7話 人間の持ち物、罠にかかった、離宮づくり
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さて、人間の襲撃者を片付けて帰って来たが、クレールはまだ戻ってこないな。そう言えばゴブリンの死体を回収すると言っていたか。まあ少し待てば帰ってくるだろう。
それよりもだ。大変な事に気が付いた。門がない。城壁に門が無いのだ。それでは入れないではないか。そんな重要なものを忘れていたとは。
飛べることの弊害だな。飛べてしまうから門などという事を忘れていた。無くて困ってなかったからな。修正しなくては。
そんな訳で、5日ほど掛けて修正した。うむうむ。上出来では無いかな。では記念に召喚陣を起動しよう。
『我が問いに答えよ。眷属をここに』
「ぎゃぎゃ」
『ふむ、ゴブリンよ、そちらの洞窟に向かうがよい』
「ぎゃ!」
ふむ、素直に従ったな。こう素直であれば何の心配も無いのだがな。これで5匹目か。200匹くらいは召喚したと思うんだがな。5日で200匹といえば多いかもしれないが、暇つぶしも兼ねているからな。当たりだと嬉しくなるよな。
さて、門もできたし、動作も確認した。力が無ければ押しても開かないがそこはしょうがないだろう。回りやすいようにはした。後は力が強ければ開くはずだ。
現に私は押して開けられた。何も問題ない。閂は必要ないだろう。誰でも入って来てくれても構わん様に準備をしているのだ。開けられない方が悲しいだろう。
そう言えば、迷惑料でどのくらいの物が手に入ったのか。その確認をしようか。クレールは何処にいるのか。繋がっているから大体の場所は解っている。
『クレール、ここにいたか』
『カルネラ様! 探させてすみません』
『良い、それで、人間から剥ぎ取ったものはどうだった? 何か良いものはあったか?』
『そうですね。良いものと言えばマジックバッグの不完全な模倣品があったくらいでしょうか。後は武器と防具とお金くらいですので』
『マジックバッグとはなんだ?』
『マジックバッグは見た目以上に持ち物が入る仕様のバッグの事です。重さも感じませんし、普通のバッグの1000倍は入るものですね。あ、後時間が止まります』
『不完全な模倣品とはどういうことだ?』
『容量が5倍程度で、重さは感じませんが、時間は止まりませんでした。人間がこれを作ったのだとしたらすごい技術ですよ』
『そんなに貴重な物なのか?』
『分かりません。少なくとも魔界にはないものですね。武器や防具は魔界の方が品質がいいですけど。なので、武器防具は魔界では余りお金になりませんね。鉄の価格と一緒です』
『そうか。別に必要になることも無い。魔界で研究するなりしたらどうだ?』
『良いのですか? 貴重な物かもしれませんよ?』
『それよりも金の方が良いな。地界の金はどのくらいあった?』
『すみません、地界の価値が解らないので何とも言えませんが、少なくない金額だとは思います』
『ほう? 何故そう思った?』
『種類が多かったからですね。少なくとも5種類の金が有りました。魔界では10枚で1枚上の価値になるんですけど、地界でもそうならまずまずの金額だと思います。多分20日くらいは暮らせるんじゃないですかね?』
『成る程な。それは宿を取ってでか?』
『宿を取るのでしたら3日と言ったところだと思います。あくまでも魔界の価値で考えてますが』
『そうか。まあそんなに儲からなかったと思っておけばいいんだな?』
『そうですね。人間の社会にも金を預かる場所があるんだと思います。恐らく纏まった金はそこに預けられているのかと』
『家に置いておくことはないのか?』
『人間は卑しいですからね。家に置いておいたら誰かに取られると思います』
『それは悪魔は卑しくないと言っているのか?』
『当然ですね。悪魔は力こそ全てというところは有りますが、他人の物を盗ったりすると爵位が落ちることも有りますから。奪うときは正面からが悪魔流ですね』
『それはそれでどうかと思うがな』
『些細な事でも契約を破れば力が落ちるのが悪魔の世界ですから。契約が全てです。ですから契約外の事はしますが、契約で縛ればその中でちゃんと自分の利益を取りますよ』
