1話 成龍、住む場所を決めた
設定ガバガバ、不定期更新で進行します。ゴールも決まってません。
メインになる作品ではないです。今回の課題は他視点を描くこと。その練習作です。
他視点って本当に難しいんですよ。設定ガバガバにしとかないと矛盾しかねない。矛盾したらごめんなさい。ともかく他視点を描く練習をします。なので他視点が多くできると思います。サブタイトルで書くとは思いますが、忘れてたらごめんなさい。
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長い時を生きることは人間の永遠の課題だとはよく言うが、いざ長いだけの時を与えられるとどうもな、暇で暇でしょうがない。
この度晴れて1000歳を迎える。まだまだひよっこだが、これで成龍の仲間入りだ。この退屈な龍の園ともお別れな訳だな。感慨深いものがある。
龍の寿命は果てしなく長いと言われているが、無い訳ではない。1万年で死ぬこともあれば1000万年も生きることもあるという。死んでみないと解らない訳だな。
ああ、自己紹介がまだだったな。私はカルネラ。土龍の子供だ。土竜ではないのでその辺は注意するように。
ああ、日本語でもぐらでは無く、つちりゅうと読んでも違うからな。龍と竜では違うのだよ。
日本語という事からも解る様に、私は転生者である。人間の頃の事などとうに忘れてしまったがな。だが念話の言葉が日本語に聞こえてしまうのだからしょうがないだろう。
これは龍が魔力で話している事に原因がある。意思を伝えるのに魔力を乗せてしゃべるのだ。ならば言葉の解る解らないを通り越して理解できるのだ。そう言うものなんだ。
本来ならそれに慣れるのに、同じような言葉を話すようになるんだろう。だが、私は転生者だった。日本語という言語を知っていた。故に日本語で話しているとの錯覚を受ける様になった。
そして、その錯覚は治らなかった。無理もない。言うなればただの咆哮が魔力を介して言葉として伝わるのだから修正のしようがない。そのため早々に諦めた……とはならなかった。
暇だったのだ。どうすれば他の言語に聞こえるのかを延々と考えてきた。結果は御覧の通りである。無理だった。染み付いたものを一から作り直すのは相当に骨が折れるようだ。
1000年では足らなかったのだ。それ程に難しいことだったようだ。まあ不便も無いのでこのままだがな。不便になれば考えるさ。
さて、龍と竜の違いだったな。これは簡単だ。理性があるかどうかが龍と竜の違いだ。元は同じなのだ。龍の卵から産まれる。竜からは産まれない。それは絶対ではないが余程のことがないとあり得ない。
竜が卵を持ってこの龍の園に来るのならという括弧書きが付くのだ。まあ無理だ。だから例外は無いと思ってくれていい。
龍は卵を産むと龍の園に持ってくる。ここは龍王が管理する天空の時空の狭間にあるのだ。人間は絶対にたどり着けない位置にある。そこで卵を孵化させる。
その子供はまだ竜として扱われる。理性が無いからだ。そこから理性を獲得して龍に至るわけだな。理性を獲得しなければ竜と扱われる。理性の判断は簡単だ。
1000年間この龍の園を出ないことだ。好奇心で出てしまう様では竜の烙印を押されてしまう。同期も割といたんだがな。龍に成れずに出てしまった。残っているのは300歳下の子供が一番近いか。
それ程に龍の園は退屈なのだ。それを耐えることで龍の称号が得られる。理性を持つ者とはそう言う事だ。退屈を耐えられるか否か。それが龍と竜の違いだな。
そして今日、龍王の許可を得て、晴れて龍となった。元の属性が土だったため、土龍となる訳だな。土龍に成れた結果、与えられるものがある。それが、召喚陣と人化だ。
人化は分かりやすいだろう。人に成れる魔法ではない術理に因るものらしい。らしいなのは詳しくは解らない。ともかく人化ができる。そう言う事らしい。
もう一つは召喚陣だな。これは簡単に言うと身の回りの世話をしてくれる者を召喚しろという訳だな。一言で言えば召使だな。
使い方は簡単だな。魔力で召喚陣を書けばいい。何が出てくるのかは選べない仕様みたいだが、何度か試せば当たりが引けるだろう。
それで、生きる場所は何処でもいいらしい。龍は竜と違い理性がある分、人の社会に溶け込むことも可能だ。そうやって生きているものもいるという。
