第一話「いじめたくなって、つい」
今回初投稿です、誤字・脱字などあるかもしれませんがどうか、楽しんでくだされば幸いです。
「申し訳ありませんでしたぁ!」
「…はい?」
気が付いたら見知らぬ場所で見知らぬ少女が土下座していた。何を言っているかわからないと思うが安心しろ、俺もわからん。
何を言えばいいのかわからず、ただ土下座する少女を見ることしかできなかった。
「ええっと…とりあえず状況を説明してもらいたいんだが」
俺の言葉に、少女は一瞬びくっとなったが、すぐに顔をあげ話し出した。
「ええとですね、この度はこちらのミスによりあなたに多大な迷惑をかけてしまいまして、謝罪のためにここにお招きした次第です。」
「ふむ、迷惑か…俺に覚えはないんだが何をしたんだ?」
「そ、それはですね。」
彼女の返答を、俺はじっと待った。
「…あなたを殺してしまいました。」
「…はい?」
「ーーーつまりあれか、君が横着したから、まだ死ぬはずのなかった俺が死んだと?」
「横着…いえ、はいそうです、申し訳ありません。」
その後、俺は少女から話を聞いた。
どうやら、彼女は俗にいう神の一人で、人の死を記録する書類を作っていたとき、横着して30年あとに死ぬ予定の俺の死に方も決めようとした。
そして、死亡する日を記入し忘れ俺が死んでしまったと。(日にちを書かなければ即死らしい)
…それなんてデスOート?
「ふむ、まぁそれはわかったが、それで君は俺に何をしてくれるんだ?」
「ふぇ?」
「いや、まさかほんとに謝罪のためだけにここに連れてきたわけじゃないだろ?」
「えっあっ…そうでしたそうでした!ええっと…」
俺の言葉に少女は思い出したかのように動き出した。
しばらくその様子を眺めていると、彼女はくす玉?を設置し、そのひもを引いた。
くす玉が開き、中から『祝 異世界転移!』と書いてあった。
「おめでとうございます!あなたはこれから、剣と魔法のファンタジーの世界へ行くことができます!」
「はぁ…」
ぱちぱちと拍手をしている少女に対し、俺の気のない返事をするだけだった。
少女はそれに違和感を感じ問いかけてきた。
「あ、あれ?え、異世界ですよ?ファンタジーですよ?もう少し何か反応は…」
「いや、そりゃすごいと思うよ?でもさ?」
「でも?」
「そっちの不手際で死んじまったんだからそれくらいは普通だよな?」
「はぅっ」
痛いところを突かれたというように少女がのけぞる。
それに対し、俺は笑顔を向け言った。
「で?何してくれる?」
「え、えーと…ちょ、ちょっとまってくださいね?」
俺の問いに対し、少女は慌て、あたりをきょろきょろしだす。
…言い忘れてたが、俺は友人に「ドS」とよく言われるくらい人を弄る、もといからかうのが大好きである。だから…
「そ、そうだ!転移にあたって、あなたのほしいものをなんでも!差し上げます!こ、これでどうですか?」
不安そうな顔でそんなことを言われるといじめたくなってくる。
「ふむ、なんでも?」
「え、えと、はい、なんでもです。」
「…そっか。」
「え、なんですか?ちょ、ちょっと?」
それを聞き、俺は少女に近づいて行った。
少女はすこし警戒したのか、後ずさりをする。
だが後ろは壁だったのか(真っ白な空間だったからよくわからん)少女はそれにもたれかかるようになり立ち止まった。
「えっうそ、なんで壁が?」
何かおかしなことを言っているが気にしない。
少女が壁に気を取られているすきに俺は一気に距離を詰めた。
そして少女の顔のすぐ横めがけて、手を突き出した。
ドンという音とともに俺は壁に手を突いた。一時期はやった壁ドンというやつである。
「ひゃっ!…え、えとあのそのな、なんでしょうか!?」
顔を真っ赤にしながら動揺しまくっている少女に俺は笑いながらこういった。
「お前がほしい。」
「ふぇっ?」
「俺は、お前が、ほしい。」
何を言っているか分からなかったようなので区切って言ってやると、
「な、ななななななにをぉ!?」
めっちゃ動揺した。いやこいつ最高だわ(笑)




