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猛獣を追い払うハウンド

ドラゴンホーン完全制圧作戦の爪痕は、深く辰騎士団に刻まれていた

 ドラゴンホーン完全制圧作戦後、辰騎士団は、副団長テンダの指示の元、反レイ帝国同盟との残党との戦いを繰り広げていた。



 辰騎士団の基地。

「オクサの手掛かりは、まだ見つからないか?」

 部下の騎士からの報告に重い口調で返すテンダ。

「アレロス副団長、団長とアポロス副団長達の事は、諦めるべきでは、ないでしょうか?」

 部下の言葉にテンダが睨みつける。

「お前等は、アテナス団長の言葉を信じられないのか! あいつが生き残る算段をつけていたと言ったんだぞ! 俺達の想像も出来ない裏技使って生き残ってるに決まってる!」

 騎士達が戸惑う中、イレブが前に立つ。

「兄貴、いい加減認めろよ! ヤマタノオロチの質量が完全に変換される過程は、全部記録されているんだ。非常転送装置の有効範囲では、自爆のエネルギーに耐えられないのも明確だ。アテナス団長達は、死んだんだ!」

 テンダがイレブの胸倉を掴む。

「黙れひよっこ! お前にオクサの何が解るというんだ!」

 睨み合う兄弟。

『何、遊んでいるんだ?』

 エースが通信して来た。

「エース様、どの様なご用件でしょうか?」

 テンダが体裁を整え質問を返すとエースが呆れた顔で返す。

『戌騎士団から協力要請が来ている。お前等も知っているだろうが、反レイ帝国同盟の動きが激しい。対応に人手が足りないらしいのだ』

 その時、一人の騎士が手を上げる。

「エース様、この状況で団長不在は、問題があると思います。アレロス副団長に団長へ昇進して貰った方がよろしいのでは、ないでしょうか?」

 テンダに睨まれて黙る騎士を尻目にエースが言う。

『確かに、団長不在の状態は、問題あるな。アレロス副団長、私の権限で団長代行の任を命ずる。他の騎士団とは、団長同等の権利をもって交渉する事を認める』

 テンダが悔しそうな顔をしながら頭を下げる。

「アテナス団長が見つかるまで、その任務、全うさせて貰います」

 それに対して、エースが冷たい目で告げる。

『あいつ等を幾ら探しても見つけることは、出来ない。アテナス団長以下、ヤマタノオロチに乗っていた騎士達は、世界から消えた。それは、確認済みだ。無駄な事は、するな』

 テンダが叫ぶ。

「嘘だ! オクサが死ぬわけが無い!」

 エースは、その叫びに答えず、自室からの通信を終了させる。



 レイ帝国でも有数の貿易の星、メッダロッソの軍事衛星。

「辰騎士団団長代行、テンダ=アレロス、今回の協力任務に参加する為に来た」

 テンダの言葉に戌騎士団の副団長、ワンワ=ハーデが答える。

「こちらも人手が足りなかったから助かる、特にそちらのカラーズドラゴン部隊がな」

 カラーズドラゴンを率いる筈の生気の無いオリを見て、苦笑いを浮かべる。

「奴等と戦える任務なら、この命にかえても全うします」

 オリの低い声での宣言にワンワが頷く。

「そうして貰おう。奴等は、こちらの戦力低下を狙って、この星を落とそうとかなりの量の戦力を集めてきたと兎騎士団から連絡があった。我々は、ここで弱みを見せるわけには、行かない。全ての襲撃を完全に防ぎ、十二支騎士団が健在である事を示す必要がある」

 テンダも頷く。

「辰騎士団は、ヤマタノオロチを失ったが、マンカ様が開発した特殊装置でランドドラゴンの出力を上げて、カラーズドラゴンのバックアップを行える様にしてある。十分な戦力になる筈だ」

