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急所を狙うイーグル

ドラゴンホーン完全制圧作戦も今回で終了。その結末に待つものは?

 反レイ帝国同盟の最終防衛ラインを突破し、戦いは、ドラゴンホーン基地内部に及ぼうとしていた。



 ヤマタノオロチのブリッジ。

「そちらの状況は、どうですか?」

 オクサの質問に、突入部隊を指揮するテンダから返事が来る。

『もう、寅の奴等が深部に入り込んでいる。ハゲタカの奴等もちゃっかり入り込んでる。少し出遅れたのかもしれないぞ』

 オクサがヒャクリに視線を送ると、ヒャクリが素早くルート指示を出す。

「可能性が低いターゲット潜伏ポイントへのルートです」

 テンダが舌打ちする。

『大穴狙いで行くしかないか。それじゃ行ってくる』

 テンダとの通信が切れた所で、オクサがオリの方を向く。

「万が一にも敵が小型艦で逃げ出す可能性がありますので、再出撃をお願いします」

 オリがあっさり頷く。

「上手く行けば逃走中のマグレと戦えるからな。カラーズドラゴンは、全部だすが良いか?」

 オクサが頷く。

「他の戦艦の戦闘機も防衛に出ていますので、問題ありません」

 そしてオリは、カラーズドラゴンを率いて周辺探査に向った。

「アテナス団長、レイ帝国で設置した覚えの無い巨大人工衛星がありますがどうしますか?」

 ヒャクリの報告にオクサが難しそうな顔をする。

「他の騎士団は、調査を行ってないのですか?」

 ヒャクリが即答する。

「生命反応がない為、敵幹部が潜伏している可能性も、有効な兵器の可能性も低い為、後回しになっています」

 オクサが少し思案した後、指示を出す。

「ランドドラゴンを使って調査隊を送り、調査情報は、常にマンカさんにデータリンクして下さい」

「了解しました」

 ヒャクリがその指示を細分化して、騎士達に伝達していく。



 酉騎士団の旗艦、レッドフェニックスのブリッジ。

「それで、敵司令官は、見つかったのか?」

 酉騎士団長、サーギ=イカロンの言葉に副団長、ミミッツ=イカロが答える。

「残念ながら。しかし寅や、辰の部隊に対する監視と牽制を行う騎士達を配置していますので、奴等に最高の手柄を奪われる事は、ありません」

 サーギが頷く。

「今回の作戦、一番の手柄は、我等酉騎士団が取らねばならない。手抜かりは、許さんぞ」

 ミミッツが頷く。

「了解しております」



 ドラゴンホーン基地の下層部。

「こっちも外れみたいだな。当たりは、何処にも出ていない。逃げられたのか?」

 テンダが次の一手を考えていると部下の一人が手を上げる。

「どうして他の騎士団が捕まえていないと解るのですか?」

 テンダが苦笑して、自分達が通ってきた道を指差す。

「理由は、簡単だ、ハゲタカの見張りがまだついてきているからだ。他の所で見つかってたら、そんなもんが付いてる訳が無いだろう」

 騎士達が苦笑する中、オクサから通信が入る。

『そっちの状況は、どうですか?』

 テンダが悔しそうに答える。

「見当たらない。下手をしたら逃げられたかも知れない」

 するとオクサが少し考えた後、指示を変更する。

『幹部の探索任務は、一時中断。敵戦闘機が止められる場所を調べて、ユニコーンの有無を確認して下さい』

 テンダが溜息を吐きながら答える。

「相手の確認には、それが確実だな」

 そしてテンダ達が目的を変えて、捜索を開始すると直ぐに、敵側からの襲撃が続いた。

「どうなっている? 幹部捜索の時には、敵抵抗は、少なかった。それなのに、発着デッキに近づこうとした途端、襲撃が厳しくなったぞ。まるで俺達をこの基地から脱出させたく無いように見えるぞ」



 ヤマタノオロチのブリッジ。

「アレロス副団長の報告が正しければ、ドラゴンホーン基地は、自爆して、こっちの戦力を削ろうとしている可能性がありますが、アポロス副団長、それは、可能ですか?」

 ヒャクリは、ドラゴンホーン基地のシステムに入り込み答える。

「そういった仕掛けがあったのは、確かですが、酉騎士団が素早く排除してあります。もしも、本来のシステムと切り離された自爆システムがあっても、対処可能レベルだと思われます」

