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3:急襲

冬休みに入りました。少しだけ投稿頻度を上げられるといいなと思いつつ執筆中です

 階段自体は割と綺麗だ。ただ、壁のように閉ざされた扉はうんともすんともいわない。


「鍵穴もない、魔法鍵の認証みたいなのもなさそう、か」


 周辺を調べてみても、この扉を開けるためのものは見当たらない。もしかして、出られない……?


 いやいやいや!希望は捨てない方がいい。最悪、あの落ちてきた穴から出る方法を探してもいい。


「こちらも反応はありませんね」

「うーん……」


 なんとなく、扉に耳をつける。


「どうしたのですか?」

「外の音聞こえないかなーって」


 耳を済ませる。さすがに何も聞こえないよね、なんて思ってやってみる。


 耳に入ってくるのは、喧騒。武器と武器がぶつかるような、そんな音。扉越しなので明瞭に聞こえる訳では無いが、それでもハッキリとわかる音だった。


「……ねえ」

「どうしました?」

「この先の音の解析とかって、できる?」

「音の解析、ですか?お任せを」


 ユグドラシルは円を分割したようなパーツ───彼の言うところのユニットのうちの2つと、水晶のようなユニットの1つを浮かべると、平らな面を扉へと接触させる。


 ユニットに青い光の線が数回走ってから、ユグドラシルは扉からユニットをそっと離した。


「解析結果。剣戟、氷魔法、地魔法、蹴撃……戦闘音の確率が高いです」


 そういえば、タンザは氷魔法を使えるとか言っていたっけ。

 と、なると、この先にいるのはタンザなのだろうか?戦っているのなら、加勢をしたい。

 しかし、扉が開かない。こうなったら。


「力強くで開ける!」


 アーティファクト────剣に手をかけ、一気に振り抜く。どんな力があるのかまだ分かっていない。説明を受ける暇もなかったのだ。


 ただ、いける気がして。そんな直感に任せて振り抜いた……のだが。



 扉は、剣とぶつかったことを示す高い音を響かせるのみだった。


「っ?!」


 アーティファクトは、起動しなかった。ただの金属製の剣が、壁のように閉ざされた扉を斬ることはかなわず、虚しくもキィンという音を響かせるだけだった。


 アーティファクトが剣の形だから、何かしら高い威力を出せるという直感は外れた。どうしよう、どうしよう!


