根元を掘り出すラット
情報捜査を少々、最終戦の各騎士団の動きがメインです
行方をくらましたイラターとマグレ。反レイ帝国同盟の中心人物。子騎士団は、その二人の行方を探っていた。
子騎士団の基地
「それで、奴等の逃走経路は、つかめたのか?」
子騎士団長、イム=ミノロスの質問に子騎士団の幹部達は、首を横に振る。
「ここで、反レイ帝国同盟の中心人物の行方を掴めなくて、子騎士団の面目が立つと思うのか!」
その時、会議室に新しい遠距離通信の画面が開く。
そこに移っていたのは、表向きは、雑誌記者の女スパイ、フジ=タロスであった。
幹部の一人が言う。
「今は、重要会議の最中だ。報告なら後にしろ」
それに対してフジは、躊躇しながらも言葉にする。
『確実な情報とは、言えないのですが、気になる情報をキャッチしました』
その言葉にフジの直接の上司が言う。
「この場で不確実な情報をあげるな。どうせ、敵が流したダミーの目撃情報だろう」
それに対してフジが首を横に振る。
『雑誌に投稿された情報なのですが、ドラゴンロードが無い場所で戦艦が突然消えたと言う物です』
幹部の一人が苛立ち怒鳴る。
「そんなデマを一々報告するな!」
しかしイムは、違った。
「その情報は、一件だけなのか?」
フジが首を横に振る。
『複数あります。問題は、それの投稿元がドラゴンホーン基地を方面から移動している事です』
「詳しい情報を送れ」
イムの言葉に、送られた発見情報の位置と日時を見て、幹部達も動揺し始める。
「しかし、戦艦がドラゴンロードを使用せずに空間移動をするなんて考えられませんが」
「相手は、異界の存在、こっちの固定概念で考えていたら駄目だ。それにこれならば、こちらの情報網に引っ掛らない理由も説明がつく」
イムの言葉に幹部達も頷くとイムが新たな指示を出す。
「捜査方針を変更、この投稿にあった場所の情報員を使い、詳しい聞き取り。そしてその周囲のドック及び補給物資の取り扱いを行う店を調査、普段と異なる大量購入者が居ないか確認しろ。相手もこっちの世界の人間を抱えているのだ、飲まず食わずで、戦艦を動かし続ける事は、出来まい」
「了解」
幹部達が動き出す。
そして、残ったイムは、通信が繋がったままのフジに言う。
「よく、こんな情報をこの会議の席に上げられたな?」
フジが苦笑しながら言う。
『辰騎士団の取材で、こっちの想像が出来ないものが幾らでもあると考えを変えました。あのマンカ様は、戦闘機を単独で空間移動させていた事を聞いていましたので、もしかしたらと思い、団長の判断を仰ぎたく、この会議に報告させて頂きました』
イムも苦笑する。
「確かに、マンカ様が現れてから、割れた子騎士団の仕事も大幅に変わっていった。これからも誠意努力しろ」
『了解しました』
フジが、そう返事をして通信を切った。
情報操作の方向性が決まってからの子騎士団の動きは、凄まじかった。
曖昧な噂レベルだった、消える戦艦の詳しい目撃情報から、その航路を探り出した。
その航路上の店から、補給物資の量を探り、敵の大枠の規模を算出し、遂には、目的地まで割り出した。
帝都ゼロ、皇帝陛下ワンの前に十二支騎士団の団長(又は、代理)が集まっていた。
『それでは、敵は、単独で空間移動を行える戦艦で、この帝都に向って空間移動を続けていると言うのだな?』
ワンの言葉に、イムが頷く。
「はい。航路から考えて間違いないでしょう」
丑騎士団長、クード=ミノタスが怒気を込めて言う。
「身の程知らずが、この帝都には、指一本触れさせんぞ!」
寅騎士団長、トリプ=ウラロスが不敵な笑みを浮かべる。
「今度こそ、確実に仕留めてやる」
兎騎士団長、ナーミ=テペロスが実直な顔で言う。
「奴等がこの帝都の周囲に現れれば即座に座標を報告します」
巳騎士団長、ミリ=アルテが妖艶に言う。
「あいつ等が食料を買っているのでしたら、部下の人間を忍び込ませて、こちらに現れるタイミングをリークします」
午騎士団長、シングーが無表情に言う。
「奴等に協力する外部勢力は、決して帝国内にいれません」
未騎士団長、オメガ=ビーロスが楽しそうに言う。
「空間移動装置、面白い発明ですね。しかし、これだけの情報があれば、空間移動距離と精度を解明する事は、可能。直ぐに割り出してご報告します」
申騎士団長、シック=へラクスが揺るがない言葉で言う。
「ドラゴンロードを使った敵増援は、全て私達が防いでみせます」
酉騎士団長、サーギ=イカロンが笑顔で答える。
「敵の大将の首、我等が確実に落とし、皇帝陛下に献上いたします」
戌騎士団長、ツーダ=ハデロスが淡々と言う。
「周辺の星の警護も我々がやり遂げます」
亥騎士団団長代理は、ただ頭を下げて言う。
「残った全戦力で、敵戦力に突貫する覚悟です」
それに対して、ワンが首を横に振る。
『旗艦もない騎士団は、戦力と認めない。お前達は、帝都ゼロの軌道上で、最終防衛ラインを組め』
亥騎士団団長代理は、悔しそうだが反論せずにその任を受けた。
そして、今の言葉は、辰騎士団団長代理のテンダにも影響した。
「我等も同様の任務を行う事になるのでしょうか?」
テンダの言葉には、エースが答える。
『ロンに行け、次の旗艦がもう直ぐ完成する。間に合ったら、こっちに参戦するが良い』
事実上の戦いへの参加不可宣言に、テンダは、血が出る程、強く拳を握り締めるが、頭を下げる。
「了解いたしました」
それを、他の騎士団長達が冷笑する。
こうして、反レイ帝国同盟との最終戦が始まろうとしていた。
その中、蚊帳の外に出された辰騎士団の新型戦艦は、間に合うのか?
決戦の時は、迫っていた。




