第26話「人違いです」
「ーーただいま帰りました~。」
「ぜぇ…はぁ…お、重い…」
エリーはあのまま注文品を受け取り、クオン?に持たせ、ギルドへと帰った。
それをクレアとコレットが出迎える。
「あぁ、お帰りなさい。遅かったわね。」
「クオンさん、どこ行ってたんです?」
「はぁ…はぁ…え、あっ、ええと、なんと言いますか…」
「「?」」
クオン?が回答に困っていたとき、リナが寄ってきた。
「あ、クオンさん!帰ってきたんですね?まったく、どこほっつき歩いてたん…です…か?」
しかし、近づくにつれて、その歩みは止まっていった。
なにかに気づいたようで、リナはクオン?に、
「あの…どちら様ですか?クオンさんじゃありませんよね?」
そういった。
「「「え?」」」
クレア、コレット、エリーの三人は困惑する。
そして疑問をぶつけられた当の本人は、
「ええと…」
なんと言えばいいかわからないような感じで、頭をかいていた。
*
「…なにがどうしてこうなった。」
一方クオンは城の一室にいた。あれから馬車は城までいき、そのまま引っ張られこの部屋に連れてこられたのだ。
しばらくその部屋でおとなしくしていたらドアがノックされた。
「クオン様、失礼いたします。」
「…(もう驚かねぇぞ)」
入ってきたのはメイドだった。
「お着替えのお手伝いに参りました。」
そういうと、一着のスーツのようなものを差しだした。それは貴族が着るような装飾がいくつかついており、いかにも高額そうな物であった。まぁそれはいい、しかしいまメイドはクオンにとって聞き逃せないことをいった。
「着替えを…手伝う?」
「はい、なのでとりあえずその服を脱いでください。」
「ちょ、まて!いいつつ脱がしてんじゃねぇ!自分でするから!」
「何を言いますか。仕事です、観念してください。」
「わ、わかった!わかったからせめて、せめてズボンはくまでこっち見ないで!」
といった攻防?の後、着替えたクオンはとある場所に来ていた。
そこは…
「待っておったぞクオン。」
王様と謁見するための場所であった。そして、玉座には王であろう男性と、隣には女性(おそらく王妃であろう)さらに近くにリナと同じくらいの少女も控えていた。
「(ほんとどうしてこうなった。)」
クオンはなかばなげやりになりながら、王の前にひざまづいていた。
王はそんなクオンに声をかけた。
「顔をあげよ。」
そして、顔をあげたクオンをじっと見て、こういった。
「なぜ、無断で城を出た。答えよ。クオン・アルト・リディア、我が息子よ…」
「…」
いきなりこんなことを言われても、クオンはなにも言えなかった。
「どうした、答えよ。なぜ城を出たのだ。」
さいど問いかけてくる王に対しクオンはこういうしかなかった。
「…王様」
「なんだ。」
「…人違いです…」
「「「「…は?」」」」
そして、沈黙が場を支配した…




