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黒猫は眠らない  作者: 鳩胸 ぽっぽ
トウキョウ・カントウエリア
35/137

レイドボス戦 ①

 暴れているシンジュクの交差点。

 天使のような翼を生やした金髪の女が魔法を放つ。


「シルシファーっす!」


 ラミュエルは弓矢を構えた。

 オレも銃を構える。とりあえずは狙い撃ちしてみるか。空から叩き落さないとまず話にならないだろうしな。

 オレはラミュエルと一緒に近くのビルの屋上に上る。あんな上空にいたら弾が当たらないからな。


 シルシファーは攻撃の手を止めきょろきょろとし始めた。


「……なァ、さっきシルシファーの気配を察知していたが天使って居場所を察知できるのか?」

「いやァ……天使は独特な魔力があるから察知できるんすよー」

「なるほど。で、なぜ今攻撃しないできょろきょろしてるかわかるか?」

「天使の魔力を探してるんじゃないっすかね? あの人天使を相当恨んでますから」

「ラミュエルももちろん天使の魔力あるよな?」

「あるっすね! 天使なので」


 となるとあの挙動はラミュエルを探しているに違いない。

 ラミュエルを連れてきたのは不正解だったか? まァ、どちらにせよ狙撃したら場所が割れるんだ。

 ばれないうちに撃ってしまおう。オレは狙いを定めて銃弾を放つ。ラミュエルにやったように翼を狙った。


「……ッ! 見つけたぞクソ天使!」

「叩き落されない!? ラミュエルはこれで落ちただろ!」

「天使の翼は再生力高いっすからねぇ。まぁ、仕方ねぇっす! シルシファー! お前とは一緒に展開を追放された仲間だけど……天使の掟に従って討伐するっす!」

「やれるものならやってみろ! 天使ごときがこのわたくし様に勝てるとつけあがるなッ!」


 シルシファーは一瞬で距離を詰めてくる。

 そのまま、ラミュエルをぶん殴る。肉弾戦!? まずい。ここにいたら巻き込まれる。が、ラミュエルはしっかり防いでいた。


「天使? あたしはあんたと同じ堕天使っすよ!」


 といって、ラミュエルは翼を広げてビルから飛び降りた。

 シルシファーは頭に血が上っているのかオレに見向きもせず、ラミュエルを追ってビルから飛び降りる。

 オレもそれに続いてみた。


 ラミュエルはアスファルト上に着地。シルシファーは勢いよくラミュエルに突っ込んでいくが、ラミュエルはそれを難なく躱す。


「あれレイドボスじゃね?」

「すでに戦ってる!」


 と、プレイヤーが続々と集まってきた。

 シルシファーは周りを見向きもせず、ただただラミュエルを殺そうとラミュエルだけを狙い撃ちにしていた。


「今どういう状況っすか?」

「オレの契約した堕天使がレイドボスの怒りを買ってる」

「なるほど」

「畳みかけろ! 俺たちに注目してない今がチャンスだ!」


 そういって、プレイヤーたちは武器を構えて突撃していく。

 シルシファーは攻撃を受け止める。ラミュエルを狙っていた目はこちらに向けられていた。憎悪の視線。


「うるさい小虫がッ! わたくし様を倒そうだなんて笑わせるなッ!」

「うぐあっ!」


 シルシファーはその手で男をひっかいた。男は一撃で倒れる。


「天使を殺すのはあとだ! うるさい貴様らをまずは皆殺しにするとしよう!」


 と、標的をオレたちに変えていた。

 オレはとりあえずばれないように距離を取る。狙撃手の優位な点は不意打ちが強いということ。分かっていなければ、不意を衝ければ一撃、痛いのを食らわせられる。

 ばれてない今がチャンスだ。あの狙撃をしたオレは頭の片隅にはあるだろうが、今は考える余裕がないだろう。


 プレイヤーはまだたくさんいる。

 まだ時間はある。オレを警戒していないから一発は食らわせられる。が、一撃、外したり、決められなければ死ぬ。

 一撃。一撃か。プレッシャーがすげェなァ。


 オレは少し、笑みをこぼしたのだった。













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