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槍と盾を持つユニコーン

反レイ帝国同盟を率いるイラターとの本格戦闘開始

 一度動き出した十二支騎士団の動きは、凄まじかった。

 目標があり、それが他の任務より優先されている今、通常の任務をそこそこに、マグレ達の艦隊の捜索、壊滅に動いていた。



「敵のチャージ砲来ます!」

 寅の旗艦、ファイアータイガーのブリッジ、寅騎士団団長トリプが冷酷に告げる。

「一発目は、防げない。囮艦を出して撃たせろ。その後、再チャージの時間を与えず、奴等を殲滅する」

 指示に答えて、エネルギー量だけは、高いダミー艦が前面に出る。

 敵の強力な砲撃が、ダミー艦を打ち落とす。

「もうチャージさせない。タイガーファング用意!」

 ファイアータイガーの前面が開き、そこから砲門が展開する。

「エネルギー内部ループ速度最大」

 副団長カルテが、報告し、エネルギーゲージが高まっていく。

「撃て!」

 トリプの一言で、タイガーファングが放たれる。

 その一撃は、敵の集団が盾としていた衛星を一撃で破壊する。

「次弾いけるな!」

 トリプの言葉に、もう一人の副団長ルテットが答える。

「はい。試弾の結果、最大十連続が可能です。ただし、その場合、大量の部品の交換が発生し、かなりの出費になります」

「気にするな、成果さえ挙げれば良い。ここで、時間をかけたらあっちのチャージ砲が来る。こっちが有利なのは、ザコ船の数とファイアータイガーの連射速度だ。費用を気にして、その長所を潰してどうする!」

 トリプの答えに、ルテットが答える。

「了解しました。指揮下の軍に通告し、逃げ道を塞ぎます」

 盾を失って、逃走に走る敵艦の進行方向に寅騎士団指揮下の軍艦が立ちふさがる。

 しかし、基本性能の差から次々と軍艦は、撃沈されていくが、その間に、ファイアータイガーのタイガーファングが敵の主力艦を潰してしまう。

「決まったな。捕虜を捕らえて、敵の情報を集めろ。辰の奴等が遭遇した敵司令官クラスを探し出すんだ」

 トリプの言葉に騎士達が、指揮下の軍艦の被害などお構い無しに作業を続けるのであった。



「接近戦だ! 接近して、ダックスフンドを前面に出して行け!」

 戌騎士団副団長ワンワの言葉に、騎士達が必死に動く。

 その間にも敵艦の主砲が戌騎士団の戦艦のエネルギーシールドを過負荷にしてダウンさせていく。

 しかし、そこまでした結果、戌騎士団が急遽大量生産させたダックスフンド部隊の有効範囲まで距離が縮まった。

 一斉に出撃するダックスフンド。

 戦艦の性能差が明確な為、油断しきった敵艦隊を一気に制圧していく。

「指揮下の軍に通達、蟻の子一匹逃すな」

 その数で、その空域を完全封鎖していた軍艦がその包囲網を狭めていく。



「行くぞ」

 淡々と告げる亥騎士団団長ゴーノの一言と共に、亥騎士団旗艦ワイルドボアとその配下の特攻艦が突き進む。

 敵艦からのチャージ砲が放たれる。

 その一撃で、特攻艦が数隻撃沈される。

 だが、ブリッジの誰もが平然と作業を進める。

「突貫!」

 ゴーノの号令と共に、加速したワイルドボアが敵艦に突撃し、打ち砕く。

 それに倣うように他の特攻艦も敵艦に突撃する。

 当然の様に、敵艦諸共爆発する艦もあるが、亥騎士団は、怯まない。

「レイ帝国に害を成す者を一兵たりとも逃がすな!」

 ゴーノの言葉に従い、一隻も残らず敵艦が宇宙の藻屑と化した。



「どこも派手にやってるな」

 辰騎士団の司令室で、テンダが言うと、オクサが頷く。

「もう少し、被害を考慮して欲しいですが、しかたありませんね。それよりも、この数は、前回の戦いの時を考えると、不自然ですね」

 資料を持ってきたヒャクリが言う。

「巳騎士団の調査によれば、イラターと呼ばれる人間が、周囲の反レイ帝国の勢力に技術・戦力供給しているみたいです。幾つかの技術につきましては、巳騎士団が確保して、未騎士団で調査を行っています」