 オクサが独り言を呟く。

「元々レイ帝国の施設。設置した自爆システムが動かなくなる事を考えないわけが無いですね。そうするともっと確実な方法でこちらに被害を出す物がある筈です」

 その時、ブリッジにマンカが映る。

『あの人工衛星は、質量変換型の収束型エネルギー炉だよ!』

 いきなりの言葉に戸惑う一同を代表してオクサが言う。

「そのエネルギー炉のパワーを使った場合、こちらに致命的なダメージを与える事が可能ですか?」

 マンカが首を横に振る。

『出来ない。兵器にエネルギー供給するって前提なら全然脅威にならない。一度に出力出来るエネルギー量もたいした事がないから。でも最初からそんなシステムじゃない。あれは、故意に炉を暴走させて、周囲の質量を強制的に取り込ませて、取り込めなかった質量ごと自爆するつもりだよ!』

 言葉と同時にシミュレーション結果が表示され、ブリッジに重い空気が流れた。

「とめる方法は、無いのですか?」

 オクサの質問にマンカが首を横に振る。

『正常に起動している状態なら幾らでも方法があるかもしれないけど、もう暴走が始まってる。こうなったら、何をやっても無駄。あえてあるとしたら、使用されてる人工衛星の質量を削り、爆発を押さえ込む事だけど、それでも、あの位置じゃ、ドラゴンホーン基地の質量を奪うには、十分な状態になってる』

 その言葉にオクサがある事実に気付く。

「詰り、あの人工衛星の位置を動かせば、ドラゴンホーン基地を救う事が出来るのですね?」

 マンカが難しい顔をして、星間図を指で示しながら言う。

『確かに、暴走影響範囲から少しでも外れれば、後は、ドラゴンホーン基地のエネルギーシールドで自爆に対する防御は、可能だけど、あんな巨大な物を動かすには、専用の船が必要だよ?』

 オクサが真剣な表情で言う。

「ヤマタノオロチでは、不可能ですか?」

 マンカが計算をしながら答える。

『運竜モードを使えば、そういったことも可能だけど、せめて質量が半分以下にならないと駄目。人工衛星の移動に全エネルギーを使うから、当然人工衛星の破壊は、ヤマタノオロチで行うのは、不可能。ドラゴンホーン基地の安全圏まで移動させた場合、自爆に巻き込まれる可能性も物凄く高い。そうなったら、ヤマタノオロチは、それまでだよ』

 ブリッジメンバーに緊張が走る。

 オクサの決断は、早かった。

「躊躇している時間は、ありません。人工衛星まで移動してください。その間に、人工衛星の質量を奪う為の攻撃の要請を行います」

 騎士達も躊躇することなく、指示に従うのであった。



 レッドフェニックスのブリッジ。

『計算の結果、人工衛星の質量を奪う攻撃を行えるのは、レッドフェニックスだけの事が判明しました。どうか協力をお願いします』

 頭を下げるオクサにサーギが笑顔で答える。

「当然です。詳しい情報を下さい」

『こちらの作戦スケジュールとシミュレーションデータを送りました』

 ヒャクリがすぐさまデータを送り、それを受け取ったミミッツが目を通して確認する。

「確かに、これだけの攻撃力と安全圏への離脱能力を両立する戦艦は、このレッドフェニックスしかありません」

 サーギが頷く。

「了解しました。お互い、仲間の命の為、最大限の努力を致しましょう」

『感謝いたします』

 オクサが礼をし、通信をきるとサーギが言う。

「ぎりぎりの所で、ヤマタノオロチの離脱が間に合わないレベルの質量を洗い出せ」

 ブリッジメンバーの一部の顔が強張る中、ミミッツが平然と頷く。

「了解しました。故障を偽装しておけば、足らなかった理由には、十分な筈です」

 サーギが頷く。

「今回のドラゴンホーン完全制圧作戦は、半ば成功、半ば失敗。次の作戦で、今回の作戦を含めた評価が下される。それに邪魔な、ヤマタノオロチは、ここで消えて貰おう」



 ドラゴンホーン基地の発着デッキ確保を行っていたテンダが状況を知ったのは、作戦開始直前だった。

「俺が大至急戻るから、お前は、直ぐにこっちに移動しろ!」

 テンダの言葉にオクサが首を横に振る。

『責任者が現場を離れるわけには、いきません』

 苛立ちを込めながらテンダが怒鳴る。

「そんな安全性が低い作戦に団長が関わるのは、副団長として認められない。現場担当者としては、アポロス副団長も未熟だから、俺が責任者として、その作戦を遂行すると言っているんだ!」

