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再誕するレインボードラゴン

イラター達との決着の時が来た。レインボードラゴンは、全ての敵を打ち破る事が出来るのか?

 反レイ帝国同盟との最終決戦、十二支騎士団は、壊滅の危機に陥っていた。



 酉騎士団旗艦レッドフェニックスのブリッジ。

「こんな展開に成るとは……」

 戸惑う団長のサーギ。

「このままでは、十二支騎士団は、壊滅です」

 副団長ミミッツの言葉にサーギが怒鳴る。

「そんな事は、解っている!」

 そんなサーギに対してミミッツが進言する。

「ここは、逃げるのも一手かと思います。いざとなれば皇帝陛下のご出陣となり、あの程度の奴等は、壊滅して下さる筈です」

 サーギの拳がミミッツに決まる。

「冗談も休み休み言え! 私が何でこの地位に居ると思うのだ? 全ては、陛下の為だ。十二支騎士団も帝国も関係ない! 私は、偏に陛下に認めてもらう、その為だけにこの地位まで登り詰めたのだ。陛下の期待を裏切る事など死んでも出来るか!」

 驚く周囲の騎士達。

 その時、管制官が引きつった顔で報告する。

「敵戦艦が現れたのと同種の空間の歪みが観測されました。発生点は、我等の後方です」

 それは、死亡通知としか聞こえなかった。

 全ての目が新たな空間の歪みの発生点に注がれた。

 そして、歪みから一隻の船、一本首の一番ベーシックな龍に武装しているような姿の戦艦が現れた。

 サーギが冷や汗を拭った時、その通信が入る。

『遅れてすいませんでした。辰騎士団、新旗艦レインボードラゴン、ただいま到着しました』

 辰騎士団長オクサ=アテナスの言葉に、誰もが言葉を失うのであった。



 レインボードラゴンのブリッジ。

「俺は、今日から宗教に入る。神様は、確かに居るらしいからな」

 テンダが何かを悟った顔で言う。

 ブリッジメンバーの何割かが助かった事に感涙する中、不機嫌そうな顔をするマンカ。

「そんなに信用無かったの?」

 テンダが当然な顔で言う。

「当たり前な事を聞くな、出来るからって恒星破壊兵器を作り、威力は、凄いが何処かしら欠点がある研究途中の兵器の数々を見ているんだからな」

 拗ねるマンカをファイがフォローする。

「私は、信じていました。マンカ様の理論は、完璧でした」

 マンカは、無言でファイが手にする、御守を指差す。

 それは、空間移動最中にずっと握り締めて居たらしく、硬い皺が出来ていた。

 視線をずらすファイ。

「とにかく、倒すべき敵が目の前にいます。今度こそ決着をつけます」

 オクサの言葉に強く頷く辰騎士団。

「しかし、データを見せて貰いましたが、あのエネルギー反射能力がある戦艦は、厄介です。どうしますか?」

 ヒャクリの言葉にマンカが手を上げる。

「それだったら特殊砲撃装備を使えば大丈夫だと思うよ」

 それを聞いてオクサが質問する。

「新主砲、ライトブレスの特殊装備ですね?」

 マンカが頷く。

「そう、あれだったら何とかできるよ」

 オクサが視線を向けるとヒャクリが即座に理解する。

「敵エネルギー反射能力を持つ戦艦の全てを射線に捉えられる位置まで移動します」

「その特殊装備って何だ?」

 テンダの疑問にマンカが口を膨らませる。

「ちゃんとマニュアルにも書いておいたよ!」

 テンダが頬をかきながら言う。

「基本的なところしか目を通してなくってな。そういえばどうしてアテナス団長やアポロス副団長がその事を知っているんだ?」

 オクサが苦笑する。

「あの非常脱出装置には、食料等は、入っていたのですが、異世界を経由する為に、通信も何も出来なかったので、クシナダのデータベースに入っていた新型戦艦の情報のチェックをずっとしていたのです」

