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黒猫は眠らない  作者: 鳩胸 ぽっぽ
トウキョウ・カントウエリア
7/137

男に

 どのVRMMOにもあるものがこのゲームにももちろんある。

 デスペナルティ。オレは死んだからデスペナルティとして10分間のログイン禁止。

 オレはヘッドギアを外し、階段を降りる。

 いい時間だしとりあえず飯でも食うか。つっても誰もいないだろうけど……。


 オレはリビングに向かうと。


「はーっはっは! 正義のヒーロー、見参!」


 兄貴が素っ裸でソファに足掛けヒーローポーズをとっていた。

 オレは兄貴に飛び膝蹴りをかます。


「テメェ何してんだァ!」

「おわぁ!」


 実の兄が家で裸になってキチゲ発散してるのを見てオレは何思うよ!

 オレの兄貴はなぜこんなに変態なんだろうか。


「話し合おう我が妹よ!」

「素っ裸になる理由はねェだろうがボケ! ちっせぇ息子見せんな!」

「気にしてること言っちゃらめぇ!」

「きめェんだよ!」


 オレの兄貴は変わっている。

 巽 大和(やまと)。オレが通う高校に通っていたこともあり、イケメンコンテストで優勝したくらいの顔面はある。が、なんか知らねェけど変わっている。

 服を脱ぐなんてのは序の口で、オレのブラとかつけてる時もあるしパンツかぶってる時もある。将来の夢は変態仮面だとぬかしていた。

 こんなのがモテてんのも世の末だと思う。

 あと、オレのならいいと理解してるみたいでオレの下着しか使ってないからオレ以外にこのことはバレてない。

 オレも兄貴がこんなんだと自分の口で言いたくなくて喋ってない。


「またテメェ、オレの下着つけて大学行ったなゴラァ!」

「スリル満点でした……」

「実の妹のものじゃなきゃ犯罪だぞテメェ! それともアレか!? オレが本当に女の子にしてやろうか!?」

「やめて! 取るならちゃんとタイに行くからぁ!」


 もう嫌だコイツ……。

 もう慣れてしまったのが怖えよ。オレも怒鳴ってるけどこういう兄貴だから仕方ないって思ってるのも怖えよ……。


「オレがこういう性格じゃなきゃマジで社会に出られてねェぞお前……」

「寛容な性格でよかったよ」

「オレはよくねェよ……。悪夢をまた見ちまったぜ……。クソ兄貴、オレの部屋には来るんじゃねェぞ」

「わかってるよー……。下着返しに行く時だけ……」

「オレが持ってくから心配すんな」


 オレは下着を強奪し、洗濯機に突っ込んで洗濯する。

 ああいう兄貴でも昔助けられたことがあるから無碍にはできねぇっつーか、アレでもやるときゃやるんだよな。

 ただ、オレに対してだけめちゃくちゃあんな風にしてくるあたり相手を選びすぎてるだろ。


「…………」


 オレは自分のパンツを見るとやっぱ女なんだなァと思ってしまう。

 オレはやっぱ男になりたかったわけで。だから一人称だってオレだしかっけェもので身を固めてるわけなんだが……。

 ああいう風にオレももう少し自由になった方が……。

 いや、それこそ変な目で見られるか。


「今のオレも充分クールだからいいか……。こういう内面は女なの見ると少し嫌になっちまうけどな……」


 男に生まれたかったなァ。


「ただいまー……。あ、おねーちゃん。いたいたー」

「あん? んだよ小葉(このは)

「またギター弾いてよ!」

「ヤだよ。オレはゲームすんの」

「えー。じゃあ写真! お姉ちゃんの写真、クラスの子に人気なんだよねー」

「ちっ……」


 オレは中指を立ててやる。


「かっくいー!」

「厄除けになれば幸いだ。兄貴は何してた?」

「なんか水飲もうとしたら服に水こぼしたって言って着替えに向かったよ?」

「ふーん……」


 なんで素直に裸になってましたと言わねェんだろうな。

 洗濯も終わり、オレは自分の下着を干して自分の部屋に向かう。

 10分は余裕で経過したので、オレはまた再びゲームにログインすることにした。












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― 新着の感想 ―
[良い点] 自信満々ストレスフリーと言うよりストレスを快感にしてたじゅんぺーも良かったけどやっぱりコンプレックスこじらせてるゼーレとかラピスラズリみたいな子も好き
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