第二十一話「ちょろい子?」
「うーむ、なかなか見つからんなぁ。」
「ですねぇ」
…その後、俺たちは薬草一本探して森を歩き回っていた。(相変わらず魔物は駆除されている。)……最後の一つがなかなかみつからないことってよくあるよね。……めんどくせぇ。
「はぁ、だるい。なんでみつかんねぇんだ。」
「日頃の行いが悪いせいでは?」
「お前のか?」
「なんでですかっ!」
「なんでだろうな?……おっ」
目の前の木の下にちょうど一本、薬草がはえているのをみつけた。やっと終わりか。
俺はその気に近づき、薬草を抜いた。
ボコッ
……ボコッ?普通こういうときの音ってズボッ、とかじゃね?
気になって俺は足元をゆっくりと見てみた。それと同時に、
「はっ?」
足元の土が崩れ落ちた。
え、ちょ!?うそだろ!?
「うぉぉ!?」
「く、クオンさーん!?」
俺は何もできず、そのまま落ちていった。
「ーーん、ここは…」
目覚めると俺は比較的、いやかなり広い空間にいた。天井も壁も見えず、遥か上に俺が落ちてきたのであろう穴から光が見える。地面は大きなキノコ一色……キノコ!?……俺の足元のものが少しへこんでいることから、これのお陰で危うく落下死するところを助かったらしいが、
「でっかいキノコとかどこのファンタジー…ってこの世界ファンタジーだっけか。」
さて、どうしたもんかね?てかエリーはどうして…ファンクラブの人たちに守られてそうだから心配はいらんな。
とりあえず辺りを散策してみることにした俺だが…
「…まじか」
散策していたら地面、いや。キノコの上で寝ている?少女を見つけた。少女というか、幼女?…それ以前になぜここに…
とりあえず近づいて見ることにした。近くで見るとやはり寝ているようだ。…うん、完全に小学生くらいの子だわ。いや、よくあるロリババァということも…
「ーーんん…あれ?ここは?……お兄さんだぁれ?」
はい幼女けってーい。いや、だからどうと言うことはないが…
「…えーと、おはよう?」
「あ、おはようございます。」
「「……」」
…うーん、話が続かない。沈黙が痛い。
きゅ~~
突如、何かの音が響いた。いや、この子が顔赤らめてる時点でなんの音かはお察しだけど。
「…腹へってんの?」
「…はい。」
消え入りそうな声で答えた。あ、そういや確か出発の前に…あったあった。
「チョコあるけどたべーー」
「いただきます!!」
上着のポケットからチョコを出した瞬間にとられてた。…見えんかった。…ちなみにこの世界のチョコはたとえ握りしめても、口の中でしか溶けないという不思議仕様である。
「あぁお前も落っこちてきたのか。」
「はい、食料さがしてたらズボッて…あ、申し遅れました。私、リナって言います。」
「あぁ、俺はクオンだ、よろしくな。」
チョコを渡してからは、会話がスムーズになった。チョコが偉大なのか、それともこの子がちょろいのか。
まぁそれはいい。こっからでる方法を考えなければ。




