第二十四話「癒しと苦労の増加」
「ーーいらっしゃいませー!」
「お待たせしました!ご注文の焼き豚定食です!」
「ありがとうございました!」
ーーあのあと、王都に帰った俺たちだが、リナをとりあえずギルドにつれていき、それからどうするか聞くと、
「クオンさんと一緒がいいです!」
と、抱きつきながら(何故?)いってきた(Die好きホールドを受けた身としては恐怖を感じた)ので、クレアさんにいって、雇ってもらうこととなった。
リナはいつかのエリーが着ていたメイド服に身を包み(なんであるんだろう)元気に店内を駆け回っていた。
「…働き者のいい子ですねぇ。」
「そだな。」
「笑顔で挨拶できてますし、」
「お前みたいに苦笑いじゃないし、」
「注文もとれますし、」
「お前みたいにこけて料理ダメにしないし、」
「き、気が回るいい子ですねぇ!」
「お前と違ってドジらないいい子だな。」
「も、もー!なんなんですかさっきから!?」
「暇だからつい、ほらお前の方客きてんぞ。」
「ぐ、ぐぬぬ…」
ーーおれはというと、仕事が減ってこうやってエリーをからか…談笑する回数が増えている。…いや、代わりに調理の仕事が増えたな。朝昼晩の飯は俺が作ってるし(何故かコレットさんも含む)…うん、働いてねぇなぁ。
「いやぁ、リナちゃんは働き者だねぇ。ほら、クオン君もがんばらなきゃ。これあそこのテーブルによろしく。」
「あ、了解です。」
こんな状況なのにあまりいってこないクレアさん、まじ(こっち側の)女神。
「ーー我らにまた一人、見守るべき対象が増えた。」
「近づこうとする不埒な輩には粛清を…」
「クオンはどうする?」「「保護者ポジだからギリセーフ」」
「手を出したら?」「「ブッコロ」」
…どうやら護衛の先輩方は逆に仕事が増えたようです。躊躇なくブッコロとか…怖。いや、手は出す気はないけどな。
「あ、いらっしゃいませー!」
「…はい、これで治りましたよ。お仕事頑張ってくださいね?」
「「(あぁ、癒される)」」
こいつらは着々と人気をあげてるんだな。無意識でやってるんだよなあれ、天然って怖いわ…
「クオンくーん!つぎこれおねがーい」
「あ、すいません、いまいきます。」
っと、考え事してる場合じゃなかった。俺も働かねーと。
…こうして、俺のはじめての依頼は終わったんだが、ほとんど先輩に助けられてたなぁ。ま、もともと依頼を主な収入源にする気はなかったからいいか。エリーもそんなすぐに次に行こうとかいないだろ。ていうかそうなったら先輩方に仕事増やして申し訳ないからやめてほしい。
…後日
「クオンさん!また依頼をこなしましょう!」
「「っ!(ガタッ)」」
「え?なんですか?外にいくんですか?私もいきたいです!」
「「っ!!(ガタガタッ)」」
…フラグだったか。先輩方、またご迷惑をお掛けします…。




