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忠義を示すドッグ

また戦闘シーンが少なめ、宴会があります

「奴等は、何者だ!」

 戌騎士団副団長ワンワが新型戦闘機ダックスフンド試験を兼ねた、不法占拠を行って居た艦隊の討伐で遭遇したのは、異常な性能を持った艦隊であった。

「こちらの防御を完全に貫通しています!」

 信じられない事実に動揺するブリッチ。

 ワンワが怒鳴る。

「落ち着け、こっちには、新型戦闘機が多数ある、接近戦で勝負するのだ」

 ワンワの一喝に、慌てて行動を開始する騎士達。

 ワンワの作戦は、ある意味当っていた。

 もしも、あのまま戦っていたら、戌騎士団は、完敗していただろう。

 しかし、数で劣る不法占拠艦隊だったが、戌騎士団の包囲網を打ち破り、脱出してしまう。

 その原動力になったのは、一機の戦闘機であった。

 ワンワが舌打ちしていると、通信士がある電波を掴まえる。

「ハーデ副団長! あの戦闘機から通信が入っています。繋ぎますか?」

「繋げ! どんな奴等か見てやろう!」

 ワンワが答えると直ぐに通信が繋がり、ブリッジの大きく戦闘機のパイロット、マグレが映し出される。

『俺の名前は、マグレ。少しは、やるな。流石は、あいつ等と同じ十二支騎士団だけは、ある』

 その言葉にワンワが、思考を走らせる。

「他の騎士団とやりあった事があるのか?」

 マグレが悔しそうな顔をして言う。

『ああ。辰騎士団の戦闘隊長に言っておけ、この前の預けた勝負の決着をつけにいくと!』

 そして通信が切れる。

 舌打ちするワンワ。

「辰騎士団の奴等が逃がした奴等か、抗議を入れておかないと行けないな」



『この様な事態は、二度と起こらない事を祈る』

 そう言って、ワンワが通信を切ると、辰騎士団の司令室に重い空気が流れる。

 最初に発言したのは、当然の様にオリであった。

「あの野郎、いい度胸してるじゃないか! 次は、絶対に仕留めてやる!」

「オリ、それより問題は、私達が取り逃がした奴等がまた動き出したって事です」

 ヒャクリの言葉にテンダが嫌そうに言う。

「確かにな。奴等の存在は、大きな問題だ。しかし、本気でどうするんだ? 戌の報告が正しいとしたら、あいつ等の戦力は、前回を越すぞ。一騎士団で対抗するのは、難しい話だ」

 オクサが頷く。

「エース様と相談して対応を決めます。皆さんは、いつでも出撃出来る様に準備を開始していてください」

 オクサが席を立ち、エースの所に向かう。

 そして慌しく動く騎士達。

「ところで、マンカを見ないんだけど、理由知ってる?」

 スリーナの言葉に、クシナダが答える。

『本家の方に行ってると聞いています。色々連絡事項があるらしいですよ』



『どうするつもりだ? 相手が異世界の技術を使っている以上、こちらの戦力予測など殆どあてに出来ない。協力を求めるとしても、真実を隠しては、難しいぞ』

 エースの言葉にオクサが頷く。

「はい。ですから、陛下に、『宴会』を開いてもらいます」

 エースの顔に動揺が走る。

『まさか、真実を伝えるのか?』

 オクサが強い意志を籠めて答える。

「その為に、ある程度の情報を流しておきました。今回の件がコンダクターの連れてくる者達と戦う為に十二支騎士団が動く切掛けに成るはずです」

 エースが目を瞑り熟考してから言う。

『お前に賭けよう。ワンには、私から連絡を入れる』

 オクサが頭を下げる。

「ありがとうございます」

 エースがあったかい目をして言う。

『我々の保護から抜け出し、自ら戦うまで来たのだな』

 オクサも笑顔で答える。

「はい。それも全て、陛下を始めとする偉大なる方達の助けが有っての事です」

『どうせ、明日から大変な事になる、今夜、酒でも飲むか?』

 エースの言葉にオクサが微笑み答える。

「テンダも連れてつき合わせてもらいます」



 帝都ゼロにある宮殿の最深部、そこに皇帝ワンと十二支騎士団の団長・副団長、そして相談役を務める竜達が勢揃いしていた。

 これこそ宴会と呼ばれる、長いレイ帝国史の中でも、数えるほどしか行われない、最重要会議である。

 物凄い緊張が張り巡らされたその場に最後に現れたのは、なんとマンカである。

「お待たせしました。キリナガレ本家の意向を確認してきました。例の件に関しては、不干渉を貫くとの事です」

 その答えに、竜達が複雑な顔をする中、ワンがオクサを見て言う。

『これで決定した。お前の意見を承認する』

 その一言に十二支騎士団に動揺が広がるなか、ワンが宣言する。

『辰騎士団と戌騎士団が遭遇した、異常な戦闘力を持つ艦隊の正体は、コンダクターによって連れてこられた上位世界の存在だ。その為、我等より高い技術や能力を持っている』

 ざわめきが起こり、オクサが言う。

「その事実は、辰騎士団と戌騎士団からの報告資料にある、兵器から判明しました。その確認には、皇帝陛下の血を引き、異界での技術習得を行っていたマンカ様に行っていただきました」