『成る程、そうなれば私との契約は殆ど自由となっているわけだ』
『その通りですね。カルネラ様の契約では問いに答える事と眷属よ来たれくらいしか縛ってませんでしたから』
『ふむ、私の不足なところであったな。しかして私の不利には動いておるまい?』
『眷属ですので。主人の不利には動きません。永遠の忠誠を誓っているのは本当ですよ?』
『その中で、できうる限りの利益を取るわけだな。成る程』
『その通りです。基本的にはカルネラ様の不利にはしませんので』
『分かった。まあ天使よりは融通が利くと考えておこう』
『天使は無償の奉仕ですからね。不利になることも沢山しますし』
『ん? そうなのか?』
『天使は主人にあるべき姿を要求しますからね。例えそれが不利な要求だとしても通してきますよ』
『成る程な。それはそれで面倒だ。召喚陣からは呼べぬのか?』
『呼べますが、天使は基本的に大天使の奉仕を仕事としてますからね。まず呼んでも来ないでしょう。くるのは魔物か悪魔かのどちらかだと思いますよ』
『ふむ、対価が無い分悪魔は来ることは少ないと。それでゴブリンが多い訳だな』
『波長がゴブリンに近いんだと思いますよ。ゴブリンも土属性ですので』
『……成る程、そう言う側面もあるのか』
ズシーン
『罠か。何か掛かったな。一緒に来い』
『解りました』
さて、初めて何か掛かったな。あの高さからならまず助からないだろうが、助かっても瀕死だろうがな。……大猪だな。
『グレイトファングボアですね。結構な大物じゃないですか!』
『瀕死だな。止めをさすか』
軽く頭に一撃。これで死んだだろう。それ程に龍の攻撃力は凄まじいのだ。……人間相手に咆哮を使ったのは殺してしまわないか心配だったからだな。前衛まで気絶するとは思わなかったが。
『いいですね、ビッグファングボア。お肉も美味しいんですよ。伯爵級以上の悪魔しか倒せませんけど。……この山の主ですかね?』
『さあな。これで中腹くらいに穴を開けたんだがな』
『となると、もしかしたら飛竜がいるかもしれませんね』
『飛竜か。竜の中でも弱い個体だな。そんなのがいる可能性があるのか』
『あまり好きではないですか?』
『ああ、本能むき出しのものだからな。同朋とは呼びたくないな』
『強さも全然違いますしね。龍は基本的に襲ってきたら大災害です。大悪魔が束に成らないと勝てないんですから』
『勝てるだけでも大概だとは思うがな。まあ龍になった者は何かしら欲が強いものだ』
『カルネラ様はどんな欲が強いんですか?』
『さあな。城を作りたいとは思ったが物欲が強い訳でも無いからな。よく解らん。だが、城は完成させるぞ。何があってもだ』
『それでは先にカルネラ様の部屋を決めてはどうですか? 部屋を豪華にするにしても部屋を決めて貰いませんと豪華にしようがないので』
『そうか、それは悪かった。ではおすすめを聞こう』
『……ご自分で作ったのでは無いのですか?』
『作ったが、王が住む場所というのが解らんからな。適当に見繕ってくれ』
『はあ、では離宮を作ってはいかがですか? 建材も余ってますし、魔界では大悪魔様方は大抵城を建てた後、離宮に住んでますから』
『なに? 城とは住む場所ではないのか?』
『行政区みたいなものですよ。自身の居住区は別に作ることが多いです。私は眷属扱いなのでお城に住んでも別にいいんですが』
『普通は違うのか?』
『普通は城壁の中に居住区を建てますよ。大悪魔様方はそうしていますね』
『そうなのか。では居住区も作らねばなるまい』
『私は別に構いませんけど、建材は足りますか? 離宮も作るんですよね?』
『足りなければまた掘れば良かろう。どれ、大仕事になるな。まずは離宮から建てるか。どの辺りがいい?』
『では謁見の間の裏側くらいがいいんじゃないですか?』
『そうするか。ではそうしよう。暫くは離宮づくりに励む。内装は任せたぞ』
『解りました。でもそうですね。また人間が来たりしたら対処はお任せします』
『うむ、心得ている。任せよ』
そうか、居住区を作らないといけないのか。城に住むとばかり思っていたがそうではないのか。離宮な。建材の余りもあるし、ささっと建てないとな。離宮も奇抜な方が映えるだろうか。