 スリーナが辛そうに言う。

「面白くなかった、やっぱりゲームを残しておけば良かったよ」

「まだ懲りてなかったのですか……」

 呆れた顔をするミリオ。

「射線の確保を完了しました」

 ヒャクリの報告にオクサが告げる。

虹砲玉コウホウギョクを放出」

『了解、虹砲玉を放出します』

 クシナダが応答し、レインボードラゴンの胴体から虹砲玉が放出される。

『虹砲玉を展開、装備します』

 クシナダのオペレートの従い、虹砲玉が展開、口にあたる部分に装備される。

「後方の艦から照準を合わせてレインボーブレス発射してください」

 オクサの命令にヒャクリが答える。

「了解、敵エネルギー反射装備戦艦に照準後、発射します」

 そして一撃目が発射された。



 グレートペガサスのブリッジ。

「まさか生きていたとは、それもこちらと同じ空間移動可能艦で。やはり一筋縄で行かない相手ですね。しかし、ミラーウイングには、エネルギー弾は、通用しません」

 イラターの予想通り、レインボードラゴンが放ったエネルギー弾は、確かに弾かれた。

 しかし、反射した瞬間、爆発が発生し、ミラーウイングを誘爆させた。

「馬鹿な、質量弾では、無かった筈。それにこの威力は、質量弾の威力では、絶対無い!」

 驚愕してイラターが立ち上がるが、直ぐに気を取り直して指示を出す。

「ミラーウイング全艦に緊急通達。敵新型艦の射線から緊急退避しろ!」

 命令が伝わる前に更にもう一隻が墜ちる。

「やられた、後方の艦から狙って来ている。前方に逃げるしかない。そうなれば、相手の有効射程に近づく事になる」

『任せろ、俺があの戦艦を落とす』

 マグレの言葉にイラターが悔しそうに言う。

「すまないが頼む。あの射撃があっては、ミラーウイングの効果が全て失われる」

『任せておけ』

 そしてマグレのユニコーンがレインボードラゴンに向っていく。



 レインボードラゴンのブリッジ。

「しかし、どういう理屈なんだ? あの反射自体は、起こっているからエネルギー弾には、間違いないと思うが?」

 テンダの質問にマンカが答える。

「ベースは、主砲のライトブレスなんだけど、特殊装備をつけることで、そのエネルギー弾を六種のエネルギー弾に変化させるの。それぞれスピード以外の性質が異なり、着弾と同時に交差し、反応を起こして、爆発力に変化する。今回は、反射のタイミングでその爆発が起こったって訳」

「予想スペック以上の破壊力ですね」

 ヒャクリの言葉にマンカが頬をかく。

「それってやばいよね?」

 マンカの傍に居たファイが小さく溜息を吐いて答える。

「はい。主砲のライトブレスと変換機の調整が上手く行っていない証拠です」

 データをチェックしてファイがオクサの方を向く。

「残念ですが、後三発でレインボーブレスの砲身が過負荷になり、爆発します」

 大きな溜息を吐くテンダ。

「やっぱりマンカの作った兵器だな」

 マンカが反論する。

「これは、まだ正式採用装備じゃないもん。これからテストして完成させる予定だったんだもん」

 オクサが淡々と言う。

「かまいません、相手の新兵器にここまで対抗できたのです。残りは、戦闘機戦で、蹴散らすまでです。アポロス戦闘隊長頼みます」

『絶対にマグレのユニコーンを落としてみせる』

 オリがレッドドラゴンウイズブレイドワンのコックピットから自信たっぷり答える。

『ウエポンカラーズドラゴンがボールゲートとオプションズゲートから発進して行きます』

 クシナダが、レインボードラゴンの龍武玉を放出するゲートと追加武装を装着する箇所に出来たゲートから発進して行く新型戦闘機の報告をする。

「元々、副砲の砲身と戦闘機の発進出口が一緒って言うのに問題がありましたね」

 ヒャクリの言葉にオクサがフォローする。

「戦闘機の発進は、基本的に戦艦の戦闘中は、あまり行わないものですから対応できていました」

 マンカが指をふりふりしながら言う。

「だって、発進の初速を得る為の滑走路と砲身が兼用できたらロスが少なくなるかなって、思ったんだもん」

 テンダが肩をすくめて言う。

「良くある研究者の机上の空論って奴だな。少しは、現実って物がわかったみたいだがな」

 マンカが頷く。

「うん。確かに初速が必要な時もあるけど、とにかく数出すのと、確実に出せる様にする必要があるって解ったから、初速が出る、龍武玉の発射装置兼用と、オプション装備ポイントを使った多数の発進ゲートをつけてみました」

