第三話「神様もらっちゃった?」
「…それにしても、たしかに右も左もわからないまま放り出すってのも酷な話ねぇ。」
「ですよね? 俺としてはそんな大それた能力はいらないので、不自由がないレベルで暮らせるようになればいいんですが…。」
エリーをからかったあと、俺と女神さまは実際の転生にあたっての相談を始めた。(エリーは部屋の隅?で「味方がいない」と嘆いている。)
転生といっても、子供から始めるわけではなくこのままの状態で送り出すとのことだ。
そしてその先は、剣と魔法がある世界…俺としてはチートとまではいかなくても、何かしらの能力はほしいところだ。
「そうねぇ…あぁそうだわ、そういえば使い手が希少なものがあったわね。」
「ふむ、それはどんなもので?」
「氷を操る能力ね、あの世界での魔法はイメージによるものが多いから、応用がきくと思うわよ?」
「なるほど、便利そうですね…ではそれをお願いしてもいいでしょうか?」
「わかったわ。」
とりあえずこれで話はまとまりそうだ。女神さんは準備が必要とのことなので、いったんどこかへ行った。
…うぅむ、暇だな。エリーをまたからかう、もといさっきの謝罪をしておこうか。
「あぁ、エリー?だっけ。ちょっといいか?」
「…なんですか?」
声をかけられたエリーは一瞬びくっとし、少しおびえたようにこちらを見てくる。うん、やり過ぎたな。
「あぁ、その、なんだ…。 悪かったな、からかったりして。」
「え、あっ!い、いいえ!私こそ、こちらの不手際でこんなことになってしまい、申し訳ありませんでした。」
こちらが謝罪すると、エリーのほうも慌てたように、頭を下げてきた。
「あぁうんそれな…まぁ過ぎたことだし、やっちゃったものは仕方ないんだしあんま気にするな?」
これは俺の紛れもない本心である、殺されたといっても、生き返れるのなら問題はないし、元の暮らしに未練なんかもない。ずっと引きずられても困るだけだ。
「そ、そうですか?」
「あぁ、失敗は成功のもとってな、やらかしたとしても次に生かせばいい。」
「はぁ…あ、ありがとうございます。」
ちょうど和解?できたとき、女神さんが戻ってきた。どうやら準備が整ったようだ。
現在俺は何らかの魔法陣?の上に立ち、それをエリーと女神さんが見守っている。
「それでは転生をはじめさせてもらいます。」
「ええっと、よろしくお願いします。」
「あの、その…ど、どうかお元気で!」
「あぁ、お前も仕事頑張れよ?」
「はい!」
魔法陣が輝きだす。いよいよ転生か…
輝きが強くなり、周りがあまり見えなくなってきたとき、ふと女神さんの声が聞こえた。
「それでは、エリーをお願いしますね?」
「え?」
その言葉が聞こえたと同時であろうか、視界が真っ白になり、俺は思わず目を閉じた。
目を開けたとき、俺はあの真っ白な空間ではなく、どこかの草原?のような場所にいた。
…エリーと一緒に。
「…は?」
「…え?」
つい漏れたその声は、草原を吹く風の音にかき消されるだけだった…。
そしてしばしの沈黙の後…
「…ん?手紙か?どれどれ…」
「え?手紙ですか?あ、私にも見せてください」
俺の足元に手紙が落ちてあるのに気付いた。拾って中を確認したところ、
『準備をしているときに考えたのですが、やはりこちらの不手際でこんなことになってしまったのに、与えたものが珍しい能力だけでは少ないと思います。なので、当初のあなたの要望通り、あの子…エリーをあなたの付き人として、送ることにいたしました。彼女にとっても良い社会勉強になるでしょう。面倒をかけるかもしれませんが、どうかよろしくお願いいたします。by女神』
ということが書いてあった。
「…だってさ」
「そ、そんなぁ。」
エリーはそれを見て、ショックを受けているようだ。
俺もどうしたものか、と考え、ふと手紙を見てみると、
「ん?裏に何か書いてんな。ええと『PS.あの壁は私が作りました。おもしろかったでしょ?』…なんだこれ?」
「め、女神さま…」
それを聞くと、エリーは膝から崩れ落ちた。なんだ?
まぁとりあえず、俺は神様をもらうことになったらしい。さて、どうしたもんかね?
これからは日曜日に一話投稿のペースで行きたいと思っています。




