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黒猫は眠らない  作者: 鳩胸 ぽっぽ
トウキョウ・カントウエリア
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「たでまー」


 家に帰り、オレは誰もいないリビングを通り抜ける。

 今日は親遅くなるとか言ってたな。父さんは長距離トラックの運転手、母さんは結構いい企業の上役と恵まれている。

 兄や妹はいるが、兄は大学だろう。妹はバイトだろうな。

 家族仲は悪くねェが全員忙しいのだ。


「っし、やるかァ!」


 オレはゲームソフトを取り出し、ヘッドギアに差し込んだ。

 そして、ヘッドギアをかぶりバーチャルの世界へと旅立つのだった。


 Parallel X Onlineは現代日本を舞台としたゲームだ。

 現代日本に三つの異なる世界線の日本が合わさってしまった。魔法が使える魔法世界、科学技術が発達した未来世界。

 どちらも日本のパラレルワールドなのだという。その世界線がクロス……。交わったからこんなゲームの名前のようだ。


 と、そろそろアバター作成が始まる。

 現実での性別は変わらねェからな。オレは男でプレイしたかったんだが、女になっちまう。


『まずはあなたの名前をお決めください。尚、他プレイヤーが使用している場合、その名前は使用できません』


 オンラインゲームではこういうのもあるんだよな。

 オレは巽 司っつーんだが、タツミでやろうとしても前にダメだった。

 で、いつもオレが使用してる名前はある。その名前が取られてないといいが……。オレは名前を打ち込んでみた。


『ラピスラズリ。はい、使用可能です』

「しゃあ!」


 使用者いなかった。

 運がいいな。オレはそのままアバター作成を進めていく。髪色はまぁ、黒でいいだろう。

 胸なんて盛らなくていい。オレにはそんなの不要だかんな。


『最後に、どの世界線で始めますか?』

「そーだなァ。オレは既に決めてんだ」


 オレは未来世界を選ぶ。

 理由は簡単、銃があるからだ。とびきり高性能な。


 銃は魔法世界にはない。魔法世界の人は銃を扱えない。未来世界の銃は現代世界、魔法世界の住民には使えないし、未来世界、現代世界の住民は魔法を使えない。

 現代世界は割とハードモードと聞く。


『かしこまりました。未来世界を選んだ場合、機械人形、人間どちらかで始めることができます。尚、どちらを選んでも性能に変わりはありません』

「機械人形だろ」

『かしこまりました。では、パラレルワールドへようこそ』


 AIが消え、目の前の景色が変わっていく。

 オレは現代日本に立っていた。身体が機械のようにメタリック。関節もしっかり機械のようになっている。

 アンドロイドだ。オレはアンドロイドになったのだ。


 で、ここは東京の東京駅。

 今日ログインしたであろうプレイヤーばかり立っている。魔法世界の人たちが多いように思えた。

 オレはとりあえずログインしてるであろう二人を探してみると、おーいと手を振る聞き覚えのある声がする。


「おぅ。待たせたな」

「機械だ……」

「アンドロイドを選択したからな」


 二人は……。

 みたところコタローが魔法世界、岩島が現代世界を選んだようだ。初心者でハードモード選択とはやるな。


「さて、岩島。ゲームでは本名では呼ばねェ。プレイヤーネームで呼び合うんだ。コタローはクンツァイト。岩島は……ガンジーか。洒落てんな」

「昔呼ばれていたあだ名だ。岩島だからガンジー。安直であっただろうか」

「いや、いいんじゃねェの。似合ってんぜ」

「そうか」

「じゃ、早速魔物倒しにいこう! マップ見てみたけどすごい広いよ。日本が3倍の大きさになってんの!」


 3つの世界線の日本が合わさったから3倍か?

 

「東京に魔物が出るのか?」

「東京も魔法エリアと未来エリアがあるし、どっちにも魔物は出るよ! ガンジーに戦闘講座しよっか! ガンジーの武器はショートソードだね」

「あ、ああ。刃物を持って捕まらないのだろうか。この大きさでも銃刀法違反だが……」

「ゲームに現実の法律を持ってこないの。魔物世界で武器規制してたら死ぬしかないよ?」

「そ、そうだな。無粋だった」


 さっそく魔物を倒すことになった。

 オレの初期武器はスナイパーライフル初期型。射程距離は300m。まぁまぁな長さだ。

 この武器の特徴は、狙撃対象が遠ければ遠いほど威力が上がる。つまり、相手と300m離れて狙撃すれば最大威力が出る。

 火力はものすごく高い。が、弾は無限ではないのが残念だ。初期だから配布されているが、つきたら銃弾を買わねばならない。


 外したりしてももちろん、弾数は減る。


「いた、アレが魔物」

「でかい一本角が生えたウサギだな」

「あれを剣で斬るの。可哀想だって思ったらダメだよ。ゲームなんだから」

「わかった……。やってみるとしよう」


 剣を持ち、攻撃を仕掛けるガンジー。

 おお、筋はいいな。オレはあんな動きできねェぜ。ただ、他の魔物がガンジーを取り囲んでいく。


「流石にアレは援護しねェとなァ」

「やりますか」


 オレは銃を構える。

 そして、発砲。銃弾は魔物の頭を貫いていく。狙撃はオレ大得意だ。運動ができねェが狙撃は得意なんだよなオレって。

 

「敵をたくさん倒して武器とか強化してかねェとな! まだゲームは始まったばかりだぜ!」











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