第25話「二つの誤解?」
今回は試しで視点を変えてかいてみようと思います。
ここは王都のとある場所、そこに二人の男の声が響く。
「ーーおい!いたか!」
「いや、見つからない。」
「くそっ、どこにいってしまったんだ…」
二人は鎧に身を包み、騎士のような風貌をしていた。
どうやら、誰かを探しているようだが、見つからない様子。
「おれはあっちを探す、おまえはそっちだ。まだ外には出ていないはずだ。しっかり探せ。」
「あぁ、それじゃあな…」
そして男たちは二手に別れ、捜索を再開した。
…その様子を、木の影から見ていたものがいた。
背丈から推定し、20くらいの男性だろうか。青年はその様子を見て、こう呟く。
「…すまない、だが私は…」
そして青年は辺りを警戒しながら闇の中へ消えていった。
そして、騎士たちは朝になっても探し人を見つけることはできなかった…
*
朝、クオンはいつものように起き、四人分の朝食を作っていた。何故四人かというと前にコレットに作ってからそのまま作っているからだ。本人いわく、「男性の手料理ってよくないですか?」とのこと。それはわからないが、3人も4人も変わらないと思い、作っているのだ。
そして、すべて作り終わって、自分の分を食べていたとき、クオンはクレアに話しかけられた。
「あ、クオン君、申し訳ないけど後で材料の受け取りに行ってくれない?」
「え?あぁ、了解です。」
クオンとしても、断る理由はないのですぐに了承した。
「それじゃいってきますね。」
「よろしくね、いってらっしゃい。」
朝食を食べ終わり、片付けが終わったあと、クオンは頼まれ事を片付けるために、街に繰り出した…。
しばらく歩き、注文している店まであと少しというところ、そんなときクオンの前でいきなり馬車が止まった。
「ようやく見つけましたぞ!」
「うおっ!?…え?俺?…てか誰?」
困惑している間に、クオンは騎士の格好をしたものたちに囲まれた。
「もう逃がしませんぞ!」
「え、ちょ、ちょいまて、誰かと勘違いしてない?」
「何を言いますか!この私があなた様の顔を見間違えるわけがありません!さぁ、帰りましょう!」
「え、いや、帰るって言ったって、俺仕事があるんだけーー」
クオンの言葉を最後まで聞かず、騎士はクオンの腕をつかみ、そのまま馬車に押し込んだ。
「出せ!」
「出せじゃねぇよ人違いだっつってんだろー!」
クオンの叫びも空しく、馬車はそのまま出発していった。
*
「ーーまったく、クオンさんは何をしているんですか…」
エリーは注文品を取りに行って、一向に帰ってこないクオンを探してきてと、クレアに頼まれ、町を歩いていた。
しかし、注文した店まで歩いていっても、まったく見つからない。何かあったのではと心配し、焦りながら探していとき、
「あっ!」
クオンらしき後ろ姿を見つけた。服装がいつもと違うようだが、そんなことは関係ないとばかりに駆けていった。
「クオンさん!ようやく見つけましたよ!」
「えっ?」
声をかければやはりクオンだった。しかしその服装はまるでどこかの貴族が着るようなスーツの上にフード付きの外套を着ていた。当の本人は声をかけられ何故か困惑している様子。
「何をしていたんですか、ほら、さっさと注文品を受け取って帰りますよ!」
「ちょ、ちょっとまて、君は誰かと勘違いしていないか?確かに私はクオンだが…」
なにやらクオンがいっているが、エリーは先程心配し、少し怒っていたこともあってまったく聞く耳を持たない。
「はいはい、それじゃあいきますよ。」
「ちょ、わ、わかった、わかったからそんな引っ張らないでくれ!服が延びる!」
「知りません!」
エリーはクオンを捕まえたまま、とりあえず注文した店までいくのだった…




