第十九話「思いがけない再会」
次の日、俺は白いシャツにジーパン、青いジャケットを羽織るという、この世界ですでにお決まりになってきた服装に身を包み、エリーと一緒に王都近くの森に足を運んでいた。今回受けた依頼はFランクの薬草採集が目的のものだ。…ちなみにエリーの服装だが、白のワンピース?に白い外套を羽織っている。髪が銀髪なので見事に白一色となっている。
「わー自然がきれいですねぇ…」
「そだな。」
「クオンさんのいたところではこんなに森が広がっているのを見ることはあまりないんじゃないですか?」
「そだな。」
…愛想のない返事になっているが仕方ない。なぜならエリーは気づいていないようだが、後ろから20人くらいギルドにいた冒険者がついてきているはずだからだ。はず、というのは森に入るまでの街道では隠れようがなかったからか堂々と後ろをついてきていたが、森に入ると前に行ったり左右に行ったりで完全に隠れたからだ。時々聞こえる戦闘音は、おそらく魔物の駆除…もとい退治をしているのだろう。
…想像してみてほしい、好きな女性が男と一緒に行動している…大体の奴らはこう思うだろう。「殺したいほど妬ましい」と。好きではない奴と一緒に行動していて妬みで殺されたのでは死んでも死にきれない。
なので俺は、下手にしゃべらず、相槌を打つだけの機械となることを選んだのだ。
…しばらくエリーがしゃべり俺が「そだな。」と返すことが続き、森の中間あたりまできた。
「さて、依頼は薬草の採取ですね。」
「そだな。」
「…薬草ってどれでしょう?」
「そだね。…って、え?」
まさかの下調べなし!?いや、お前も調べとけやとか言われるとあれだが、こいつが自信満々で行きましょうとかいうから知ってるものかと…どうするよ、薬草の見分け方なんて知らねーぞ。
「どうしましょう?」
「どうしましょうって…ん?」
突然、足元に草が投げられた。ひろって、そこらへんにある雑草と見比べてみると、違うことがわかる。ふむ、先輩方あざっす。
「よし、これ探そう」
「え?これでいいんですか?」
「あぁ、いいはずだ。」
「はずって…まぁわかりました。」
俺だけなら嘘だったかもしれないが、エリーもかかわるのに嘘を言うはずがない。エリー人気恐るべし。
と、いうことで俺たちは、投げ渡された薬草(仮)を探すことにした。
しばらく探索して、目標数が10本に対し、9本まで集めることができた。
ラスト一本と、やる気を出して探していたら、
「あぁっ!てめぇらは!」
「ん?」
何やら見知らぬ連中に声をかけられた。あれ?なんか見覚えあるなこいつら…
「あっ!」
「どしたエリー?」
「あの時の盗賊です!」
…あぁ!アランさんを追いかけてたやつらか!いやぁ忘れてたわ。
「ここであったが百年目だごらぁ!」
「…ええっと?」
あれ?なんか恨まれてるっぽい?なんかしたっけ俺…。




