52話 税は取るべき、回覧板を回そう
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さて、2人の悪魔が新たな眷属として加わったな。1人は無口で余り話さないが、まあ問題は出ていないから良しだ。問題が起こってから対処しよう。
剥ぎ取りの仕事も覚えて貰った。ブリジットの方には何かありそうな感じではあったが、まあおおむね良しとした。仕事はきちんとしてくれているからな。
産業の方も順調だ。順調に色々なものが増えて行っている。中でも炭、練炭だな。練炭が大量に出来る。鍛冶で使う予定だからな。余るほど作ってくれて構わない。
問題は蜜の方だな。一向に貯まらん。いや貯まっては居るのだが、他の物に比べてもの凄く少ない。……砂糖芋から採れる砂糖の量が異常に多いと言った方が正しいのか?
現に保存食に砂糖漬けが流行りだしている。……大量にあるから良いものを、砂糖漬けは余り保存が利かんのだがな。塩漬けとは違うのだよ。
まあ美味しく食べる分には砂糖漬けは甘くておいしいものだ。生の果物とはまた違った味わいがある。果実だけは大量にあるからな。捨てるほどにあるのだ。現に何もしていないのに木が生えてきている。凄い生命力だな。
砂糖は余ってきている。魔界でも需要はあるが、魔界の産業を壊すわけにはいかんので、魔界で売るのは無しとした。地界の産業? 地界は壊しても大丈夫だ。私の国が正常ならそれでいい。
結局は自分の城、自分の国が問題無ければそれでいいのだ。魔界とは協調路線で行くのだから助け合いはしても産業は壊さない。酒は足りないので穀物や芋はドンドンと輸出しているが。
であれば砂糖も大丈夫ではないかとは思っているがな。簡単に言えば、酒は砂糖をアルコールにしているのだろう? 砂糖はあるだけ必要な気がするのだがな。
まあ風味も何もない酒が出来上がるのだろうがな。それでは不満なのだろう。酔えればいい酒ではなく、美味い酒を探しているのであれば納得はある程度いくものだ。
砂糖の産業は魔界でも砂糖芋やサトウキビが主らしい。サトウキビも燃料に最適だと言うし、こっちの砂糖芋に近いものがあるのだろう。まあメインは砂糖な訳だが。
砂糖があるだけで、料理の幅が出るからな。今までは塩だけだったのだ。そこに砂糖が加われば料理も進化していくだろう。ジャムなんかは保存も利くし、いいとは思うぞ。
『……カルネラ様。ちょっと』
『む、ブリジットか。どうした?』
『……何故税を取らない?』
『そうだな。深い意味は無い訳ではない。この国を見てどう思った?』
『……いい国。農業大国を目指す。土地柄仕方のないこと。税がない。国民が苦心して出す必要がない。防衛。完璧。徴兵も無い。資源は仕方ない。あるもので上手くやってる』
『そうであろう? では良いではないか』
『……利益だけを得すぎている。負担は必要』
『ふむ、利益は何がある?』
『……一番は徴兵が無いこと。命の危険がない。これが一番の利益』
『成る程、それについての税を負担しろというのだな』
『……そう。安全には本来金か人手が掛かる。税は必要』
『しかしてどれだけ取ればいい? 最初に無税であると説明してしまったぞ? 将来世代からは取ろうかとも考えてはいたが、早すぎではないか?』
『……無税に慣れすぎる前に取った方がいい。でも気持ちは解る。貧乏人からは取れない』
『であろう? 基本的には金の無い者たちだ。そこから取るには難しいだろう?』
『……税率を決めなければいい』
『ふむ? 決めないとどうなるのだ?』
『……納めたい人だけに納めさせる。お金に余裕がないときはこのやり方がいい』
『ふむ、どうするのだ?』
『……役所に税金を納める場所を作る。多分教育を受けた人は少なくても税を納める。元々村人だった人たちは多分納めない。取られる生活に慣れているから』
『ふむ、しかして納められた税をどう使う? 今の所困っているわけでは無いのだが?』
『……貯めておく。役所の人や医師や薬師の給金に当ててもいい。でも何かあったときのために貯めておくのがいい。あるだけで今後が全然違う』
『足りなければ私が飛竜やらを狩って来れば良いのだがな?』
『……君主に頼るのは最後の手段。国としては悪手。国として成り立たせるには税は必要』
『ふむ、国としてか。それは考えたことが無かった』
『この国は君主制。龍が治めてはいるけど、根本はそれ。君主制は君主が何もしなくても回るのが一番いい。君主が回すのは最後の手段にした方がいい』
『それはゴブリン狩りにも言える事か?』
『……本来はそう。でもクレールの利益が減る。それも良くない。でも本来はしないで回る方が良い。その方が健全』
『ふむ、ゴブリン狩りは趣味と実益を兼ねている。問題はない』
『……そう、でも最大戦力が動き回るのに税がないのは不自然。取るべき』
『ふむ、触れを出すか。どう伝えるのが効率がいい?』
『……回覧板を使う。幸いにも教育済みの子供が多い。戸籍もしっかりとしている。文章でも読める。誰に回すかも解る。それに触れの出し方の練習にもなる』
『ふむ、どういうことだ?』
『……仕事の募集にも使える。皆の目に触れる。回覧板の利点。回覧板は定期的に回した方がいい』
『ふむ』
『……何かあったときのための連絡手段。皆に知らせたいこと。人が多くなって来れば重要。今のうちに回し方に慣れるべき』
『ふむ』
『……余り良くない確認方法、死亡の確認が出来る。回覧板が止まる。何か異常があった時』
『成る程。死亡の確認が出来ると。回すときに死亡が解るのと、余りにも回ってこないときは前の人に聞くと。そう言う事だな』
『……そう。最初は理解できなくてもいい。何のお知らせでもいい。回覧板が正確に回ることを考える。そうすれば隣近所で助け合いが起こる可能性が高くなる』
『ふむ』
『……どうしても村同士だった者への関りの方が強い。それを別の村同士の繋がりへとしていく。回覧板は横の繋がりを強くする』
『成る程な。試してみる価値はあるな。税の納め方について触れる前にまずは適当な内容で回るかの確認も必要だな』
『……試しは必要。それこそ役所の人間の出番。役所暇。見回りが多すぎる。互いに見守る体制を作っておいた方がいい』
『そうか。役所が暇か。暇であればいいと思っていたな』
『……役所が暇。良いこと。不満がない証拠。でも暇すぎる。多少の仕事は必要』
『解った。試してみよう。回し方も役所の人間に教えれば良かろう。後は自分たちで考えてくれるだろう』
『……それでいい。最初は失敗する。でもそれでいい。慣れが必要』
『うむ。やってみよう』
回覧板か。成る程な。横の繋がりを強くしていくことに繋がるのだな。何かあったときの助け合い。大いに結構ではないか。試す価値のあるものだ。
では役所の者たちに仕事をやるとするか。最初は何がいいか。……国の名前から告知するか。龍皇国フランクバッハとは最初に伝えたが、忘れているものも居よう。
本当にどうでも良いことから回すことにして、自由欄も設けようか。誰かへの伝言になればいい。どう回すかは役所の人のさじ加減だが、最後に役所に戻って来ればいいだろう。
さて、計画はある程度練った。後は実行あるのみ。まずは全員に回って返ってくることが目標だ。何枚回すのかも決めなければならないし、一体どのくらい掛かるのかも考えないといけない。割と難しいことだぞ、回覧板。
役所の人間は頭を悩ますがいい。その分ましな国になっていくと思えばいいだろう。さてさて、成果はどのくらいで出るのかだな。少し楽しみになって来たな。




