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黒猫は眠らない  作者: 鳩胸 ぽっぽ
トウキョウ・カントウエリア
11/137

寿司屋のヴァルキリーさん

 クリエイターとしては、オレは才能があると思っている。


「出来たぜ……! 早速データを納品してやる……。イリオモテさんのアカは……。これだな」


 簡単に見つかった。

 "イリオモテGames ch"という名前で活動しているようで、オレはフォローを飛ばしておく。

 そして、DMで頼まれていた曲ができたからデータを送りたいとだけ送っておいた。


「ノって徹夜しちまったぜ……。寝よ……」


 オレは重い瞼に逆らえず、とりあえず寝ることにした。

 土曜日でよかったぜ今日。学校があったら地獄だったな。最近は夜更かし気味だからすげェ眠たいんだ……。

 ベッドに横になると、通知音が鳴る。

 

 リーダーからフォローバックされて、そしてメールアドレスを教えてもらった。

 オレは曲のデータをメールで送った。


『ありがとう! 聴いてみたけどイメージ通り! それ以上かも! えっと、依頼料は……』

『いりません。どうぞご自由に』


 オレはメンバーとして協力しただけだ。

 だがしかし、リーダーはとてもいい人なのかお金を支払おうとしてくる。

 労働には対価が必要だとか言っているが、曲作りはオレの趣味みたいなモンでもあるからな……。

 まァ、仕方ねェからとりあえず千円貰うことにした。


 スマホの電源を落とす。

 寝るか……。オレは目を瞑ると。


「妹よー! 兄が来たぞー!」

「うるっせェ! オレは今から寝るんだよあっち行きやがれ!!」

「あ、そうなのぉ? 今から家族みんなで寿司食べに行こうと思ってたんだけど……」


 と、後ろから母さんが出てくる。

 寿司。寿司か。母さんは稼ぎがいいから回らない寿司屋に連れてってくれるんだよな。

 この機を逃したらいつ連れて行ってもらえるかわからねェ……。いや、多分コタローに頼めばいけるが。


「行く」

「わかったわぁ。準備しなさぁい」

「ん」


 しょうがない。日本人に生まれたからな。オレは寿司の魅力に逆らえねェ。不可抗力だ。

 食欲だって三大欲求の一つだしな。仕方ねェよ。


 オレはとりあえず外行きの服に着替えて、ピアスをつける。

 

「お姉ちゃんそのピアスかっくいいねー」

「だろ?」

「お姉ちゃんクールぅ!」

「褒めんなよそんなに」


 褒めても何も出ねえぞ。

 

「んで、父さんは?」

「車で待機してるわぁ。じゃ、いくわよぉ」


 オレは父さんが待ってる車に乗り込んだ。

 父さんは車が好きだから結構いい車なんだよな。外車だったか……。オレはあまり車に興味ねェから知らねェけど。

 でもオレでもこの車はいいモンだと理解できるくらいにはピカピカだ。


 そして、寿司屋についた。

 結構お高めの寿司屋。暖簾を潜るとカウンターに案内される。


「ん?」

「あれぇ? ラピスラズリぃ?」

「ヴァルキリーさん?」


 なんか見覚えがある人がいた。

 ヴァルキリーさんは寿司屋の倅で、天才寿司職人と持て囃されているのだとか。

 で、店をもう任せてもらえるようになって、握っているのだという。


「いやぁ、現実のラズリちゃんは結構ワルだねぇー」

「ピアスしてる=ワルと思ってませんか」

「いいや? 目つきとかと相まってピアスしてると本当に不良顔だと思って」

「素直に言いますね。オレがそういうの気にしてたらどうするんすか」

「そん時は謝るけど……。そういうの気にする性格じゃないでしょ」


 よくわかってらっしゃる。


「知り合い?」

「あー……。オレのゲームでの知り合い」

「どうも。仲良く一緒にゲームさせてもらってますー!」

「どうもぉ。うちの娘と遊んでくれてありがとうねぇ」


 なんか急に恥ずいんだが。


「とりあえずオススメください」

「オススメねー。今日は新鮮な鮑が手に入ったからそれ握ったるかぁー。あ、これサービスっす」


 と、オレたちの前にウニの軍艦が。


「ラズリさんとは仲良くしていきたいですからねぇー。あ、ラズリー。リーダーとても喜んでたよー。さっき電話きてさ、編集捗ってるとか」

「もう撮ったんですか?」

「昨日ラズリちゃんがログアウトした後にねー」


 もう撮ったんだ。早いな。

 オレはウニの軍艦を食べる。


「あ、美味い。オレウニそんな好きじゃなかったんだけど……。なんか味が違う」

「そりゃきっとあまり良くないウニを食べてたんだねー。ウニは採れたてが一番美味いんだ。採れたてと時間経過したウニは味がまるっきり違ってさ、ウニ苦手な人って新鮮なウニを食べたことないんだよ」

「ほーん……」


 なるほど。

 このウニならいくらでもいけそうだ。


「あ、そうそうラズリちゃん。今日の夜ゲームやるぅ? やるんだったら俺とクエストいかない?」

「ん、いいっすよ」

「やった! ラズベリーからラズリちゃんの狙撃技術凄いって聞いてさ。見てみたいんだー。俺も弓使いだし狙撃には自信あるんだよ」

「弓使ってるんすか。魔法世界の人?」

「いや、現代世界。魔法もなにもないハードモード」


 ヴァルキリーさんは見た目に似合わずハードなものが好きなようだ。

 オレは話しながらヴァルキリーさんが握る寿司を食べていく。美味い美味い。









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― 新着の感想 ―
[一言] ボカロって、リズムゲー「プロマイドセカイ カラフルステージ フィーチャリング 初音ミグ」の会社の商標登録ではなかったでしょうか。書籍化しなければ大丈夫なんですかね
2023/02/05 19:00 退会済み
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