「そのオプションズゲートを多数作った所為で制作費が跳ね上がったのは、兵器開発者としては、どうかと思いますがね」

 ファイの突っ込みに生暖かい視線がマンカにあつまる。

「マンカは、マンカって事だよね」

 スリーナの一言に笑いが起こり、マンカが怒鳴る。

「笑うな!」

 そしてオクサが真面目な顔で言う。

「ここから正念場です。残りのエネルギー反射装備戦艦を突破して、敵旗艦を叩きます」

 騎士達が頷き、レインボードラゴンが前進を開始する。



 ユニコーンのコックピット。

『朗報が一つ、敵のミラーウイングを撃墜していた砲身が取り外されました。ミラーウイングが残っているのに新しい砲身が装備される様子が無い事から、予備は、無いかあっても一つでしょう』

 イラターからの連絡にマグレが言う。

「どちらにしてもやる事は、変わらないよな?」

 イラターが頷く。

『あの戦艦があるかぎり勝利は、ありません』

 マグレが力強く頷く。

「決着をつけないといけない相手も居るから問題ない」

 そして、ユニコーンの前にオリが駆るレッドドラゴンウイズブレイドが現れる。

『これが最後の戦いだよ』

「俺一人に関わってて良いのか? あの特殊砲撃が無くなった今、戦闘機での接近戦しかない。主戦力を失った十二支騎士団では、押し切れまい」

 マグレの言葉にオリが自信たっぷりに答える。

『こっちには、ウエポンカラーズドラゴンが居るよ』



 ミートが駆る丑騎士団の戦闘機のコックピット。

「どうせなら、暴発するまで撃ち続ければ良いのによ」

 ミートは、愚痴を言いながらも、残ったミラーウイングの撃墜に向う。

 しかし、反レイ帝国同盟の戦闘機がその前に立ち塞がる。

 一機撃ち落すも、一撃を食らってしまう。

「消耗し過ぎた。勝負どころだっていうのに」

 その時、目前に迫る戦闘機の群れ。

「この数は、こなせないな」

 諦めに似た思いに取り付かれた時、目前の戦闘機が次々と墜ちていく。

 レーダーを確認するが、味方機は、確認できない。

「どこから撃っているんだ?」

 すると、レーダーの端から、登録されたばかりの辰騎士団の新型機が現れる。

『大丈夫ですか、ミノタス戦闘隊長』

 新型機からの通信にミートが戸惑いながらも答える。

「大丈夫だが、お前達、何をしたんだ?」

『このブルードラゴンウイズアローの新装備、ドラゴンアローで、長距離からの有効射撃を可能した物ですよ』

 ブルードラゴンウイズアローのパイロットの言葉にミートが驚く。

「とんでもない新兵器だな、いくら戦闘機のレーダーの範囲が短いとは、いえ、同じ戦闘機で、レーダー外からの射撃を可能なんて」

 そうしている間に、ブルードラゴンウイズアロー部隊は、前方に居た部隊を蹴散らし、ミートを追い抜いて飛んでいく。

「俺も負けていられないな」

 前進を続け、ミラーウイングに迫る。

「ここまで接近できれば後は、撃墜するだけだ」

 ミラーウイングからの砲撃を避けながら、至近距離でのエネルギー弾の連射を行うミート。

「流石に硬い。しかし、墜ちるまで撃ち続けるだけだ!」

 その時、ブルードラゴンウイズアローとは、異なる新型機が来る。

「これで少しは、楽になるな……」

 軽口を叩いて居る間に打ち込まれた質量弾が大爆発を起こして、瞬く間にミラーウイングを落としてしまう。

 流石に怒りを覚えたミートがクレームをつける。

「お前等、あの戦艦をあっという間に落とすなんて、どんな物を装備しているんだ!」

 それに対してミラーウイングを落としたパイロットが答える。

『あれがこのイエロードラゴンウイズボーガンの新兵器、ドラゴンボーガンで、弾数は、少ないですが、威力は、見ての通りです。次がありますから、我々は、これで』

 飛び去っていくイエロードラゴンウイズボーガン部隊を凝視してミートが叫ぶ。

「次の新型機には、絶対にあいつ等の装備付けさせるぞ!」



 レインボードラゴンのブリッジ。

「グリーンドラゴンウイズシールドのドラゴンシールドって凄いですね。特攻してくる戦艦の主砲を受け止めていますよ」

 ヒャクリの言葉にテンダが呆れた顔をしてマンカを見る。

「レッドドラゴンウイズブレイドのドラゴンブレイドも凄かったが、他の新装備も規格外だ。どんな裏技を使ったんだ?」

 マンカが小声で答える。

「トップシークレットですよ。あれは、竜人にしか使えない特殊装備で、擬似ドラゴンワールドを使用しているの。擬似ドラゴンワールドで本来なら発生しない化学現象を強制的に起こし、規格外の効果を発揮させているんです」

 テンダがその意味を悟ると同時に顔を引きつらせる。

「竜が使うドラゴンワールドは、摂理の一時的な書き換えで、あらゆる攻撃を防ぐ無敵の防御法だが、確かコントロールに問題あり、大惨事が起こったから、竜人の使用は、禁止されてた筈だぞ!」

