96話 軍隊がやってきた、まさかの魔法使いがいないだと
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軍隊が大挙してやって来たぞ。今は洞窟部分を攻略中だ。水や食糧はマジックバッグがあるから便利よな。兵站の部隊まで準備しなくても良いのだから。
我が国でもマジックバッグは不足している。流石に冒険者の持ち込みだけに頼っているからな。農作業には欠かせんのだ。大量にあるだけ欲しい。新たに入荷してくれるのであればこれほど嬉しいことはない。鉄とどちらの方が嬉しいか微妙な所だが。
『さて、大挙してやって来てくれているわけだ。そろそろ到着予定なのだが、準備はいいか?』
『もちろんです』
『鉄が漸く沢山手に入るんやな。待ってたで』
『……面倒』
『でだ、演出だが、相手が隊列を整えてから悠々と出て行って咆哮が良いと思うのだが、どうだ?』
『それでいいと思います』
『こちもそれでいいと思うです』
『なんでも良いんじゃない?』
『基本的には咆哮で終わりだと思うのだが、もし耐えたときは近接戦闘に持ち込む予定だ。何が起こるか解らんからな。準備は怠らん予定だ。準備と言っても覚悟だけだがな』
『……龍の咆哮を耐える人間が居るのか怪しい』
『まあ覚悟しておくことはよろしいのではないですか?』
『無理難題だと思うけどね。悪魔だってまともに戦えるのは皇帝級だけだよ』
それぞれ忙しい所ではあるが、全員揃ってくれた。剥ぎ取りもこれで少しは楽になるだろう。私も手伝う予定だ。9人でやれば2時間もあれば大丈夫であろう。
基本的にはマジックバッグと鉄とを確保する感じだな。それ以外は……特に必要あるまい? 身に着けているもので必要になりそうなものがあれば貰っておくが。
『それでだ、シャノン。他に情報はないのか?』
『うーん。特には無いよ。ああ、貴族の子息が何人かいるってくらいじゃない?』
『人間の貴族ですか。別に普通の人間と変わらないでしょうから問題ないとは思いますけど』
『せやけど、腐っても貴族やろ? 宝石の1つや2つ、身に着けとんのとちゃうか?』
『流石に戦場に宝石を持ち込む者がいるかは解りかねます』
『……馬鹿貴族なら在り得る』
『一応情報だと、頭首の跡目争いで負けてる方が来るって事になってるよ。だから馬鹿貴族の可能性は多いにあるね』
『一体どう情報収集をすればそこまで詳しく解るんですか?』
『全くです。情報収集スキルが高いのです』
『私には無理そう。シャノンが適任』
『簡単だよ? 何度か軍隊に接触したからね。あの天幕の感じだと10人は混じってるかな』
『結構危険な事をやっているのね。私もそこまでしないわよ』
『死ぬ真似はおよしなさいね』
『……大胆』
『うむ、危険な真似はしなくても良いからな。出来ることだけでよい』
『全然危険じゃないよ? 酒を飲ませて金を掴ませればほいほいと喋ってくれるんだし。どうせお金はこっちに戻ってくるしね。相手が返しに来てくれるんだからさ』
なんともまあ警備がザルである。間者くらいは気を付けた方が良かろう? 一応軍隊なのだからな。まあダンジョンと思っているところから間者が来るとは思っても無いのだろうが。
しかし、おまぬけ軍隊である可能性が高くなったな。この分だと余裕だろうな。ダンジョンの攻略を箔にさせるために送り込まれた貴族の子息が何人かとその取り巻きの部下が大勢と。
国が動いたわけでは無いのだろう。派閥争いに加わっている感じだろうな。となると国軍ではなく領主軍が来たという認識で合っているだろう。
『国軍では無いのだな?』
『違う違う。あれは領主軍の集合体って感じだったよ。装備も統一されてないしね。各貴族が300人ずつくらい出したんじゃない? それくらいの規模って感じだよ。勝たせたい跡継ぎがいるんじゃない?』
ふむ、それならば強いものもそうそういないか。予備の兵で攻略できれば儲けものと言った感じの軍隊か。負けることも見据えているな。
そして、暫くの間、城で作戦会議という名の駄弁り合いが続き、がっちゃがっちゃと音がし始めた。漸く来たか。城の一番高い所から見てみるか。
……何ともお粗末な陣形であるな。200人掛ける20人と言った横陣形である。不揃いもいい所だな。龍相手にする陣形では無いだろう。というか魔法使いがいないのか?
『ふむ、あれは魔法使いがいない編成ではないか?』
『でしょうね。あれでは龍退治など無理ですよ』
『……龍を知らないから出来る所業』
『だから言ったじゃん。金属鎧が4000だって。後は馬の世話とかをさせる後方要員でしょ?』
のっそのっそと動いているが、あれは亀か? 鈍亀並みに遅いのだが。……はあまあ期待はしていなかったが、この程度か。
『では行ってくる。直ぐに集まって貰うことになるだろうが』
『行ってらっしゃいませ』
『せやろな。まあ頑張ってや』
『……面倒。数が多い』
さてと、結果は見えているが、龍へと変身してからの悠々と飛行、そして咆哮を放つと。
『どれだけ耐えられるのか見ものだな!』
……結果は知っていた。こうなるであろうな。がちゃんと言う音を立てて崩れ落ちた。さて、剥ぎ取りを開始するか。結果は知ってはいたが、鉄が確保できたから良しとするか。
『お話にもなりませんでしたね』
『一瞬でした』
『まあこうなるでしょうね』
『賭けにもならんわ。ほんまつまらんで』
『……さっさと剥ぎ取る。面倒』
『凄いです。流石です』
『ここまで多いと大変』
『さあて、馬鹿貴族は何処かなあ』
思い思いに剥ぎ取りを開始する。こんな楽で良いのだろうか。もう少し苦戦して見せた方が良かっただろうか。しかしな。軽い咆哮で倒れられたら他にすることが無いのだが?
鉄の採取には持って来いだがな。なるべく殺さぬように剥ぎ取らねばな。しかし、この人数を転移させるだけでも面倒だな。剥ぎ取りながら転移させていくか。
何か掘り出し物は無いだろうか。とりあえず皆でマジックバッグに鉄の武具を片付けて行っているが、終わりが見えぬな。暫くはこの作業か。
冒険者が来たら誰かを連れて行かねばならんし、商人が来ても同じだな。難民が来た場合はもっと面倒だ。とっとと剥ぎ取るに限るな。
ともかく、こんなことが度々起こる様になるのだろう? 面倒ではあるが、鉄は十分に確保できるな。だが来るのであれば数年に1度も来ればお腹がいっぱいである。どうなることやらだな。




