ボス討伐後・・・
倒したというアナウンスが流れて、オレはガッツポーズを決めた。
「っしゃああああああ! ボス撃破だぜ!」
オレは銃を放り投げ、喜びをかみしめる。
前作じゃ、あまりボス級の魔物は倒せなかったからなァ。前作は銃なんてモンがなかったしな。弓矢で戦っていたが弓矢は性に合わなかった。
だからこそ、ボスを倒せたという喜びがデカい。
「さすがだね」
「お疲れさん」
リーダーたちがオレのところにやってきた。
「よく的がデカいとはいえここから仕留められたものだ……。本当に狙撃手に向いてるんじゃないか?」
「そうっすかね? オレやっぱこういう狙撃だけは得意なんすよ」
「すごい。経験値もがっぽり入ったし、報酬もあるから結構儲かるねぇ」
リーダーは嬉しそうにしていた。
「けど、一つ問題があるぞ」
「あー、そうだよねぇ」
と、どどんどんさんが問題があると告げると、それを考えるような仕草を取っていた。
問題とはなんだろうか?
「問題って?」
「簡単だ。移動だよ」
「移動? そんなもん区転移システムで……」
「あれはトウキョウ都だから仕えてるシステムだ。ほかの都市にはない」
なるほど。
ヤマナシ県を移動するにはどうしたらいいのか、トウキョウ都でしか転移システムがないから足がなくなってしまうことになる。
「移動手段の購入も検討かぁ。お金なくなるねぇ」
「欲しい人は各自で買ってもらえばいいんじゃないかしらぁ」
「いや、こういうのって大体会社が交通費って感じで費用出すでしょ? 僕はみんなにも快適にゲームしてもらいたいし、そういうのは経費で落とすようにしてるんだよ」
「なにがなんでも買い与えるつもりだな……。いい人だけどそのせいで損ばっかしてそうだ……」
オレはなんとなくリーダーの人柄を知れた気がする。底抜けのいい人だ。周りのことを気遣ってくれるが、それも度が過ぎている。
それぞれ自分で購入しろといえばいいのに。どこまで負担するつもりだこの人……。
「わかるか? リーダーは人が良すぎるからな……。周りに気づかいすぎて損するタイプだ」
「損切りとかできないわよねぇ。リストラなんてもってのほかだから人の上に立つのに一番向いてないタイプよ」
「オレオレ詐欺とかに絶対騙されるタイプだ……」
現実はまじめな人ほど馬鹿を見るし優しい人ほど泣きをみるからな……。この人にとってはものすごく生きづらい世の中だろうな……。
「もういいよ……。僕が人の上に立つ資質がないのは百も承知だよ。うん。でも、みんなだって優しいから僕をリーダーって言ってくれるんだからいいんだよ。それで」
「そうだな」
「いい人のところにはいい人が集まるもの。人の審美眼だけは確かなのよねぇ」
リーダーを褒めたいのか貶したいのか。
「とりあえず、お疲れ。ヤマナシ県の探索はまた後日だね。とりあえずボスとの戦いで疲れたでしょ? もういい時間にもなるし……。今日はもうこれで解散しようか」
「俺先にヤマナシ県にいってます」
「わかったよ」
「じゃ、私はログアウトするわぁ。仕事からさぼってきたんですもの。これ以上やってると上司に叱られるわ。またね」
「オレもログアウトするっすよ。最近寝不足気味なんで寝ます」
この前もこの人のチャンネルのED曲作ってたら徹夜してたしな……。