 マンカが視線を逸らして言う。

「ドラゴンワールドじゃなく、擬似ドラゴンワールドだから違反じゃないもん」

 オクサがファイに視線を向けるとファイがひきつった顔で答える。

「効果を限定する事で危険性が無い事は、一応確認してあります。公式発表は絶対にできませんが」

「これからも末永くご協力をお願いする事になると思います」

 オクサの言葉にファイが頷くのであった。



 ユニコーンのコックピット。

「とんでもない兵器を投入して来たな」

 半ば呆れた口調でマグレが言う。

『そっちだってエネルギー反射装備戦艦に、チャージ砲を連発する旗艦なんて、とんでもない兵器使ってるじゃない、おあいこよ』

 オリの返答にマグレが言う。

「そうだな、勝敗は、お前達の旗艦を潰せるかどうかに掛かっている。意地でもお前を倒して、あの船を落とす」

『絶対に行かせない! あんたは、ここで落ちるんだ!』

 両者の戦いが始まる。

 先手を打ったのは、マグレ。

 高速で相手の後方に回り込み、スピアでの一撃を放つ。

 それを紙一重でかわし、高速ループを織り交ぜながら接近を試みるオリ。

「そちらの武器の間合いは、前回で見切らせて貰った」

 マグレは、ドラゴンブレイドの当たらない限界すれすれを交差しながらポジションチェンジする。

 後方を取っては、エネルギー弾を連射するオリ。

『当たれ!』

 その全てを超人的な反射神経で避けて、逆に補助ブースターを使った百八十度ターンで攻撃をするマグレ。

「避けられるかな?」

『当たるか!』

 エネルギー弾を射ち込み、射線をずらして逆方向に避けるオリ。

 両者の実力は、均衡していた。

 ユニコーンとレッドドラゴンウイズブレイドが向き合うような位置で停止していた。

「正直、お前には、感謝している。こんな下位の世界に来た以上、まともなドッグファイトなんて出来るとは、思わなかった」

 それに対してオリが怒気を込めて言う。

『あたしは、怒ってるよ。まあ、実力だけは、認めてあげるけどね』

 マグレが苦笑する。

「そうだな、俺達は、敵同士だ。そして、これ以上時間をかける訳には、行かない。次で決めよう。ルールは、簡単だ、正面からシールドなしで突っ込む、それだけだ」

 オリが笑みを浮かべて言う。

『上等、その勝負乗った!』

「あのミラーウイングが落ちる。それが開始の合図だ」

 マグレの言葉に画面上のオリが無言で頷く。

 張り詰める緊張の中、マグレが指定したミラーウイングが爆発した。

 両者とも最大加速で接近、先に撃ったのは、マグレ。

 スピアの一撃は、レッドドラゴンウイズブレイドの翼を打ち砕く。

 翼が打ち砕かれたレッドドラゴンウイズブレイドは、大きく軌道を逸らすかと思われた。

『まだ行ける!』

 オリは、ドラゴンブレイドを展開し、砕かれた翼の代わりにして無理やりコース修正を行い、マグレのユニコーンと交差した。



 レッドドラゴンウイズブレイドのコックピット。

 緊急を知らせる赤ランプに照らされたオリが大きく溜息を吐く。

「強かった」

『……そっちもな』

 途切れ途切れの通信でマグレの声が聞こえた。

「正直、時間制限が無かったら勝っていたのは、どっちだったかな?」

『……経験の差で俺が勝っていた』

 自信たっぷりのマグレの言葉にオリが苦笑する。

「もう確かめようが無い事を自信たっぷり言われてもね」

 マグレからの返信は、帰って来ない。

 そして、ユニコーンの爆発の衝撃波がレッドドラゴンウイズブレイドに伝わる。



 グレートペガサスのブリッジ。

「マグレが逝ったか」

 イラターが呟く。