「やはり、頭を叩かないと行けないのですね。彼の居場所についての情報は?」

 オクサの言葉にヒャクリが首を横に振る。

「子騎士団が、技術供給されたルートから逆探査しているのですが、まだ、正確な場所が掴めていません」

「早く出て来いって言うんだ!」

 オリが不機嫌そうに言う。

「そう簡単に尻尾を出さないでしょうね」

 オクサの言葉に、テンダが言う。

「俺達は、どうするんだ?」

 オクサが笑顔で答える。

「他の騎士団の皆さんが頑張っていますから、今は、待機です」

 不満そうな顔をする騎士達を尻目に、司令室を離れるオクサ。



『奴等の目的は、決まっている。この世界で自分の居場所を作る事だ。そして、反レイ帝国同盟という丁度良い器を作った。奴等が次にするのは、何だと思う?』

 エースの私室で質問されるオクサ。

「いま一番欲しいのは、領土もしくは、大規模な基地です。それもレイ帝国、我々に手が出せない場所。そこを拠点にして戦力を安定させるのが一番確実です。逆を言えば、それを作らせなければ、ただの強力な戦艦を持っているテロの一派でしかありません」

『その可能性は、あるのか?』

 エースの言葉にオクサが幾つかのポイントを表示する。

「未だにレイ帝国と友好関係が無い国です。その中でもゴールドクロー王国は、一番危険です。前回の件もあります。レイ帝国に対する敵対心も大きいはずです」

 その時、ヒャクリから通信が入る。

『団長、午騎士団から協力要請です。イラターの配下のマグレが居る艦隊に包囲網を破られて、ゴールドクロー王国に入られたそうです』

 エースが告げる。

『ここが正念場だ。任せたぞ』

 エースの言葉に、オクサが敬礼をする。

「お任せください。レイ帝国の安定の為、奴等を倒してきます」

 出撃準備が終っていたヤマタノオロチは、即座に出航して、ゴールドクロー王国に向かった。



「奴等は、ゴールドクロー王国の辺境にあった軍事基地に居座っている。大した戦力が残ってなかった為、警戒を薄くしていた所を突かれた」

 悔しげに午騎士団団長シングーが言うとオクサが答える。

「しかたありません。それよりも、敵の艦隊の動きは、どうなっていますか?」

 午騎士団の騎士が答える。

「こちらの調査では、基地の大幅な改造と施設の増設を行っています。こちらの包囲網を破った戦力がそのまま、警護を行っている様子です」

「詰り、相手の援軍が来る前に、そいつ等を潰して、基地をこっちが奪い取れば良いって事だよな」

 テンダの言葉にシングーが首を横に振る。

「残念だが、そう簡単にも行かない。ゴールドクロー王国から正式な通達が来ている。あの基地は、あくまで自分達の所有物であり、占領した艦隊は、自分達と無関係。艦隊の方を潰すのは、構わないが、基地に対する侵攻を行えば、領土侵犯と判断し、報復行動に出ると言って来ている。本国からは、前回の強攻策がある為、領土侵犯と取られる行動を起こすなと言う命令も来ている」

 呆れた顔をするテンダ。

「上の連中は、何を考えてるんだ? この一大事に、外交問題くらいそっちで解決しろよな!」

 オクサが苦笑して言う。

「仕方ありません。コンダクター関連の問題は、十二支騎士団だけの極秘事項です。一般的には、単なる反抗組織の一派でしかありません。それよりも外交問題を優先するのは、仕方ない事です。艦隊の制圧、その後、この基地に集まって来る、反抗勢力の各個撃破することです」

