プリティーのハナミズキ
ということでクランにガンジーが加入した。
オレは今現在、カナガワにいるからいけないが。
「標的確認、よーし」
オレはクエストを受けてソロで魔物を討伐しに来た。
アザトースとのプレイの時に手に入れたスキルを使ってみたいということと、単純に金稼ぎのために。
オレは銃弾を放つ。放った銃弾は沖にいた魚の魔物の頭を貫く。
「よっし、今日も絶好調」
倒した。
射程距離ぎりぎりで、弾強化をつけているとやっぱり結構な火力が出る。銃自体ものすごく火力がある武器だしな。
オレは満足げに立ち上がると、オレの背後にいつの間にか人が立っていた。
「すごいね」
「あ、おう……」
少し怪しげな男の人が拍手をしてオレをほめたたえる。
どこかうさんくせェなァ。顔から胡散臭い。なんかねずみ講とかしてそうな輩の顔だ。失礼だがそういう印象を受ける。
「狙撃スキルなしでそこまで狙えるなんてすごいね」
「おう」
「君、どこかクランに入っていたりする?」
「まァ一応arcanaってところに入ってるけど」
「あぁ、イリオモテさんの! あそこめっちゃ入りたい人いるよねー。でも、イリオモテさん厳しいからイリオモテさんが勧誘したら入れるんだよねあそこ。へぇ、イリオモテさんが勧誘したんなら実力はそら本物だよね」
なんか手放しでほめている。
「んで、誰だよテメェ」
「ああ、私かい? 私はハナミズキ。よろしく」
「ラピスラズリ。よろしく」
「とりあえずフレンド申請しておくね」
そういって、ハナミズキからフレンド申請が届く。
プロフィールも設定しているようで、結構顔写真が貼られてあった。名前はハナミズキ、性別は女……。
「女だァ!? この顔で!?」
「えっ、ラズリ君女の子なの!?」
「いやいやいや、このどうみても詐欺師の男顔で女は無理あるだろ!」
「めっちゃ悪い顔してる男の子だと思った……」
これで女だァ?
どうみても男だ。髪もボブカットだが、そういう髪形をする男だっているしオレも男だと思っていたがこいつ女なのかよ……。
「って誰が詐欺師顔だ! ちょっと傷ついたぞ! 私それでなくてもこんな中性的な顔に生まれて勘違いされて生きてるの辛いんだからな! 詐欺師だってよく言われるし笑顔がもう胡散臭いとか言われるの気にしてんのに!」
「そ、それはすまねェ……」
「あぁ、なんかここまで男の子っぽい女の子に出会ったの初めてだよ……。マジで女の子なの? TSとかして女の子になった男の子だったりしない?」
「いや、普通に生まれた時から女だが」
そもそもTSなんて創作の中の話だろう。
人間には少なくとも手術以外で性別が変わることはない。第一苦手なんだよなTS。男のままの自意識があるくせに女に適応するのがどうもむず痒い。
そう文句垂れるくらいなら書いてみろとか言われるだろうが、オレが物語を書くとバッドエンドになるので誰も救われねェよ。
「なんかお仲間初めて見たかも」
「オレもこんな男っぽい女初めてだよ……」
「いい友達になれそうだね」
「だといいがな……。んで、話しかけてきた目的はなんだよ」
「クラン勧誘しようかなって思ったけどもう加入してるからねぇ。用事なくなっちゃった」
「ああそうかい……」
「でも、お仲間はぜひ私のクランに入ってほしいなぁー」
「クラン詐欺師にか?」
「そうそう、老人から金をだまし取って……って違わい!」
おお、ノリつっこみ。
「私は諦めないからね。嫌になったらいつでもクランプリティーにおいで」
「可愛い……?」
「……プリティーにおいでね?」
「可愛い……?」
「いいじゃん! 私だって可愛いって言われたいんだよ! 大体の人が初見で詐欺師って聞いてくるんだよ! 可愛いでいいじゃん!」
呼ばれるときプリティーのハナミズキと呼ばれたいからその名前にしたという。なんていうか、努力の方向性が少し違うな……。
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