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黒猫は眠らない  作者: 鳩胸 ぽっぽ
トウキョウ・カントウエリア
24/137

貴族少女、逃亡す

 現実の千葉県はいろいろある。

 ディズ〇ーランドだったりシーだったり……。ぞうの国とかドイツ村とか。だがしかし、このチバ県じゃそういうのはやってないらしい。

 チバの地図を手に入れてその名前が見つからないってことはないってことだ。


「無駄足だったか……。チバにはほかの都道府県を解放するボスなんていなさそうだしなァ。トウキョウに戻るか? いや、せっかく来たんだしもうちょっと観光していきてェな」


 オレはバイクに乗り、行く当てもなく彷徨っていると。

 

「す、すいません! 乗せてください!」


 と、白い髪の女の子が後ろの席にまたがってきたのだった。

 息を切らしている。何かから逃げている最中なのだろうか……。プレイヤーではなさそうだ。これはなんかのイベント発生フラグかな?

 だとしたら面白ェ!


「いいぜ乗りな! どこまで行く!」

「あ、あいつらを振り払ってください!」


 後ろを見ると黒いスーツを着た男たちが走って追いかけてきていた。

 オレはバイクを吹かし、信号が青になった瞬間に全速力でバイクを走らせるのだった。バイクであるという利点を生かし、車が通れないような路地裏などを通り、あの黒服たちを撒く。

 なぜこの女の子が追われているんだろうか。日本人にしては珍しい白い髪の少女。


「おい」

「はい、なんでしょう……」

「なんで追われてるんだ?」

「え、えっと……」

「言いたくないなら深堀はしねェ」


 オレは少しゆったりと走る。

 女の子はオレの体にギュッと抱き着いてくる。


「あの、はな、話します」

「おう」

「実は私は……」


 この女の子は魔法世界の住人で、貴族の一人娘だったようだ。ある日突然、世界が融合して家族がどこかに消えてしまったが、家族の遺産は残っており、この少女に相続されることになった。

 が、この少女一人に莫大な遺産を相続させるのは気に食わないと親戚連中がやっかみをつけてきたり、うちに引き入れようとしているらしい。それが嫌で逃げているんだとか。


「遺産問題は厄介だな……。それと家族が消失?」

「はい……。家族で食事をしている最中に、この世界に飛ばされて……周りには誰一人としていなくて」


 一人この世界に来てしまったということらしい。

 どういうことだ? いまいちよくわからねェな。統合した世界ってのも謎だが、統合して人が消えるなんてことはあるのか?

 存在そのものが消えたわけではないから理が操作されているわけでもねェ。

 この少女の家族はどこに消えたんだ?


「なので……。ちょっとしばらくは助けてください。謝礼は差し上げますので……」

「おう。しばらく乗ってろ」


《クエスト:貴族少女の逃亡 を受注しました》


 クエストかやっぱり。

 

「どこまで逃げる?」

「あの人たちは遠くまで行けるお金がないと思います……。ヤマナシ県あたりまで逃げてしまえば大丈夫だと思います……」


 ヤマナシ県か。

 たしかに遠いな。足がないとキツい場所。だが、まァ行こうと思っていた場所だ。


「ならヤマナシ県に向かうしかねェなァ! 今から向かうけど何日もかかるぜ。その覚悟はできてるな?」

「はい!」

「じゃ、ヤマナシ県にいこうぜ!」


 バイクを吹かし、オレはヤマナシ県に向かうことにした。









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