 ジングーも悔しげに頷く。

「その方法しかないな。艦隊の撃破は、そちらに任せたぞ、こっちは、ゴールドクロー王国からの干渉と敵増援の対応を行う」

 オクサが頷く。

「任せて下さい」



 敵の主力武装であるチャージ砲の射撃から戦いが始まる。

「篭竜モードで耐えて、チャージ砲の初弾が終了後、カラーズドラゴンを出します」

 オクサの言葉に従い、出撃を待つカラーズドラゴン。

『今度こそ決着つけてやるんだから!』

 オリがやる気一杯の顔をして居た。

 そして、チャージ砲の着弾。ヤマタノオロチのブリッジにも振動が来る。

「被害報告をお願いします」

 即座にヒャクリが告げる。

「連弾を食らった、ネックスリーが中破し、使用不可能。他、ネックワン・フォーが小破、ドラゴンブレスの連射が不可能です」

『モード移行は、可能よ』

 クシナダの言葉にオクサが頷く。

「母竜モードに移行し、カラーズドラゴン出撃」

『母竜モードに移行します』

 クシナダの通達に従い、母竜モード移行後、カラーズドラゴンの出撃が開始する。

 カラーズドラゴンが予備機を除く全機出撃した後、闘竜モードに移行するヤマタノオロチ。

「ドラゴンブレスで牽制、敵が防御を固め、後退した艦に、クサナギ連射して下さい」

 オクサの指示に従って次々とドラゴンブレスが発射され、敵艦の一隻が他の戦艦に護られる様に後退したのを確認して、そこにクサナギが撃ちこまれて行く。

 いくらクサナギでも、防御された敵艦を一撃で静める事は、出来ない。

 しかし、クサナギの威力は、確実に防御していた戦艦を潰していく。

「有効射撃になりませんが、続けますか?」

 ヒャクリの言葉にオクサが答える。

「いいえ、有効射撃です。こうやって居る限り、相手は、旗艦の防御を優先して、戦力を削っていきます」

「しかし、その場合、敵の旗艦に逃亡される危険性があります」

 ヒャクリの言葉に、オクサが答える。

「その為の、ランドドラゴンです」

 ヒャクリが納得して、部下に指示を続ける。

 オクサが戦況を確認しながら呟く。

「ここで確実にイラターを押さえないと、またふりだしに戻される」



「マグレは、何処だ!」

 オリは、敵の戦闘機を次々と撃沈させて行きながら、マグレの戦闘機を探していた。

『待たせたな』

 その通信と共に、オリの前方に現れたのは、他の戦闘機と一線を引く直角的な外見と、右側に槍、左側に盾の様な物を持つ戦闘機に乗ったマグレであった。

「女を待たせるなんて、男として失格だね!」

 マグレが苦笑しながら言う。

『それは、すまなかったな。こちらにも色々事情があってな。今度は、前回と一緒と思うな。ようやく俺の愛馬、ユニコーンが完成した。これならば誰にも負けない!』

「戦闘機の性能が多少上がった所で変わらない!」

 先に攻撃をしたのは、オリ。

 レッドドラゴンのエネルギー弾がユニコーンに向かう。

 ユニコーンの左側に装備された盾から発生したエネルギーシールドがあっさり受け止める。

『正面からの攻撃が通じると思うな!』

 マグレが宣言して、今度は、右側の槍を前に出すとその先端からエネルギー弾を放つ。

 オリは、間一髪の所で避けたが、衝撃がコックピットを襲う。

「嘘! どうして?」

 慌てて、状況を確認すると、本来ならエネルギーシールドで弾かれる筈のエネルギー弾の直撃と判明した。

『先に言っておこう、このユニコーンのスピアは、エネルギーシールドを貫通する特殊なエネルギー弾を放てる。そして、シールドは、戦艦の主砲すら受け止めるエネルギーシールドだ。ただし、装備は、それだけだ。シールド以外には、エネルギーシールドは、存在しない』

