無限ループって怖くね? ④
後ろを振り返らず、オレらは歩き続ける。が、ずっとずっと……同じ道をずっと辿っているような気がする。
一向にゴールが見えない。
後ろに誰かがいる気配と、ずっと歩き続けている。が、終わりが見えない。
「いつまでオレらは歩きゃいいんすか……」
「わからない。ただ、またループしているような気がする」
「またループ……。抜け出す方法はない感じっすかね」
「もしかして振り向いて確かめなきゃ先に進めないのかも」
うへぇ。
振り返るなといったのはあんたでしょうに。
「仕方がない。せーので振り返ろう」
「どうなっても知らないっスからね」
「ああ。戦うために武器だけは構えておこう」
オレは拳銃を取り出し装備する。
そして、オレはせーのという声を出した。二人一緒に後ろを振り返る。するとそこに立っていたのは……ない。
誰もいない。ただの気配だけだったようだ。だがしかし、なんか不思議な感覚がある。
「……なぁ、少し聞きたいんだが、私たちが歩いてきたとき、あんなものはあったかな」
「あんなもの?」
「あれだ」
と、ミヨシさんは指をさしたその先に会ったのは。
一つの石碑だった。森の中に、大きな石碑がある。
「いや、なかったっスね」
「ふむ、振り返ったことで道が変わったんだろうか」
「ああ、なんか頭がごちゃごちゃしてきた……。オレはいったいどこにいるってんだよ……」
オレは本当にどういう世界に迷い込んだんだ。
ミヨシさんはいたって冷静で、また歩いてみようと提案をする。が、そのミヨシさんに少し違和感を覚えた。
どこかが違う。なんか違う。
オレはその違和感の正体はわからん。が、なんとなく、殺しておいたほうがいい気がする。
オレは銃を突きつけた。
「……どうした?」
「いや……なんかミヨシさんに違和感があるんス。まるで誘導しているかのような気がして」
「…………」
銃を突きつけると、ミヨシさんはにやりと口角を上げた。
「バレタカ」
そういうと、突然首が変な角度に曲がった。
ごき、ごきと変な音がミヨシさんからなり、蜘蛛のような感じで地面に這いつくばっている。
「うひいいいいいいいいい!?」
「うるさいぞ」
と、天から刀をもって、その蜘蛛ミヨシさんを突き刺したのは。
「どこ行ってたんだラズリ」
「み、ミヨシさん!?」
「振り返ったらなんか違和感があるお前がいて驚いた……。倒したら合流できたようだが」
「倒し……」
「と、なるほど。ラズリのほうは私のニセモノが現れていたんだな」
「……本物っスよね?」
「ああ。本物だ。証明のしようがないが……」
「……いや、助けてくれたんだからホンモノっス!」
ニセモノがこんなミヨシもどきを倒すわけがない。
どうやら、これを倒すことが合流条件だったようだ。ミヨシさんはオレがニセモノだといち早く気づき、刀で切り伏せた時上空にいたのだという。
それで、オレを助けたのだとか。さすがに蜘蛛のようにはいつくばっているほうが本物だとは考えなかったようで、蜘蛛のほうがミヨシさんに似ていたから斬ったとのこと。
「こっちもものすごく怖かったぞ。お前の首が180度回転してな……木に飛びついてケケケケと笑いながら駆け上っていったんだ」
「想像したくねっス……」
「だがもう倒した。もうループはないんじゃないだろうか」
「だといいんスけど……」
オレらはまた道を歩いていくと、ループ世界からやっと脱出できたようでアスファルトの地面が見えていた。
車が通り、やっと元の世界に戻ってきたようだ。
「あーーーーー、でられたぁーーーーーー!」
「少し疲れたな……」
「そうっスね……。お互いログアウトして……」
そう思っていると、目の前にクンツァイトが現れた。
クンツァイトは車に乗っている。
「あ、奇遇だねー。なにしてんの?」
「あ、クンツァイトてめぇ! さっきはあんなデマを……!」
「デマ? え、なに?」
「なにって……ヒント求めた時ふざけてあんなメッセージを……」
「メッセージ? え、私送ってないけど」
「……は?」
「さっきログインしたばっかだし……。え、私のアバター不正ログインされてた!? そんなはずないのにっ!」
……おい、冗談だろ?
もしかして、そこからオレらのループは終わらないよう仕向けられていたのか?
「……怖いな」
「ッスね……」
「お疲れだねー。今からクエスト向かうんだけど誘えないなー。ゆっくり休んだら?」
「そうする……。ログアウトしましょ……」
「そうだな……。私も少し怖くなってきた……」
オレ割とビビりだからこういうのやめてほしい。




