第1話 いざ、ダンジョンへ!!
「助けて頂き、ありがとうございます!ヒカル”ちゃん”って呼んでもいいですか?」
笑顔で俺に問いかける、銀髪の女性。まるで、天使のような笑顔の彼女に見とれてしまう。
ん...?ヒカル”ちゃん”...?
別におかしくは無いが、男の俺に使うそのワードが引っかかる。
「”ちゃん”ですか...?!」
驚き過ぎて、心の声が漏れてしまっていた。
「あっ、すみません!貴方のお姿がとても可愛らしかったので...!ヒカルちゃんとお呼びしたく...!」
はっと気付き、慌てて何度も頭を下げる彼女。
何度も謝るその姿に声に出してしまった事が申し訳なくなる。
また、彼女の言葉に引っかかる。可愛い...?俺がか?
ふと、自分の容姿が気になり、近くにあった大きな水溜まりを覗き込む。
そこに映し出された自分の姿。ぷっくりとした唇にパッチリと開いた宝石のように輝く目。また、申し訳程度に膨らんだ胸とサラサラで艶のある金色の髪の毛。どっからどう見ても美少女である。
見間違いだと思い、目を擦る。しかし、何度目を擦ってもそこに映るのは、同じ姿だ。
また、水溜まりの前で変な踊りを踊ってみる。これで、俺と同じ動きをしていたら、本当に俺自身。動いていなかったら、たまたま水溜まりに美少女が入っていた事になる。
手を左右にクネクネさせると、水溜まりの中の美少女も手をクネクネさせた。
本当にこれが俺か...?!
急な出来事に脳の処理が追いつかない...。
あたふたしていると、身体に妙な違和感を覚える。
美少女になった事とは何か違う、違和感...。
モヤモヤしていると、何か股がスースーする感覚に襲われる…。息子が居ないせいか...?いや、これは違う。まさか、な…。Tシャツに直に触れるお尻の感覚。
今、俺ノーパン?!
いつから女になって、いつからノーパンだったんだ俺
これも、ダンジョンに居た仙人の仕業なのか…?!
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数日前の話に戻る。俺はヒカル。俺を含め、幼なじみ4人でダンジョン攻略と動画投稿を行っていた。
「次の動画何にするぅ?」
鼻にかかるような甘い声を放つ彼女はロディ。首を傾げ、赤髪のツインテールを揺らしている・
「んー、薬草の調合とかにしようぜ!ちょうど、薬草無くなってきたし。」
提案をしたこの男は、ローイ。脳筋で全て力で解決してしまおうとする。暴れる事も多いが…まぁ、良い奴だ。
「それ、いいね!ローイたまには頭いいじゃん!」
指をコッと鳴らし、ローイをいじる彼女は、ねーちゃん。本名はネリネ。
「ネリネ!オレをバカにしているのか?!」
「ごめん!ジョーク、ジョーク!ローイは頭も良くて、カッコイイからね〜。」
顔を赤くして怒るローイに平謝りするねーちゃん。
「はっはっはっ!」
ローイの反応とねーちゃんの棒読み具合に思わず笑ってしまう俺。
俺に釣られ、他の2人も笑ってしまう。
「はっはっ!」
「何を笑う!オレは天才だぞ!」
この日までは仲の良い幼なじみグループだったのだ。小悪魔的なロディ、バカだけど頼もしいローイ、皆のまとめ役で姉御肌なねーちゃん。多分、サポート役の俺。
いつもこのメンバー4人でダンジョンに行き、動画を撮る。ダンジョン探索しながら動画を撮れば、ダンジョンでもお金が貰えるし、企画をやりながらその風景を投稿すれば、更にお金が増える。
俺たちは動画投稿サイト、”アイチューブ”で動画投稿をしていた。
ロディとローイの頭文字を取った”ロロちゃんねる”は、登録者21万人と中々有名なチャンネルに成長していた。
ロディとローイは動画出演担当、ねーちゃんはカメラ担当、俺は編集を担当している。動画の企画は、4人で軽く話し合って決めている。
皆で会話しているうちに、いつ間にかダンジョン前に着いていた。
「いつもの狩場にレッツゴぉ!」
明るいロディの声に、2人は便乗する。
「今日も頑張ろうぜ!」
「良い動画撮れるように頑張るね!」
「俺もサポート頑張るね!」
他の3人には負けてられない!俺もやる気MAXで頑張らなければ!
気合いを入れ、俺たちの狩場、14階層に向かう。
「ねぇ、皆!ここのエリア沢山薬草があるみたい。」
「ヒカルくん、発見ナイス〜!じゃあ、手分けして、薬草を集めよう!ここのエリアはモンスターが少ないみたいだし、個人行動した方が効率良いしね!じゃあ、早速探すぞ〜!集合はここね〜!」
口角を上げながら、ねーちゃんは1人で奥に向かっていった。
「もぅ、ネリネは早いなぁー。ロディ達も向かおっか!」
俺たちも足早に奥へと向かっていった。
本当に沢山薬草があるな…。床一面に生えた薬草を取ろうと、座り込む。こんだけあれば、1ヶ月は薬草には困らないだろう。
そういえば、昨日撮った動画編集仕上げなければ。この薬草を早めに取り終わったら、取り掛かろう。そう思っていると、何やら後ろから足音が聞こえる。ん…?誰だろう?気になり、後ろを振り向くとロディとローイが居た。
「2人はどうしたの?」
「…」
無言で微笑む2人が不気味に感じる。何か、毒がある薬草でも食べてしまったのだろうか?
「なぁ、ヒカル…。お前の事、前から気に食わなかったんだよな…!」
「そうそう、ヒカルって、戦闘の時、補助魔法しか使ってないよねぇwロディ達3人は、剣で頑張って命懸けで戦っているのにぃ。ブツブツと何か唱えるだけで、何もしてないのも同然じゃない?毎日、補助魔法の練習とか言って、本当は遊んでたんじゃない?無能なヒカル。」
お読み頂き、ありがとうございます。
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簡易的なキャラクタ挿絵も入れる予定です。
ご覧頂いた皆さんに幸せが訪れますように。