パンドラの箱
オレは全力で逃げていた。
「ちょっとまったこんなに敵出るなんて聞いてねェよ!」
ものすごく敵がわいていた。
オレは接近戦は大の苦手だし、こんな数はオレにゃ無理です。拳銃でどう戦えと? 拳銃はあくまで接近戦になってしまった時の悪あがき用みたいなものなんですケド。
「なんか結構敵がわんさかわいてくるねぇ! 奥になんか激レアなものがあるんじゃない!?」
「だといいですね! とりあえずここで死んだらまた一からやり直しですからね! 気張っていかねば!」
「戦闘はもうお前らに任せるよ……」
オレはどうあがいても力になれそうにないぜ。
とりあえず被弾だけはなるべく避けるように努力しよう。
だが、何度倒しても倒しても、敵がわき続けていた。
「こんだけ数多いとめんどくせェなァ! もう強引に突っ切っちまおうぜ! 死んだら死んだでそん時だァ!」
「でたラズリの短気!」
「少し奥行くだけだからよォ!」
オレはめんどくさいので全部突っ切っていくことにした。
倒しても倒しても湧いてくるのがめんどくせェ! オレは拳銃で強引に道を開けながらも先へ進んでいく。
すると、奥には何やら箱のようなものが置いてあった。オレはその箱を手に取ってみる。
「なんだこれ」
箱の外装は星のような感じだった。
この箱なんなんだろうな? オレは興味本位で開けてみる。すると、その箱の中から何かが飛び出してきた。
黒いモヤ……? そのモヤはオレを包み込んでいく。あ、やべ、抵抗できねェ。
《パンドラの箱を開けてしまいました》
《ですが、パンドラの箱の中身は空で、希望が残っておりました》
《特殊スキル:エルピス を取得しました》
というアナウンスが聞こえてくる。
エルピスの効果はいたって単純で状態異常に絶対にならないというものと、味方全員の体力が3分の1の時、攻撃力が上がるというスキルだ。
おお、なかなかにいいスキルなんじゃねェの?
「敵が消えた……?」
「ラズリ殿! なにがあったんでしょうか!」
「この箱を開けただけだよ……。この箱が魔物の原因だったのか?」
パンドラの箱、か。
開けてはならない箱。中身が空だということはすでに開けられていた後だったのだろうか。だとすると誰が開けたのだ?
開けたことが原因で災厄が起きた。もしかすると、この世界が交わり合った原因ってもしかしてこれなのか……?
「うーむ、わからん」
「その箱きれいだねぇ」
「やらねェよ。これはオレの」
「星空みたいでキレイな箱いいなぁ」
この箱が残っているってことはこの箱も一応アイテムみたいなモンなんだろ。中は空だしな。オレの小物入れにでもしてやろうか?
「とりあえず一難去りましたね! ここが洞窟の最深部みたいですし、戻りましょうか!」
「そうだな。砂嵐もそろそろ収まってんだろ」
バイクの旅の続きが始まるぜ。
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