第33話「まじすかぁ…」
「…どうなってんだこりぁ?」
ユケムリ村についた俺たちを待ち受けていたのは、ひどく荒らされた村だった。民家の一部は壊れたり、炎上していた。村人たちは無事なようだが、大ケガをして、なんとか生きているといった状況のものも何人かいる。
「っ…!私、行ってきます!」
「あ、おい!」
それを見たエリーがすぐに飛び出していって、すぐに魔法で治療を始めた。
「やれやれ…リナもついていってやってくれ。俺は話を聞いてくるから。」
「わ、わかりました。」
リナもエリーのほうへ駆け出していった。
さて、俺はあそこで休んでいる先輩方に話を聞くとするか。
「大丈夫ですか?」
「ん、あぁ…ってクオンか、てことは天…エリーちゃんも着いたのか。なら怪我人は大丈夫だな…」
「ええ、もう駆け出していった治療してますよ。それで、何があったんですか?」
「あぁ、俺たちはお前らが着くよりはやくにたどり着けるように来たんだが…」
先輩は語った。着いたときから村人の様子がおかしくて、話を聞いてみたこと。村人が村の近くに魔物の大群がいると言う。その話をした直後、魔物たちが攻めてきたこと。
「俺たちがなんとか撃退したんだが、数が多くてな。村に被害が出ちまった。」
「そうだったんですか…。」
すごいなこの人たち。何匹いたのかわからんが大群って言うと百以上はいただろうに、撃退するとは…。
「なるほど、ありがとうございました。エリー!この人たちも治療頼む!」
「わかりましたー!」
エリーに治療を頼んでその場を離れる。
「「しゃあ!ご褒美来たぁ!」」
何名かがそう叫ぶ…元気そうだな。
さて、俺は消火でもするか。え?氷でどうやって火を消すのかって?そりゃあ上から氷塊を落として家ごと…はさすがにないな。うん。
「″出でよ″″氷塊″」
取り合えず燃えている家の上に氷塊を作り出す。
「″溶けろ″」
そこから新たに命令を与える。すると氷塊はみるみると溶けだし、完全に水となる。っと、このままだと水が浮いたままだった。″落ちろ″っと。これで水が火を消してくれる。あとは他のでも一緒のことをすればいいや。あ、ちなみにこの『液体化』、これも暇だったときにやってたらできるようになったものだ。
…さて、これであらかた消火終わったかな。
「おお、どうもありがとうございます。水がたりず困っていたのです。」
「いえ、気にしないでください。…あなたは?」
「あぁ、すいません。私はこの村の村長をやっております、アルフといいます。」
「俺はクオンです。それでーー」
村長と話そうとしたとき、誰かの声が響く。
「魔物が来やがったぞぉ!」
…うそやん。