 ブリッジのメンバーに不安が立ちこめる中、イラターが命令する。

「短距離空間移動だ。あの新型戦艦、あれさえ落とせば、再起は、可能! 新型戦艦を撃沈後、一時退却する。最後の一仕事、全力を尽くせ!」

 ブリッジメンバーが答え、動き出すのを見て、小声でイラターが呟く。

「可能性だけは、あるが、事実上不可能だ。しかし、あの戦艦だけは、落とす。そうしなければならない。私の性がそう言っている」



 レインボードラゴンのブリッジ。

「敵戦艦が、空間移動をしました」

 管制官の報告にテンダが悔しそうに言う。

「また逃げられたか!」

 オクサが首を横に振る。

「今までの作戦から考えて、逃げる前に来ます」

 オクサの声に応える様に前方の空間がゆがみはじめる。

空断玉クウダンギョクを放射し、即座に展開してください」

 オクサの命令に従い、レインボードラゴンは、空断玉を放射、周囲に装置を配置し、防御フィールドを展開した。



 グレートペガサスのブリッジ。

「これがラストチャンスだ、ペガサスウイングを最大出力で連射!」

 イラターの命令に答え、次々にレインボードラゴンに最大出力のチャージ砲の連射が放たれる。

 空断玉の防御フィールドとチャージ砲のエネルギー弾がぶつかり合い、視界を塞ぐスパークが発生した。

「撃沈を確認後、直ぐに緊急離脱する、準備を急げ!」

 イラターが撤退の指示を始めた時、グレートペガサスに大きな衝撃が走る。

「まさか? 墜ちないのか?」

 イラターが信じられないものを見る目でスパークが晴れていく先を見ると、そこには、無傷のレインボードラゴンが在った。

 そして、後方から銃撃音が聞こえ、ブリッジの扉が開き、テンダが現れる。

「今度こそ逃がさないぞ」

 その後ろには、何故かマンカが真剣な顔をして居た。

 そして、謎の声が響く。

『安心してください、今回は、もう助けません。契約は、完了していますから。良いですねイラター様?』

「この声は、いつかのこいつ等を助けた男」

 テンダが油断なく構えるが、マンカが首を横に振る。

「この声の人、この世界に来ていない。声だけを飛ばして来てる」

 イラターは、諦めきった表情で言う。

「解っている、あの後結んだ新しい契約でも、この状況は、想定されていた。夢を見させてもらったよ」

『ご利用ありがとうございました』

 その声と共に気配が完全に消えた。

 マンカがコンソールを弄りレインボードラゴンとの通信を繋げる。

『貴方達の負けです。降伏して下さい』

 そう告げてきたオクサを見てイラターが言う。

「一つ聞いて良いか? お前ほどの切れ者だ、敵味方無く恨まれ、妬まれる。共に戦う筈の仲間に命を狙われ、それでもなんで戦える?」

 テンダが複雑な顔をする。

『護りたい物が、人が居る。それだけです』

 オクサの揺ぎ無い言葉にイラターが天を仰ぐ。

「そうか、そうだったな。そして私は、それを捨てたから負けたのだ。お前達、降伏しろ、この男には、誰も勝てない」

 この瞬間、反レイ帝国同盟との戦いが終わった。



 皇帝ワンの私室。

「お前をこのままこの世界に居させる訳には、いかない」

 人の姿をしたワンの言葉にイラターが答える。

「解っています」

 空間が揺れ、魔磨が現れる。

「この男は、我々が引き取ります。解っていると思いますが、この男が使用した技術は全て完全廃棄してください」

 ワンが頷き、イラターは、魔磨と共にその罪を償う為にこの世界を後にした。

 ワンは、延命の為の眠りを続けるイチカをみながら言う。

「これは、始まりでしかない。コンダクターがこの世界をターゲットにしてきた以上、これからも同様の問題が発生するだろう。しかし私は、信じる。帝国を思う若き魂を。彼等ならきっとコンダクターによる問題も解決していくだろう。かつての私達がそうだった様に」

