『かぐや姫』第三巻
ーその国はいつだって平穏だ
ー平穏すぎて怖ぇくれぇだ
「テラ...」
そう呟く声が聞こえたもんで、見下ろせばそれは見知った顔だった。
「おいおいそりゃ禁句だぜ?」
自分の顔を見てポカンと口を開けてる様は、いつも微笑みを貼り付けている顔とは違って面白かった。
「はっそんな幽霊でも見た顔してなぁ?」
俺は屋根から飛び降りて、今も呆然と立ち止まってる少年の元に詰め寄った。
「..しっ師匠、お久しぶりです。」
少年はようやく、元の嘘くせぇ笑顔に戻り丁寧に俺にお辞儀をしてきた。そんな姿が俺的には似合わねぇとおかしく思っていた。
「そっちも変わらずだな。また姫さんとこでも行ってたのか」
俺が"姫さん"と口に出しただけで、少年は殺気を向けて来た。
「おいおい、まだ何も言ってねぇだろうが。」
「貴方が来たということは、何かあるのでしょう?」
早く要件を言えと言わんばかりに、じっと見てくる様は、確かに姫さんの従者としては鏡のような姿だろう。
「まっそういうこった。..あんま姫さんに肩入れすんなよ。」
従者としては正しいが、この国の者としては異質すぎるその姿に、俺はもう忠告くらいしかできない。
「やっぱ平穏すぎんだよな。この国は。」
この作品は2024/10ポケコロ内 (タイムライン)にて掲載されたものです




