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黒猫は眠らない  作者: 鳩胸 ぽっぽ
トウキョウ・カントウエリア
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動画投稿、始めましょう

 オレは事務所に戻ると。


「あー、どこいってたのラズリぃー!」

「探検。んで、お前は何してたの?」

「インスタでライブしてたんだよぅ」


 そりゃ結構なことで。

 オレは次にオータクンに目を向ける。オータクンはふんすと鼻息を荒くして近づいてきた。


「ぼうはていP様! イラスト出来上がりましたぞ! データはDMで納品してるでありますぞ!」

「本当に今日のうちに仕上げてきやがったこいつ……」

「いやぁ! 筆が乗っちゃいましてねぇ! 1時間でできましたとも!」


 このオタク少女はイラストに関しちゃ才能が有りすぎるんじゃないか?

 

「おし、全員集まったね」


 と、オレらが話しているとリーダーが部屋に入ってきたのだった。強制召集を受けたオレらはリーダーに何の用だという視線を向ける。

 結構忙しい人もいるだろうになァと思いながらもオレはリーダーの言葉を待つ。


「最初に言っておくけど、集めたのはあまりろくでもない理由だからね? あまり期待しないでほしい」

「わかってるよー。そんなもんだと思って私たち集まってるしねぇ」

「前作からテメェとプレイしてきたんだ。それぐらいはわかってる」

「なに、全員で動画撮るの?」

「そう」


 リーダーは強くうなずいた。

 そういえばリーダーは動画投稿者だったか。


「じゅんぺーがいない今、視聴者を稼ぐチャンスでもある。だから今始めるんだけど……。この中で動画に出るのが嫌って人いる?」

「嫌ならやめさせられるのか?」

「いや、いやなら無理して出演はさせないってだけだよ。で、どう? 嫌な人はいる?」

「動画なら私慣れてますしいけます!」

「俺もいいぜ。別に前作でもやっただろ」


 と、周りはいいよという声であふれていく。


「ラズリさんはどう?」

「あー、まァ……。オレもいいっすけど」

「おっけー。嫌になったらいつでも言ってね。それで……。まず初めに裏方作業があるんだけど……」

「裏方ァ?」

「ほら、僕は配信も一応はするけど、動画撮って編集して投稿するほうが多いんだよね。で、ゲームごとにエンディングとか変えてるんだけど、おすすめの曲とかがあったら教えてほしい。使用料はらって使うから」

「ならヴォカロがいいと思うのであります!」

「ヴォカロ……。依頼する伝手がないんだよねぇ」


 と、苦笑い。


「ならオレが作りますけど」

「テメェが?」

「オレ、これでも割と有名なヴォカロPっすよ。ぼうはていPっていう名前で活動してるんすけど」


 オレがそういうと少し場が固まっていた。


「マジ?」

「マジでありますとも! 不肖この私、新作のMVのイラストを描き終えたところであります!」

「リーダー、お前運がいいな」

「マジでいるとは思ってなかったよ。とりあえずじゃあ、エンディング曲、作曲お願いできるかな。依頼料は支払うよ」

「いらねェっすよ。どんなイメージがいいっすか? オレは基本的にダークな曲しか作ってきてないっすけど、どんなイメージでもできるっすよ」

「そうだなぁ。明るくてポップな……ざっくりしすぎかな」

「いや、十分っす。あとはオレのイメージを作り上げて作るんで」


 方向性が決まればいい。

 エンディング曲か。それも明るくてポップな……。まァ、作れなくもねェな。


「一日で完成させるっす」

「あまり無理しないでね。エンディングだからあまり長くなくてもいいから」

「どうせならフルで作ってやりますよ。アニメとかのはやったことあるけど動画のエンディング曲は作ったことないんで情熱がすごいっすよ」


 そうと決まればオレは作曲に移ろう。

 ちょうどイマジネーションがわいてきている。


「じゃ、オレはログアウトして作曲してくるんで! では! 作曲終わったらオレはトウキョウ観光するぞー!」


 オレはそのままログアウトしてヘッドギアを外しパソコンを開いたのだった。

 志島 夢乃というアカウントからメッセージが来ているが、これは依頼していたものだろう。データは送ったって来たからな。

 それはまァいい。公開時期が一日ずれるってだけだ。


「アルカナ、タロット、神秘でポップ……。こんな感じか」


 オレは部屋にある小さい冷蔵庫からエナドリを取り出し、飲み始めた。

 長丁場になるぞこりゃァ……。だが、燃える。










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