クールな魔女ではありますが
オレは無事四人と合流し、先へと進んでいく。
オレのニセモノはオレの技をすべてコピーしてきたといっていた。ただ、狙撃だけは下手だったよとまで言ってくる。
名誉棄損だろ。オレが狙撃下手なんて……。本人の技能まではコピーできないのはいいんだけどよ……。
「おん?」
オレらが歩いていると目の前に大きな屋敷が見えてきた。
西洋風のお屋敷。人が住んでる気配はほとんどないが……。大きな鉄の門があり、大きな家。それはもうホラーの舞台にもなりそうな大きな洋館。
「最終地点がこの家かいな……」
「インターホンがあるな。押してみよう」
「躊躇ないな!?」
ミヨシさんはインターホンを押す。
すると、インターホンから若い女性の声が聞こえてきた。入ってきていいわよぉ、という声が聞こえてくる。
そして、その声が流れてきた瞬間、鉄の扉が開き、オレらを中に迎え入れたのだった。
「を、ヲタクが前に出ますとも! 推しを守るのはヲタクの使命!」
「わ、私もぉ!」
と、ヲタクと天堤の二人が前に出る。
屋敷の扉に手をかけ、中に入ると。
『イラッシャイマセ、いらっしゃ』
と、顔半分が壊れているメイドのロボットがあった。
「うきゃああああああああ!?」
「うにょおおおおおおおお!?」
「これはホラーだな……」
目玉がむき出しになり、こちらを見ていらっしゃいと笑った顔を見せてくるメイドのロボット。
いや、ロボット……なのか? ロボットにしちゃ妙に肉質感が生々しいというか。これもしかして生身の人間なんじゃねェの……? って思うくらいには妙にリアルだった。
すると、奥のほうから黒いドレスを着た女がかつ、かつとヒール音を鳴らして歩いてきた。
「ふふ、魔女の家にようこそ」
「ま、魔女の家!? お、お邪魔しました! もう帰ろうや!」
「ふふ、まぁ、そう慌てなさんな。すこしはゆっくりしていきなんし。なにも私はあなたたちに危害を加えようとはしとらんて」
「……一つ聞きたいが、このロボットは人形か?」
「ロボットではない」
「ふぅん……」
とりあえず、もてなそうといって、応接間に案内される。
紅茶を差し出されたので、オレは紅茶を飲む。
「それで、あなたはここでなにをしてるんスか」
「私か? 私はここで魔法についての研究をしておる。魔女というのはそういうものよ」
「魔法について?」
「そう。魔法について」
「……道中のループも?」
「あれは防衛システムの魔法よ。魔女の家をむやみに訪れてはならないというのは常識。魔女の家に来るのなら相応の悪夢を見せるまで」
「悪夢にも度があるわぁ!」
文句たらたらのロシアンさん。
「それだとおかしくないか? 魔女の家に無暗に訪れるなとはいうが……。なぜ私たちを家に上げたのだ?」
「ここまで来れるソナタらに頼みたいことがあるまで」
「頼みたいこと……?」
「アサヒカワ近くのカムイコタン。そこになじみの精霊王がいる……。その精霊王にこの書簡を渡してきてほしい」
「……お使い? 自分で行かないんすか?」
「自分で行きたいのはやまやまじゃ。じゃが、私は出られん」
「出られんって……この森に封印されてるんすか」
「いや、出方を忘れただけよ」
おい。
「自分でループさせたのはいいがのぅ。私も囚われてしまった」
「おい、本末転倒だろうが」
「だから死に戻りできるソナタらに頼むしかない」
この魔女……。ものすごくクールに見せておいて本来はものすごくドジなのでは?
魔女だからこの森から出られないように魔法使いに封印された、だとかそういうのならわかる。自分でやっておいて抜け出せなくなったって馬鹿だろ。
「……この書簡、誤字だらけですぞ?」
「…………」
「おい、お前クールそうに見えてドジキャラかよ」
「仕方なかろう! 一人暮らしなのだから確認する人もおらんし! なんか魔女に選ばれちゃったから魔女になっただけよ! 誤字だらけでもカムイコタンの精霊には伝わるわ!」
「逆切れすんな!」
「もういけ! 死に戻りして早くカムイコタンにいくのだ!」
「クールな魔女が綻びたな」
「もうこんなドジな魔女に怖がってた自分が恥ずかしいわ……」
仕方ないのでオレらは死に戻りして届けに向かうことになった。
死に戻りする理由は魔女も出る方法を忘れたから死に戻りしか方法がないからなんだろうな……。