 その時、眠っている筈のイチカが僅かに微笑んだ様に見えたのは、ワンの思いこみでは、ないであろう。



 辰騎士団の基地。

「結局、亥騎士団のゴーノ=アレロス団長は、生きてたんだよね?」

 スリーナの言葉にイレブが頷く。

「避難用ポットを利用したんだけど、爆風で飛ばされ回収までには、時間が掛かったらしい。今は、家で療養中だよ」

 テンダが納得顔で言う。

「あの親父がそう簡単に死ぬかよ」

 ヒャクリがその後を続ける。

「マンカさんが特攻する戦艦の非常脱出装置を改良していたのが、有効だったみたいです。戦艦の被害は、大きいですけど、死亡者は、戦いの規模にしては、少なかったらしいですよ」

 そこにオクサが入って来て言う。

「それでも多くの人が死んだのは、確かです。僕達は死んだ人の分まで頑張らないといけません」

「任せてください。あたしは、団長と共に帝国の平和を護っていきます」

 オリに熱い視線を送られるオクサが小さく咳払いをして話し始める。

「ここで重大発表があります」

 視線が集まり、オクサが言う。

「レインボードラゴンのレンタル期間がもう直ぐ終了しますので、新しい旗艦の購入準備を始めないといけません」

 その一言に、全員が驚く。

「レインボードラゴンって辰騎士団で買ったんじゃないの?」

 オリの質問にオクサが遠くを見て言う。

「辰騎士団に新型戦艦を即決で買う予算があると思いますか?」

 視線がヒャクリに集まり、ヒャクリが答える。

「ありません。一応計画は、作っていましたが、ヤマタノオロチの改修費用が優先で、予算の余裕は、全くありませんでした」

 オクサが手を叩き言う。

「そういう状況だった為、マンカさんにお願いして、レインボードラゴンの実働テストとしてレンタル契約を結んでいましたが、その契約期限がもう直ぐ来ます、この前の戦いの報奨金も出ていますので、旗艦を買う予算は、一応あります」

「だったらレインボードラゴンを買おう!」

 オリのストレートな提案にヒャクリが報奨金の金額を確認してから言う。

「残念だけど、それだけの予算は、無いわ。マンカさんも一応相場って物を覚えたから、とてもうちの予算では、買えない金額に成るはずよ」

 テンダが小声でオクサにいう。

「他所に回して大丈夫なのか?」

 オクサも小声で返す。

「多分、買うのは、十二支騎士団です。あれを保有し続けるのもトラブルの元になりそうですから、ここは、大人しく譲って、普通の戦艦を購入しようと考えています」

 テンダが肩をすくませて言う。

「確かに、おかしなクレームも多い。他の所にあのガキのお守りの大変さを理解させるのには、丁度いいな」

 そして、様々な意見が出る中、エースから通信が入る。

『ちょっと良いか?』

「嘘つき相談役が何の用ですか?」

 オリの言葉と同時に騙された騎士達が敵意の視線をエースに向ける。

 エースは、小さく咳払いをしてから言う。

『新型旗艦の話をしているのだろう? 通販ネットを潜っていたら、中古でお買い得な戦艦を見つけたから、勧めようと思ったのだ』

 そういってアドレスを送ってくる。

「通販に出るような中古の戦艦では、任務に向かないと思いますが、確認します」

 中立派のヒャクリが問題のページを開く。

 その場に居た全員が一瞬固まり、その後爆笑した。

 そこに載っていた戦艦の名前と製造元は、辰騎士団が良く知るものであった。

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