「村にいったんじゃないのか!?」


村人たちも騒然とする。

そんなとき、しびれを切らしたのか、魔物の群れから数匹ほど、こちらへ走ってきた。狼の魔物のようで、動きはなかなか早い。


「″阻め″″氷壁″」

「ギャン!?」


俺は速攻で魔物の進行方向に壁を作った。魔物はうまい具合に壁にぶつかり動きが止まる。そして、


「「グルァアア!」」


最初の魔物を皮切りに、魔物の軍勢が、押し寄せてきた…。

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