左手サメ生活
「サメとカメの顔って似てるよな」
朝のホームルーム前、学校で声をかけてきたのは友人の鈴木だ。クラスで1番うるさい男でウザイ。
鈴木は僕の左手を興味深そうに眺めていた。
「急になんだよ。僕の左手に興味があるのか?」
「あるわ!なんでサメのパペットなんかつけてるんだよ!」
確かに僕の左手はサメである。ひじから指の先まで。
「フォッフォッフォッ」
「バ○タン星人のつもりか?意味不明だぞ。誤魔化さなくていいから、それ、没収するぞ」
「筆箱です。没収してください」
「筆箱なら仕方な…って没収してほしいのかよ!?」
取れるものなら取って欲しい…
「なんか昨日の学校帰りに変な生き物に遭遇してさ、左手食べられて…今これ」
「なるほどわからん。」
でしょうね…
僕もあまり覚えてないからこれ以上の説明は無理だ。
「わかりやすくいうと、とりあえず様子見したいし僕には構わないでってこと」
「そんなこと言ってなかったと思うけど。お前がいつまでツッコミ不在でボケ続けるのかは気になるからスルーするわ」
そんなわけで左手サメ生活が始まった。
他の人や先生には鈴木が話を通したようだ。
なんて説明したのかはわからないけれど、みんな優しい目で見てくれる。嬉しい。