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天から神の詞降りたり。
その昔、周囲を美しく輝く海に囲まれた自然豊かな世界があった。
その世界には自然の安定を護る、神竜を長とした多種多様の神獣と呼ばれる生き物達が生きており、その神獣総てを統べ、制する神力を宿されし神の申し子-リェン-がおった。
リェンの所為で世界の平和は保たれていたが、世界の頂点に君臨し、総てを司るリェンに妬みの心を持つ悪しき者一人。
その者は人々の心を乱し、その者の詞を真に受けた人々は、リェンを恐れて世界から滅ぼした。
人々のリェンに対する愚行に怒りを湛えた神は、世界から光を奪い、自然の安定を守っていた神獣達までも深き眠りに落としてしまった。
光を奪われた世界はたちまちに深き闇に包まれて天災が起こり、穏やかだった人々の心をも闇に染めて争いが絶えなくなった。
人々は伏して神に赦しを乞うたが、世界に光が戻ることは無かったという。
それから千年の時が流れ、依然光を取り戻せぬ世界に神の詞が降りた。
――天に金色の光が満ちた瞬間、漆黒の髪と瞳を持つ者現る。
各々(おのおの)が嘗ての愚行を悔い、悪しき思を正せば世に光が戻るであろう。