ホラーはおなかいっぱい
モノクルをかけたフクロウはオレに近づいてくる。
「素晴らしいッ! よくぞ見抜いた人間よ!」
「……ほん?」
「試したようで申し訳ないっ! 私はこのカムイコタンに住む精霊王、コタンコロカムイという。君はカントーの精霊王、ティターノアの力を感じるぞっ!」
と、感激したようで涙を流しオレの手を握りしめぶんぶんと降っていた。
「見破る力もまた知恵。きちんと知恵のある人間のようだっ! 吾輩感動! 超感動!」
ものすごく感動されていた。
コタンコロカムイと名乗ったフクロウにミヨシさんが話しかける。
「離している最中すまない。私たちはコタンコロカムイ三に渡すものがあってここに来たのだ」
「渡すもの……?」
「これだ」
と、渡された書簡をコタンコロカムイに渡す。
コタンコロカムイは目を通していた。
「ほほう。あの子はまたドジをしたのですね。助けに参りましょう! あの子の頼みを聞いてくれたお礼として……あなたたちに祝福を授けましょうねっ!」
そういうと、アナウンスが流れる。
《スキル:コタンコロカムイの祝福 を取得しました》
「では早速助けに参ります! 帰りは使いのフクロウを使ってくださいなッ!」
そういって、コタンコロカムイは翼を広げて飛んで行ってしまった。
思わぬ展開にオレらは少しぽかんと口を開いていた。オレに関しちゃ二個目の祝福だ。ティターノアはほかにもいるから欲しかったら探せと言っていた。祝福は複数もらえることは確定していたが、もらうにつれて条件がきつくなると思っていた。
こうも簡単にとれるとは。
「しゅ、祝福ゲットですーーーーーー! いえーーーーい!」
「ヲタクは嬉しいですぞっ! 推しと同じ祝福をぅ!」
「効果はどんなのだろうか」
「なになに……。魔力量の増加、魔力消費量の超減少……。割とええスキルやがな。常時発動なのも偉いわぁ……」
「オレの表記は電力ってなってるんすけど。もしかしてアンドロイドだから? たしかに魔力が電力っていう表記にステータスもなってますが」
と、さっきの恐怖心はなくなり祝福を獲得したことの喜びをかみしめているようだった。
「フクロウは知恵の象徴……。罠を見抜けるかという試練か……。失敗してたらどうなってたんだろうな」
「……考えないでもええんちゃう? もう帰ろうや! 祝福も手に入ったしゆうことなし! うちは怖いからもう帰るで!」
「待ってくれ。なら私も……」
「オレたちも一緒にサッポロ帰ろうぜ」
「そうですね! 長居する理由もありませんし!」
「一件落着、ですね!」
オレらはサッポロに帰ることになった。
ホラー続きだからそろそろ癒しが欲しいところだ。もうホラーはしばらくいいと思うぐらいには体験した気がする。真夏のホラーは別格だが怖いもんは怖い。
「だがまァ……創作意欲は湧いてくんなァ」
曲を作りたい。
貴重なホラー体験を曲に書き起こしてェなァ。めっちゃえげつなくしてやろうか?




