前兆 2/2
キッチンにいこうとするが、いつもとは違う光景に目をとられた。
「ふむ…面白い記事はなかなかないな…、お、桜じゃねえか?久しぶりーとおは…」
次の瞬間、俺は立ちながら新聞を読んでる我が兄に、有無を言わせず、ラリアットをかました。
「がっ…ごほっげほっげほっ…なぜに…ラリアットを…」
「あ…生きてた」
「俺じゃなかったら今頃あの世行きだ!それよりもさっきの質問に答えろ!」
おっと、これ以上怒らせたら後が大変だ。おまけにぶつくさ、「俺は合気道と柔道の猛者だぞ…」と言ってるから答えよう。
「突っ立ってないで、椅子に座って見てろ!行儀悪い!」
「あ、それは悪い」
そうして、各自椅子に座ったが、あることに気付いた。
「あれ、もう作られてる…まさか」
「ああ、作っといたぞ。感謝しな」
「ありがとう、兄さん」
「おう、それと母さんは?」
「ここ最近も普通だよ。俺も…」
「嘘つけ、知ってるぞ…いじめられてること…」
ザクッ、テーブルにフォークが刺さっていた。
「…すまないな。余計なことだったな」
「わかってくれればいいよ。それより、いつ帰って来たの?」
「ん、昨日の深夜。明かりついてなかったから鍵開けて、俺の部屋さ行った。静かにね」
ニヤリと笑ったが、
「ふーん…」
それにたいして興味がなくなった反応をした。
「ひでぇよ。そこで無反応とかひでぇよ」
「はいはい、それじゃ俺はもう行くよ。母さんによろしくね」
「ん、わかった」
部屋で身支度をして外に出て自転車に乗り、家を出た。
「はあ~、風が気持ちいい…」
家を出て数分後、橋に到達した。
「そういや、あいつが注意しろって言ってたけど何があるんだ?」
自転車から降りて、川を覗きこんだ。
「いたって普通の川だけどな…」
見たはいいものの何故、「注意して!」と言ったんだろうか?
「まったく、何がしたいんだ?あいつは…わ!」
突如、後ろから誰かに背中を押され、川に落とされた。水面にぶつかる直前に落としたやつの顔を見て、合点がついた。
(なるほどな…けど、人を殺すのはいきすぎだぞ…)
意識が遠のく中で、そう思った。そして、
(何で…冷静なんだろう…な…)
意識がなくなった。