 そう1人で慌てていると、ユグドラシルがそっと前に出て、私に後ろにさがるように手を出した。


「おまかせください、ラピス。この扉を破れば良いのですね?」

「あ、うん……」

「はい、お任せを。危険ですので、さがっていてください」


 言われるままに数歩下がると、ユグドラシルは残りのユニットも浮かべた。

 何をするかと思えば、ユニットがユグドラシルの周囲を旋回しはじめる。



「───打ち破ります」


 勢いをつけたユニットが、扉へ向かい放たれた。


◇◇◇


 また時は少し戻って、地上。

 タンザとローズは、赤い軍服の集団と交戦していた。


「【フロスト】!」


 タンザがそう叫ぶと、複数の氷の刃が放たれる。氷魔法の中位魔法だ。

 しかし、赤い軍服の集団の中に炎魔法の使い手がいるのか、相殺されてしまう。


「うおっと?!」

「ちょこまかと!」


 狭い室内の中、袋小路状態ではタンザ達の方が不利だ。外に出るための扉も赤い軍服の集団によって使えない。しかし、せめてもう少し広い場所に出なければあまりにも不利だ。


 壁を破ろうにも、ここは古代遺跡。仕掛であいた穴はともかく、故意に穴を開けるのはどうなのか。多分後程、かなり怒られるだろうとタンザは悩んでいた。

 しかし、ローズは違った。笑顔で拳銃のような武器を手にしたかと思えば。


「ばーん!」


 壁に向かって発射した。拳銃のような見た目からは想像出来ないような威力の弾が発射され、壁に大穴があいた。

 そのことにタンザも赤い軍服の集団も驚いた。


「はいはい!んじゃあ外に逃げよー!」

「えっ」


 キュッとタンザはローズに抱えられ、穴から外に運ばれる。

 すぐに赤い軍服の集団のリーダー格の男も正気に返ったのか、


「お、追うぞ!」


 と、集団に指示を出し、2人を追った。



 抱えられて運ばれているうちに我に返ったタンザは、途中から自力で走り出した。


「で、どーするんですか?!」

「うーん。どうしよーかなー……考えてないや!」

「ええええええ?!」


 背後から飛んでくる炎やら岩やらの魔法を氷魔法や武器で撃ち落としつつ、とにかく逃走。



 しかし、それも長くは続かず、背後が崖になった場所へと来てしまった。


「追い詰めたぞ……!」

「どっどど!本当にどうするんですか!」

「んー、そーだねー。改めて聞くけど、キミ達って、どこの誰でなんのためにボクたちを追ってくるの?」


 ローズは赤い軍服の集団から目を離さずに、そう尋ねる。とはいえ、簡単に答えるとは考えていない。


「答えると思っているのか?」

「じゃ、きき方を変えるね。フェルトリアの軍人さん達が、我らがグランティア領の古代遺跡になんの用?」

「なっ……!」


 赤い軍服集団のリーダー格の男は、一瞬驚いた表情を見せてから、ローズを睨みつけた。


「えっ、フェルトリアの軍服って青色じゃ……」

「いちばん有名なのはそれだねー。でもね、赤い軍服は精鋭部隊の証ってやつだよ?あんまり知られてないけどね」


 隠してるのかわっかんないよねー!とローズはケラケラと笑う。それに対して、リーダー格の男は唇を噛んだ。


「まあそーゆーわけでさ。とっとと答えて?」


 そうやって集団を煽りつつ、ローズはこっそりと、タンザにいつでも動けるようにと合図を出した。

 タンザはなんとかそれを読み取って、アーティファクト────太刀の形をしたそれを握る。


「だんまりなの?なら、おとなしく投降してくれたりしない?」

「な……そんな事する訳無いだろう!」

「そうだそうだ!お前らたった2人なんざ!」


「そうだ!総員、行くぞ!」


「交渉決裂かあ、ざーんねん。タンザくん、やっちゃおーか」

「あ、はい!」


 再度、ぶつかる。氷魔法が放たれれば、炎魔法で相殺される。かと思えば、その合間を縫って弾丸が飛ぶ。

 接近されれば、ローズはひょいひょいと回避しつつ蹴りを入れ、タンザは太刀を振るって受け流したり受け止めたりして応戦する。


 ただ、タンザのアーティファクトも起動しない。それでも、太刀自体が頑丈で鋭いのと、タンザの才能か努力か扱いがうまく、それだけで戦えている。



 しばらくは善戦し、集団のうち半分ほどが倒れるまでには戦っていた。

 しかし、2人だけというのには限界がある。


(そろそろ押されてきた気がするけど、止める訳には……!)


 タンザはそう思いはじめていた。それが油断になったのか。


「そこだ!」

「うあっ?!」


 集団の中にいた、紺色の髪の少年に蹴られ、木に叩きつけられる。タンザやラピスと同い年くらいに見える少年は、おそらくアーティファクトであろう大剣を持っていた。


 タンザに追撃を入れようとする少年を牽制するように、ローズは発砲した。


「うーん、消耗してきたね。退きたいとこだけど……」


 そう呟いたローズの言葉の続きを、タンザは何となく察していた。「ラピスが居ないから下手に退けない」。

 もし今ここで退くと、最悪ラピスが1人で相手取ったりしながら逃走しなければならなくなる。


 消耗してきたとはいえ、すこし追い詰められつつあるとはいえ、満身創痍という訳では無い。

 しかし、このまま続ければ消耗しきる可能性が高い───特に、相手のリーダー格の男と、紺色の髪の少年がなかなかに強い。


「どうすれば……」


 タンザが呟いた時、どこからか『ガンッ、ガンッ』という音がした。

 なんの音だと思えば、それは背後の崖に向かっておよそ右側の地面からしていることに、その場にいた者は気付いた。リーダー格の男を除いて。


「……キミ達、何か仕掛けたのー?」


 疑いの目で、ローズはリーダー格の男を睨む。が、リーダー格の男は「は?」といった様子でローズを睨み返すばかりだ。


 音は一時的に止んだ。かと思えばその瞬間、タンザは何だか嫌な予感がした。



 そして、その予感は見事に的中することとなった。


 ドゴン!という音とともに、地面が吹っ飛ぶ。吹っ飛んだ地面には何やら鉄の板らしきものがついており、それごとリーダー格の男へ吹っ飛んだ。


「げぶっ?!」


 地面と鉄の板らしきものの下敷きになったリーダー格の男は、身動きが取れないどころか、右手以外埋まってしまって息が出来ないのか、片手だけでもがいているのが見て取れた。


 そんなリーダー格の男の事など気にとめず、タンザとローズ、それからまだ立っている集団の残りはあいた大穴へと注目した。


 その中から出てきたのは、タンザ達と同じ軍服を着た少女─────ラピスと、白いローブを纏った長髪の見知らぬ人物だった。



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