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3話 クレール視点、召喚に応じた

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 クレール=ウィルソンは魔界の大商会、ウィルソン商会の長女であった。彼女の力の大きさは子爵級。それは魔界でもまずますの戦闘力であると言えた、本来の物ならば。


 悪魔には強さを計るために爵位が有った。強い方から皇帝、大王、王、大公爵、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵、兵士長、兵士、雑兵、雑魚。これが強さの指標だ。


 大悪魔を名乗れるのは王以上である。それ未満の騎士爵までは悪魔、さらにそれ未満が小悪魔と呼ばれる。雑魚級ならば、雑魚級小悪魔○○と名乗るのが普通だ。


 当然下の階級など名乗りたくない。であれば強くなるほかない。強くなるには魔物から生成できる薬を飲まねばならなかった。だが、魔界ではそれは難しい。


 魔界の魔物は、基本的に強すぎるのだ。最低でも伯爵、悪魔と名乗れる者の中でも強い者にしか討伐できないのだ。


 例外はある。それは地界に行く事。最下級の魔物であれば雑魚級悪魔でも狩れるはずなのだ。……魔界での強さを基にすれば。


 地界は魔界に比べて魔力が薄すぎる。それ故に最低でも騎士爵、悪魔と名乗れる者でないと最下級の魔物すら狩れない。それくらいに地界は悪魔にとって生きにくいのだ。


 クレール=ウィルソンは子爵級、割と力のある方だ。生来のものならば。薬で強化してこれだったのだ。元々は騎士爵級だった。


 親は大喜びだった。騎士爵であれば地界に行って魔物を仕留められる。小悪魔に薬を売ることもできる。そう思い、娘を鍛えてきた。ゆくゆくは伯爵級を超えて、魔界でも狩りができる様になればいいと願っていた。


 しかし、そうはならなかった。クレールは子爵級で頭打ちになったのだ。これはよくあることなのだ。それ以上強くなれないことが多々あるのが悪魔の世界だ。どんな薬を使おうともそれ以上は強くなれない限界点がある。


 クレールは元々の限界が近かっただけなのだ。それを責める訳にも行かない。親もそれは解っている。だからクレールを責めなかった。


 それにクレールは悪く言っても子爵級なのだ。地界に行って狩りを行える。それで他の兄弟姉妹を強くすれば問題無いことなのだ。


 彼女は頑張った。傷だらけになりながらも地界にて魔物を狩り続けた。そして、ウィルソン家の3男が伯爵級まで上り詰めた。始めは兵士級だったことを思えば大出世である。


 そして、弟が魔界で狩りを始め、薬を大量に売り、今では大商会となったウィルソン商会。歴史の浅い商会にも魔界は冷たくは当たらない。むしろ歓迎された。


 定期的に竜や龍の襲撃があるのだ。戦力が増えることには誰も文句を言わない。力こそが正義の魔界にあっては新興商会でも力さえあれば問題ないのだ。


 他の兄弟も男爵までは育ったので、地界にて狩りを続けている。クレールもまた地界にて狩りを続けていた。それが商会を潤していたから。他の悪魔からも感謝されこそすれ、非難されることは無かった。


 それでも彼女の内心は晴れなかった。伯爵級より上を目指せる弟、今は侯爵まで上り詰めた弟を見て彼女は思う。


 自分では特別に成れなかった。だが、弟が特別になってくれた。それでいいじゃないか。しかし、彼女の内心は晴れない。


『我が問いに答えよ。眷属をここに』


 またかと思う。私と波長の合う何者かが召喚をしようとしている。……簡易召喚では無く、本物の召喚だ。しかし、私は呼びかけには応えない。


 呼びかけの主からの提示が何もないのだ。それでは幾ら波長が合ったとしても行く気にならない。それに応じれば、地界で思う存分力を揮える存在に成れるとしてもだ。


 悪魔や天使は自分で行くのではなく、本物の召喚によって呼ばれた場合、地界でも存在そのものの力を揮える。これは契約者から魔力の供給を受けるからだ。


 逆をいえば、簡易召喚では呼び出すだけなのだ。彼女ら悪魔が地界に行くのもまた、この簡易召喚で行き来しているのだ。それでは繋がりが、世界との繋がりが希薄なため、力をかなり制限される。


 本物の召喚を行うことができる者は限られている。代表的なのは龍だ。高位の存在である龍ならば、本物の召喚を知っていてもおかしくない。


 しかし、人間が研究のすえに本物の召喚をできる様になった例も沢山あるのだ。過去に、悪魔も大量に呼ばれて行ったはいいが、その場で討伐されて素材にされた過去がある。それは学校でも教えられた。


 召喚には余程の対価を得られる場合にしか応じてはならない。そう教えられるのだ。それでも、力欲しさに呼ばれて行くものもいる。


 気持ちは解る。力が得られる機会なんて常にあるわけじゃない。強くなれる可能性があるのなら掴みたいと思うのは自然なことだ。


 だが、私はこれ以上に力を伸ばせない。伸びしろがないのだ。だからせめて、弟に贈れるものが対価に成れば行く事も考えるんだが。


『我が問いに答えよ。対価は我が龍の血なり。眷属よ来たれ』


 これは行くしかないと思った。本物の龍の血。これが対価ならば弟が大悪魔になる可能性も高い。私は直ぐに召喚に応じた。


『問いに答えを遣わします。ご主人への永遠の忠誠を。子爵級悪魔クレール=ウィルソン、ここに』


 そこに居たのは人間の姿をした龍。この命を預けるのに値する存在。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >それは魔界でもまずますの戦闘力であると言えた、生来の物ならば。 『生来の物』は生まれつき持っている性質なので、『薬』で強化したり、鍛錬で積み上げたようなモノは『生来』とは言いません…
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