 マンカに視線が集中する。

『はっきり言おう、マンカの技術は、神が定めている規律に違反しかねない物だ。今までは、辰騎士団が上手く誤魔化していたが、他の騎士団も協力して欲しい』

 ワンの宣言に慌てて騎士団長達が了解を示すように頭を下げる。

 ワンがそれを確認して告げる。

『これからが本題だ。先ほどいったコンダクターと言う存在によってこれからも上位世界からの不法侵入者は、増える。この者たちの対応を神頼みにするわけには、いかない。我々の手で対応していく必要がある。その役目をお前達、十二支騎士団に任せたい。問題は、あるか?』

 その言葉に、即答するのは、オクサである。

「僕は、今の十二支騎士団ならば、可能だと確信しています」

 即座に寅騎士団団長トリプが続く。

「当然です! 我等、寅騎士団が陛下に害意を持つ者を滅ぼせない訳は、ありません!」

「我等、戌騎士団、このレイ帝国に不法者の存在を許しません」

 大きな角を持った竜人、戌騎士団団長ツーダ=ハデロスが断言する。

 続いて手を広げて兎騎士団団長ナーミが言う。

「この広いレイ帝国のどこに現れても、我等、兎騎士団が見つけます」

 子騎士団団長イムが指で小さな隙間を作り言う。

「何処に潜もうとも、小さな証拠からでも我等、子騎士団がその者達を炙り出します」

 指を一本立てて酉騎士団団長サーギが言う。

「何処に現れてもこの酉騎士団が、イの一番で駆けつけます」

 人の姿になっても大きな胸を張って馬騎士団団長シングーが言う。

「例えレイ帝国の外に居ようとも、馬騎士団が退治してやります」

 拳を握り締めて亥騎士団団長ゴーノが言う。

「如何なる敵でも、我等、亥騎士団が命に代えても貫きます」

 左の拳を右手で包み申騎士団団長シックが言う。

「何者であろうと、ドラゴンロードは、申騎士団が守り通します」

 胸を叩き丑騎士団団長クードが言う。

「如何なる物も帝都ゼロには、丑騎士団が一歩たりとも踏み込ませません」

 不敵な笑みを浮かべて未騎士団団長オメガが言う。

「上位世界者良いですね、そんな奴等よりも優れた兵器を我等、未騎士団が作り出します」

 最後に巳騎士団団長ミリが答える。

「陛下の命をまっとうできないものなどこの十二支騎士団には、おりません。その事実は、巳騎士団がきっと体現してみせます」

 そして、ワンが告げる。

『了解した。今より、十二支騎士団に新たな命を下す。コンダクターとコンダクターにより異界より来た、レイ帝国に害なす者を排除。この命は、レイ帝国の民の安全の次に優先する命とする。任せたぞ』

 一斉に頭を下げる十二支騎士団団長達。

「「「「「「「「「「「「拝命致しました」」」」」」」」」」」」



 宴会が終了後、当然の様にオクサの周りには、他の騎士団長達が集まっていた。

 トリプが胸倉を掴み言う。

「何でお前だけ異界の事を知っていたんだ!」

 他の団長達も同意なのか、答えを待っていると、オクサの代わりにマンカが答える。

「前から疑問に思ってたんだけど、オクサの家、アテナス家ってレイ帝国が生まれる前からの名家で、キリナガレの本家ともかなり親密な付き合いしてるって事実って知られてないの?」

 驚く一同。

 一番驚いていたテンダが質問する。

「お前、そんな名家の出だったのか!」

 相談役の中で唯一その場に残っていたエースが言う。

『アテナス辰騎士団団長は、一応純粋なアテナス家の血を護る為って人間同士の結婚しか許されて居ないアテナス家の直系でな、私も誕生の時には、お祝いの言葉を送った』

 オクサが笑顔で答える。

「異界の事は、家に代々伝わっていた知識なのです」

 複雑な顔をする団長達だったが、トリプは、直ぐに気を取り直して言う。

「とにかく、レイ帝国に明確な害意を示す連中が現れた。陛下に忠義を示す絶好の機会だ。ぐずぐずしていられない」

 部下を引き連れて、駆けて行くトリプ。

 他の騎士団達も各々仕事をしに急いで戻っていく。

「これから、本格的な戦いになります」

 オクサの一言に気分を一新する辰騎士団であった。

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