 こうして、戌騎士団がメインの撃退作戦に辰騎士団のカラーズドラゴン部隊が参戦する事になった。



 ランドドラゴンワンのブリッジ。

「オリ、大丈夫か? 問題があるのなら、俺が代わるぞ」

 テンダの言葉にレッドドラゴンウイズブレイドに乗るオリが冷たい目をして答える。

『邪魔しないで、奴等に思い知らせる機会なのだから』

 テンダは、何も言わない。

 そして作戦が始まる。

 反レイ帝国同盟は、十二支騎士団やドラゴンホーン基地に居た部隊と異なり、旧式戦艦が殆どだった。

 しかしながら、ドラゴンホーン基地での一件が知れ渡り、チャンスとばかりに反抗勢力が結束していて、かなりの数になっていた。

 序盤は、戦艦の性能が勝る戌騎士団と辰騎士団が反レイ帝国同盟を圧倒していたが、中盤に入ると、戦闘機乗りの疲労も高まり、防衛ラインに食い込む敵戦艦まで現れた。

 そこで活躍したのが、オリだった。

 ランドドラゴン一隻のエネルギーを独占し、体当たり攻撃で、一気に食い込んできた戦艦を撃沈していくのだ。

『こんなもんで、あたしの怒りが収まるなんて思わないでよね!』

 そんな悲痛な叫びを聞き、ランドドラゴンワンのブリッジは、重い空気が流れていた。

 その中、反レイ帝国同盟に不自然な動きが発生した。

「奴等、まるでこっちをひきつけているみたいな動きをしていないか?」

 周りの騎士達が戸惑っていると人手不足でブリッジ要員に選ばれたミリオが答える。

「確かに、これだと、もしも敵にチャージ砲があった場合、危ない事になりませんか?」

 テンダが舌打ちする。

「戌に伝えろ、敵の後方にチャージ砲を装備した戦艦が隠れている算段が大きい。急いで、戦力を分散させろと!」

 次の瞬間、戦場を貫くようにエネルギー弾が飛び、戌騎士団の戦艦の一隻が墜ちる。

「遅かったか。アポロス戦闘隊長、防衛ラインは、戌騎士団に任せて、チャージ砲を搭載した戦艦の撃墜に専念しろ!」

 憎悪の視線でオリが答える。

『了解。チャージ砲を装備しているって事は、奴等の仲間。絶対に殺す!』

 単独で前線を突き抜けていくオリとその後についていくカラーズドラゴン。

 敵側もこちらの思惑が解っているのか、強固に防衛陣をひく。

 強力なカラーズドラゴンといえど、戦闘機、戦艦の大群を相手にするには、出力が不足している。

 その中でもオリは、次々と防御を打ち破って前進していく。

 しかし、他のカラーズドラゴンメンバーは、どんどん足止めを食らっていく。

 最終的にチャージ砲を搭載した戦艦の前に出た時には、オリは、完全に孤立していた。

「あの馬鹿、何を考えてる。アポロス戦闘隊長、一度後退して、カラーズドラゴンの到着を待て!」

 テンダの言葉にオリが答える。

『冗談を言わないで、敵が目の前に居るのに、逃げ出せるわけないでしょ!』

 オリのレッドドラゴンウイズブレイドは、一機で敵戦艦に突撃を開始するのであった。



 レッドドラゴンウイズブレイドのコックピット。

「墜ちろ!」

 オリは、腹のそこから叫び、必殺の体当たり攻撃に移ろうとした。

 しかし、その直前、エネルギーシールドの出力が下がった。

「どういうこと、早くこっちにエネルギーを回して!」

 オリの叫びに、テンダが答える。

『他のカラーズドラゴンがピンチなんだ、分散したカラーズドラゴンが集結する間、お前には、通常のエネルギー配分しか出来ない』

 拳を壁に叩きつけるオリ。

「目の前にオクサさんやヒャクリを殺した奴等の仲間が居るのに、どうして手が出せないのよ!」

 その時、戌騎士団の新型戦闘機ダックスフンドがチャージ砲搭載戦艦を囲み、地道にダメージを与えていき、そのまま撃沈した。

 それが引き金となり、この戦いは、終了した。



 メッダロッソの軍事衛星。

「今後の話だが、もう辰騎士団の手助けは、要らない」

 作戦終了後のワンワの言葉にオリが反発する。

「どういうこと!」

「落ち着け」

 テンダは、苦虫を噛み潰した表情でオリを止める。

 ワンワは、小さく溜息を吐き続ける。

「アレロス団長代行どのは、気付いているみたいだが、あんな戦い方をする騎士団と共同作戦なんて出来ない。それが戌騎士団の決定だ」

 オリが立ち上がり反論する。

「一番、戦艦を落としたのは、あたしよ!」

 ワンワが鼻で笑う。

「ああ、落としやすい旧式戦艦ばかりな。本当に落とし辛い戦艦を落としたのは、全部戌騎士団だ」

 その一言に、オリが何か言う前にテンダが頷く。

「その通りだ。今回の戦いでカラーズドラゴンがやったのは、敵の作戦通り、落としやすい戦艦を落として、チャージ砲の照準に戌騎士団の戦艦を導いた事だけだ。最後など、戌騎士団が居なかったら全滅していた」

 ワンワが頷く。

「戦艦を落とされたのは、こちらの失策で、辰騎士団に抗議をあげるつもりは、無い。しかし、同時に二度と背中を預ける気が無くなった。それが全てだ」

 オリが悔しげに拳を握り締め、そしてワンワが立ち去った後、泣き崩れる。

 テンダは天を仰ぎ言う。

「オクサ、俺には、お前の代わりは、勤まらない」



 戌騎士団の働きにより、反レイ帝国同盟の襲撃がレイ帝国に深刻なダメージを与える事は、無かった。

 しかし、その中、辰騎士団は、防衛作戦に参加する事は、無かった。

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