第二十二話「少し漂う犯罪臭」
「″押し上げろ″″氷柱″」
「わわっ!?」
足元に氷の柱を作り、それを落ちてきた穴に向かって伸ばしていく。この方法が浮かぶまで、一時間くらい出口を探すはめになった。もらっといてなんだけど、普段使うことないから魔法の存在忘れるんだよなぁ。
「お、おーすごいです。クオンさんも魔法師だったんですね。」
「魔法師の前に『魔法が使えることを忘れている馬鹿な』がはいるがな。」
「そうですね、普通はそんな人はいないと思いますけどね。クオンさんが特別なんですね。」
「…そこはフォローしてほしかったな…」
「ふぉろー?」
「なんでもない。」
「それにしてもさむいですね。」と、氷に触れながらいってくるが、俺としては全く寒くない。たぶん自分の魔法だからだろう。
しばらく上がって行けば、もうちょいで外に出られるとこまできた。…しかし、
「なんか騒がしいな。」
「ですねぇ、なんでしょうか?」
穴の方から無数の声が聞こえる。少し様子をみて(聞いて?)見ようかと思ったが、「エリーちゃん、大丈夫だから…」という声が聞こえて大体察したのでそのままいった。
「ただいま~」
「「えっ」」
外に出ると、護衛の冒険者たちが即席で穴に降りるためであろうロープを作ってたり、エリーをなだめたりしていた。ご迷惑お掛けしました。
「く、クオンさん!?」
俺たちに気づいたエリーがかけよってきた。
「だ、大丈夫ですか怪我してませんか魔物に襲われませんでしたか足首をくじいていませんか骨折してませんか怪我していませんか!?」
「お、落ち着け、大丈夫だから。怪我もねーから。」
てか同じことしかいってねーぞ、怪我してないかで事足りるじゃん。
「そ、そうですか…よかったぁ。」
へなへなと崩れ落ちるエリー。まったく大袈裟な、穴に落ちたくらい…で…あれ?あの高さから落ちて生きてるのって、奇跡じゃね?……ま、まぁ考えるまい。
「えっと、それで、この子は?」
「え、あぁ。」
そういえばリナを忘れていた。なんと言えばいいか……
「……拾った?」
「拾われました?」
「な、なんか犯罪臭がするような」
なんていうことを言いやがる、おれはロリコンじゃねぇぞ。
「「「ちっ」」」
回りの先輩方から舌打ちされた。違うのに……
先輩方はそのあと、また護衛の依頼にもどっていった(といっても隠れているだけだが)
「さて、それじゃ俺らも帰るか。リナはどうするんだ?」
「そうですねぇ、帰る場所がないので、ついていってもいいですかね?」
「そりゃかまわんが…帰る場所がないってのは?」
「ええとですね、私捨てられましてね。」
「へぇーそうなのか……ん?」
……今なんかおかしくなかった?




