第二十三話「襲いくるショック(物理)」
「捨てられたって…なんで?」
「うーん、簡単にいうと村の人たちに嫌われちゃいまして…」
「そりゃぁなんで?」
「私が化け物だからとのことです!」
「お、おう。」
さ、さっきから軽いなこの子。拾った少女は化け物でしたって誰得。
「化け物って、そうは見えんがな…」
「うーん、そうですねぇ。エリーさん、ちょっとそこ動かないでくださいね。」
「え?なんで…きゃっ!?」
リナはいうとすぐに、エリーに近づき、ひょいっと持ち上げた。いくらエリーが小柄だといっても、リナの倍くらいはあるんだが…。
「どうですか?すごいでしょ!こんなこともできるんですよ!」
「え、ちょっと、わー!?」
「おぉー…」
リナはそこから、エリーを片手に持ち替え、くるくると回し出した。なんだろう、この水族館のアシカショーでも見てる気分は…
「ふぅ、ま、こんなもんです。」
「め、目が回りました…うっぷ。」
「ゲロインとか需要少ないだろうからやめとけよ。」
「ひ、ひどい…」
どうやら今のがとどめになったようで、エリーは地面に崩れ落ちた。事実をいっただけだ、おれは悪くねぇ。
「あ、こんなこともできるんですよー。″落ちて″″纏雷″」
「ん?うおっ!?」
リナがなにか呟くと、いきなり雷が落ちてきた。なにごと!?つーかリナ大丈夫なのか!?
「どうですか!」
すぐに元気そうなリナが見えた。大丈夫らしい。
「…で?なにそれ?」
「私の魔法です!」
簡単にいうと、リナが回りに雷をまとっていた。あれだ、ハンター×Oンターの…やめておこう。
多少は回復したのだろうエリーがそれをみて、
「へー、雷の魔法ですか、クオンさんのと同じく珍しいですねぇ」
ふむ、そんな魔法もあったのか。
「これが私が化け物と言われて捨てられた理由です!」
「さっきからほんと軽いなお前…」
どこにこんな明るく自分が捨てられたことを話すやつがいるのだろうか。
「だっていまさらきにしても仕方ないですし?」
「ま、前向きですね。」
「ありがとうございます!」
「ふーむ、で、その力って制御というか、加減はできるのか?」
こちらとしては加減ができるんならまったく問題はないが…その歳だと難しそうだが…
「できますよ?」
出来るんかい。この子はあれか?天然物のチートですかね?まぁ、なら問題はないな。
「OK、なら大丈夫だ。一緒に行こう。」
「ほんとですか!?ありがとうございます!」
「どういたしましーー」
嬉しかったのか、リナが抱きついてきた。普通なら紳士たちが歓喜しそうな展開だが、ひとつ問題がある。現在リナは魔法を発動したまま、つまり雷を身にまとった状態…それで抱きつく…あとはわかるな?
「アバババババ!?」
「く、クオンさーん!?」
「あぁ!?ごめんなさい!?」
美少女からのホールドおまけ(雷)付き、俺の意識が刈り取られるのは、一瞬だった…




