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Mー1×武器

 〝漫才日本一〟では有りません〝無人島に持って行くならこの一本〟です。


 大人×武器の回で書きましたが、私は昔、鍛治師に憧れて自宅鍛治をしていました。


 その時に自分の中で何個かシリーズ物を作って居たのですが、その一つがMー1シリーズと勝手に銘打った〝無人島に持って行くならこの一本〟シリーズです。


 よく言う〝無人島に一つだけ持って行くなら何にする?〟の答えは私の場合〝ナイフ〟と決まってますから、更に掘り下げてどんなナイフか?を突き詰めようとした意欲作。


 このテーマは中々手強く、実証を兼ねて裏山キャンプなどもしましたが、結局真に納得の行く一本はできませんでした。


 最初の作品はカウリXという超硬度を誇るステンレス鋼を使用したボーイナイフ。当時は最高の硬さ=切れ味を誇る材質と謳われた鋼材で、最初にして最高の一品を作りたかった私は飛びつきました。


 これは流石に自宅焼き入れや鍛治は出来ず、板材削りだしの製鉄所焼き入れの品でした。ですが、私はこれを失敗作だと思っています。


 厚さ4mmでグルカナイフの様にS字カーブに仕上げたブレードは中々の切れ味を見せましたが、何せ硬い。


 いずれ切れ味についても書きたいと思いますが、私は砥ぎやすさも切れ味の一部だと思います。これは、このボーイナイフで散々苦労した結果生まれた発想でしょう。

 また、S字カーブのエッジは砥ぎ辛い事この上なく、ステンレス用の砥石が凹む程砥ぎました。


 よくなろうでファンタジー物を読んでると、伝説の剣的な物が出て来ますよね。特殊な鋼材を使った超硬くて超切れ味の良い剣。常々それってどうやって砥ぐの?と思います。

 まあ、そこら辺は魔法で何とかなってるのでしょうが(だから好きですファンタジー)


 このカウリXという素材はファンタジー物にでてくる、ミスリルやアダマンチウムやオリハルコンといった特殊な鋼材に近いロマンを感じましたが、実際は使いづらい事しか印象に残りませんでした。


 次に作ったのは、持ち手の分解出来るダイバーズナイフです。


 刃長15cm位のステンレス鋼の刃は、背側に波刃とフック(ベルトなどを引っ掛けて切る為のダイバーズナイフ専用の刃)を備え、持ち手を分解すると、サバイバルキットとして、オイルマッチ、焚き付けや傷薬用のワセリン、釣り針とナイロン糸が入っています。


 ステンレス鋼は錆に強い440Cという鋼材で、これは比較的安く、軽く、切れ味も良い好きな素材でした。


 これは中々上出来だったため、知り合いに見せた所お金を出しても欲しいと言われ、材料代で売りました。私の始めて売ったナイフです。

 カイデックスという熱で簡単に加工できる樹脂製鞘シースも作って、見た目は店売りの商品の様にできました。


 ですが、出来上がって使ってみると、ダイバーズナイフはやはりダイビング用の為、薪割りなどに不便を感じてしまいます(峰に波刃があって、木を打ちつけて薪を割る事ができない)

 後、色々と内蔵する為に、ハンドルが厚くなってしまい、理想のナイフとは行きませんでした。


 そこで、次に手斧を作ろうとしました。


 ちょうどその頃自宅鍛治を始めており、練習用にと軽自動車の板バネを大量に集めていたのですが、中に端っこが筒状にカールしている材がありました。


 これを見て、斧の付け根を連想した私は、大好きな手斧が出来るのではないか、と、夢想しました。


 これは結果的に大失敗でした。筒の径が足りないため、広げようとしましたが、分厚過ぎて失敗、今度は外側を削ってから挑んだのですが上手い形に仕上がらず失敗、めげずにもう一度挑戦したのですが、板バネの癖が強すぎて、焼きなましたのに言うことを聞かず失敗しました。


 後で知ったのですが、手斧を自宅鍛治で作るなら、外側の鉄を柄が入る様に折り曲げて、鋼を鍛接するとやりやすいようです。


 その後もMー1を意識した剣鉈を数本打ちましたが、これぞ!というものは出来ませんでした。


 自作のナイフでは無いですが、持っている物の中では「フクロナガサ」が理想的なMー1ナイフではないかと思います。


 これは持ち手の部分が筒状になっていて、木の棒に取り付けると槍状になる、マタギの持つ鉈です。

 持ち手が鉄でありながら軽く、片刃なので出刃包丁のような切れ味です。研ぎやすく、硬く、切れ味最高のまさに〝あま切れ〟の打ち刃物といえるでしょう。


 素材が鉄と鋼なので、潮風や海水に浸ると錆びてしまいますが、そこは手入れでカバーする事にします。

 私はハンドルにパラコードを巻き、中にライターとワセリンをナイロン袋に入れて、ゴムで蓋をしています。


 後、フォールディングナイフ部門だとレーザーマンのウェーブを持って行きたいです。


 これはペンチになるツールナイフなんですが、便利で万能なため、避難リュックに常備しています。

 ツールナイフに良くあるグリップの角を丸くした画期的な商品で、ペンチ部を開けなくても刃が出せるのも斬新でした。唯一重さだけが欠点ですが、小さいため携帯も楽です。


 なんだかんだと書きましたが、今一番気に入っている刃物は小出刃包丁です。


 これは母親の嫁入り道具で、最近使わないからと貰った物です。

 このエッセイで子供時代、最初に武装しようと手に取ったあの出刃です。


 錆び付いて刃が欠けているのを、徐々に錆びを磨いて刃を研ぎ直して復活させました。

 これが良く切れて、硬い魚の骨などもズバッと一発です。

 流石日本の打ち刃物、無銘の小出刃に職人の意地と気合を感じます。


 私が今現在、無人島に持って行くなら、この小出刃包丁かもしれません。


 皆さんの〝無人島に持って行くならこの一本〟は何ですか?

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