問題なのは私がオスだという事だな。オスはメスを迎え入れる場所を作らねばならない。簡単に言えば巣がいる訳だな。龍の巣。
これが何とも難しいのだ。基本的に龍は娯楽や何からを抑制して生きてきた訳だ。それから解放されるのだから、物欲が凄まじいことになりやすい。
簡単に言えば、金銀財宝を婚姻に求められるわけだな。人間社会を知る龍程、物欲が激しいと聞く。
故に、ある龍は人里の一等地に城を構えているとも言われている。そこまでせにゃいかんのか。面倒なことこの上ない。
人知れずゆっくりと日々を過ごしたいと思っているので、婚姻は無しの方向で行きたいが、見つかったらしょうがないのである。何とか考えないと。
幸いなことに、龍は食事も睡眠も必要ないのだ。竜の時代は必要だったんだが、今後はそれとは無縁の生活が待っている。……よく解らない雑草サラダともおさらばだ。生肉ともおさらばだ。
最低限、人と同じ様な生活をしよう。それでいてメス龍に居場所がバレない様にしよう。……無理だろうがな。そのうち見つかるとは思う。少しは引き伸ばしたいが。
さて、そうなると居住をどうするのかだな。服は魔力で編むから良いとしてだ。金がない。金を稼がないといけない訳なんだ。
だが、冒険者をやると確実に龍とバレる。それはなるべく避けたい。龍とバレると暗殺や刺客を送ってきて素材にしたがる輩もいるのだ。それは避けねばならん。
負けないけどね。負ける訳が無いのだが、面倒だからな。戦闘力を竜と比べて貰っては困るのだよ。竜と龍では戦闘力に格段の差がある。
もし龍が負けることがあるとすれば、名工が魂を削って鍛えたオリハルコン製の剣を生涯を剣にささげた様な御仁が持っている場合くらいだ。それ以外には余程がない限り負けんよ。
さて、そうなると、どうするか。人里に住むのは色んな事があるせいで却下だ。まず、こっちの言葉は通じるが、相手の言葉は召使を通してでしか解らん。
何せ、人間の言葉が解らんのだから。そして国が違えば言葉が違う。それを全て覚えろというのは無理な話……ではないが、非常に面倒だ。
暇ならそれで時間を潰せるな。……金の心配もしないといけないんだからどうしようも無いんだが。普通に人間界で生活したいしな。
……一応、世界は3つあるので選べるんだが、天界、地界、魔界とある。まず、天界。これは却下だ。単純に天使と龍との相性が悪い。
物欲の龍と根っからの善意の種族である天使とは折り合いが悪すぎるんだ。そして、悪すぎれば最悪戦争なんだが、大天使は龍に勝てるからな。よく、喧嘩になって、天界がボロボロになりつつ龍を討つというのは龍の園での笑い話だ。
そして、魔界もな。あいつらは好戦的過ぎるんだよな。戦いを求めているなら魔界という選択肢もあるんだが、私は別に戦いに飢えているわけでもない。そして、大悪魔は龍に勝てるからな。天界と同じような感じの笑い話があるほどだ。
そんな訳で、地界が一番平和なんだが、地界は金が無いと何もできない。金策はできないことも無いんだが、それは最終手段にしたい。面倒な事になりかねん。
人間とも戦争になるんだよ。人間は龍には勝てないからな。別にいいんだけど、毎度毎度戦争を吹っ掛けられるのも面倒なんだ。
守護龍というポジションも無くは無いんだが、今度は龍同士の戦いになりかねない。龍は龍を殺せるからな。相互不干渉とできるならいいんだが。
そんな訳で、危険は何処でも付いて回るんだが、基本的には地界が一番安全である。天界が一番安全かと思ったか? 吹っ掛けた奴のとばっちりもあり得るんだぞ? そんなのはごめんである。
さて、そうなれば何処がいいか。土龍らしく地中に住むか。ダンジョンと間違えられるかもしれないが、それはそれだ。基本的には交渉出来るだろう。
人間との交流もしたいから町からは近い方が良いな。んー……手頃な山があるな。火山でも無いし、ここにするか。良し、ここを我が城にする。後は穴を掘って部屋やなんかを準備せねば。
忙しくなりそうだな。暇よりは全然いいがな。多少は深く長く掘っておいた方がいいだろう。魔物が沢山入って来ても面倒だ。どうせならダンジョンチックにするか。枝分かれも作っておこう。
かくして龍が山に住み着いた。……ここが有名な飛竜山脈とも知らずに。