 オリがその言葉に気合を高める。

「なるほどね、後ろを取られない。技術だったら絶対上だって自信が有るって事だね! だったら、その自信打ち破ってあげる」

 二人の高速のドッグファイトが開始される。

 双方は、高速で相手の後ろを取ろうとする。

 交差、高速移動、相手の軌道を読んだ、急角度の方向転換からの攻撃。

 お互いの部下が二人の援護を行おうと必死に追いすがるが、直ぐに突き放され、置いていかれる。

 相手の武器の性質を知ってからオリは、クリーンヒットを食らわず、ユニコーンに小型ミサイルでのダメージを与えていた。

 しかし、それだけだった。

 オリのレッドドラゴンは、スピアによるダメージが所々あり、このまま続けば、勝つのは、マグレだろう。

『お前は、よく戦った。だが、実戦経験の差は、実力の差と等しい』

 マグレの言葉にオリが、歯軋りをしながら、周囲の状況を確認する。

 そして見つける逆転の為の賭けを。

「後ろを取れるものならとってみなさい!」

 オリが一気に速度を上げる。

『何処に行くつもりか知らないが、逃がさん!』

 二人の目前に、午騎士団の戦艦があり、その主砲の射線にオリとマグレの戦闘機が入った。

 打ち出される主砲、マグレは、シールドを使って紙一重で、かわす。

『味方の主砲を使うか、考えたな。残念だが俺には、通じない』

「あんたの止めをさすのは、最初からあたしの仕事よ!」

 オリがユニコーンを後方からロックオンした。

 そして、エネルギー弾のボタンを押した。

 しかし、レッドドラゴンからエネルギー弾が出ることは、無く、コックピットでは、盛大に警告音が鳴り響く。

「何で弾が出ないのよ!」

 オリがユニコーンをロックオンしていたディスプレイを叩く。

『まさか、主砲のエネルギーを自ら受けて、一気にこちらの後方に移動するなんて、見事だった。もし、エネルギーシールド過負荷でエネルギー弾が撃てない状況でなかったら負けてた。それは、認めよう』

「五月蝿い! こっちは、もう動けない。貴方の勝ちよ!」

 オリが叫ぶと予想外にユニコーンが戦場から離れていく。

「情けをかけるつもり!」

 オリの叫びにマグレが答える。

『時間切れだ。俺は、イラターのところに行かないといけない。次こそ、真の勝負を決めよう』

 そのまま、レッドドラゴンのレーダー外に出るユニコーン。

「くそー!」

 力の限り叫ぶオリであった。



 イラター側の旗艦は、ヤマタノオロチの主砲を回避して、ヤマタノオロチに対して味方艦を盾にする位置、戦闘空域の最後部に移動して居た。

「ここまで逃げれば、あの戦艦の主砲も届くまい」

 艦長が安堵の息を吐いた時、オペレーターが叫ぶ。

「敵です! 後方から、三隻! 十二支騎士団の戦艦、ランドドラゴンです!」

「馬鹿な! エネルギーチェックで、この周囲に敵艦が無い事は確認済みの筈だぞ!」

 艦長の言葉に、オペレーターが強張った顔で言う。

「敵艦、大型彗星の後方から、慣性のみで接近して来たようです」

 愕然とする艦長。

「それでは、奴等は、戦闘開始前から我々がこの位置に来る事が解って居たと言うのか?」

 ブリッチに重苦しい空気に支配された時、マグレからの通信が入る。

『相手には、とんでもない切れ者が居るって事だ。多少早いが作戦を第三段階に進めろ』

 その言葉に艦長が頷き、ブリッジのメンバーに指示を出す。



「どうなってるんだ!」

 ランドドラゴンで敵旗艦に奇襲をかけたテンダが、人っ子一人居ないブリッジを見渡し叫んだ。

「逃げられたのですかね?」

 部下の言葉にテンダが舌打ちする。

「特殊な魔法装置を使えば、近距離なら移動は、可能だが、何処に行った? あいつ等が基地に入ったんだったら話は、簡単だ。敵を追撃するって名目で基地に潜入出来る。しかし、その選択肢は、まだ無い。それがアテナス団長の考えだ。あいつが予測を間違えたと言うのか?」

 騎士団員も困った顔をする。

 そして、通信システムが復帰し、ヤマタノオロチのブリッジと通信が繋がる。

「アテナス団長、こっちは、もぬけの空だ。奴等、どこに逃げた?」

 その一言に、オクサの顔が強張った。



「アポロス副団長! 急いで本国に連絡して、事前にチェックしてあったレイ帝国内のチェックポイントの調査を依頼。こちらに向かっていると思われる十二支騎士団にも急いで戻るように連絡。こっちは、ダミーです!」

 オクサの叫びにヤマタノオロチのブリッジが凍りつく。

 そして、午騎士団から通信が入る。

『本国から連絡があった。敵勢力が本国のドラゴンロードから離れ、周囲をブラックホールと彗星群に護られた、龍神機関開発工場とそれを守備するドラゴンボーン基地が占拠された』

 ジングーの言葉は、ひたすら重たかった。

 その中、ヒャクリが告げる。

「敵の戦艦の一部が、午騎士団の包囲を抜けて、この空域を脱出しました」

 オクサが搾り出すように言う。

「残った敵に降伏勧告を。残った人達には、戦力皆無なので降伏するでしょう。午騎士団に捕虜の引渡し後、基地に戻ります」

「了解しました」

 ヒャクリが淡々と作業を続ける。

 オクサがブリッジを出て、壁を叩き、小さく、心の底から宣言する。

「今回の負けは、何倍にもして返します」

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