『未熟とは、失礼では、ないでしょうか?』

 ヒャクリの返信に軽く頭を下げながらテンダが言う。

「悪かった。口が過ぎた。団長のサポートをするのは、俺よりアポロス副団長の方が適している。だから、団長共々ヤマタノオロチを降りてこっちで辰騎士団の指揮をとってくれ」

 苦笑するオクサ。

『そんなに心配しないで下さい。イラターが率いる反レイ帝国同盟を倒すまで、死ぬつもりは、ありません。生き残る算段は、ちゃんとありますから』

 自信たっぷりの言葉にテンダが頭をかきながら言う。

「俺は、お前の代わりに団長になるつもりは、ないからな!」

 オクサが答える。

『解っています。あの時の誓い、二人で十二支騎士団を変えていくって誓いは、絶対に果たします』

「死んだ前団長との誓いだ。絶対に護るんだからな」

 テンダが念を押すとオクサは、強く頷いた。

 そして、捜索が危険と、専門の騎士以外がドラゴンホーン基地の制圧にかりだされ、その中の一人、オリがテンダの元に来た。

「今回の作戦って本当に大丈夫なの?」

 テンダが複雑な顔をして答える。

「ヤマタノオロチの性能なら、あの人工衛星を安全圏まで移動させた後の離脱も十分可能だ。問題は、ハゲタカがこっちのオーダー通りの働きをしてくれるかだ」

 オリが頭をかく。

「よりにもよってあいつ等を信用しないといけないなんて、最低」

 画面に映るレッドフェニックスの両翼部にある多連砲、フェニックスウイングが発射された。

 それを見たテンダがレッドフェニックスと連絡をとり、怒鳴る。

「どうして、フェニックスウイングが全砲門から発射されないんだ!」

 その対応に出たミミッツが答える。

『機械の不調です。連戦で、一部の砲門に故障があった様です』

 オリが割り込む。

「そんな事より、足りない分をもう一度射撃して!」

 ミミッツが首を横に振る。

『残念ですが、もうこちらも離脱行動を開始しないと間に合わない状態なのです』

「ふざけるのも大概にしろ! このままでは、ヤマタノオロチの離脱が間に合わないんだぞ!」

 テンダが怒鳴るがミミッツが平然と答える。

『我々も自分の船を護る責任があるのです』

 テンダは、睨みつける。

「お前じゃ話しにならない、イカロン団長を出せ!」

 ミミッツが淡々と答える。

『すいませんが、離脱準備で団長は、手が離せない状態です』

 オリが悲痛な叫びをあげる。

「少しでも良いから質量を減らして!」

 テンダは、ヤマタノオロチに通信をつなげる。

「団長のお前だけでも逃げ出せ! お前は、辰騎士団にとって必要な人間なんだ!」

 オクサが首を横に振る。

『今からでは、間に合いません。助けに来ないで下さい。ドラゴンホーン基地の制圧を頼みました。離脱が上手く行かなかった場合、辰騎士団をしばらくお願いします』

「馬鹿を言うな!」

 テンダが怒鳴る。

「あたしが迎えに行く!」

 オリが駆け出そうとした時、テンダがその腕を掴む。

「何をするの!」

「カラーズドラゴンでは、接近する事すら危険だ。あいつの奇策を信じて待て」

 テンダが憤りを押さえ込んで言う。

 そして、ヤマタノオロチが人工衛星の移動を開始する。

 重苦しい空気の中、ヤマタノオロチは、人工衛星の移動を終了した。

「急いで逃げろ!」

 テンダが力の限り叫んだその時、人工衛星が爆発し、周囲の質量を取り込み始めた。

「間に合うの?」

 オリが弱々しく呟き、テンダが騎士達に確認をさせる。

「残念ですが、僅かに足りません」

 騎士の答えにテンダが叫ぶ。

「まだだ、オクサだったら何か手を考えているはずだ!」

 その叫び声が消える前にヤマタノオロチが質量変換に巻き込まれて消えていった。



 ドラゴンホーン完全制圧作戦は、対外的には、完遂されたと伝えられ、イラター達の行方は、極秘裏に調査される事になるのであった。

 十二支騎士団は、多くの被害をだし、その詳細を把握するのには、多くの時間が必要であった。

 ただし、辰騎士団旗艦、ヤマタノオロチについては、即座に消滅したと調査結果が発表された。

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