きれいになるほど重ねた演技
今回は違ったものを書いてみました。
タイトルは読んでいただいたら意味がわかるかな?って感じです
「ごめん待たせたね」
「いえ、あなた様にこの寒い中待たせれるのはいつものことなので。ギル伯爵」
「ん?それは嫌味のつもりかい?」
「いえ、滅相もございません。ではどうぞ。」
「ん、いつもありがとね」
「今日はどちらへ?」
「そうだね・・・まあ、いつもの市におねがいできるかい?」
「またですか。あそこの人たちは伯爵様のことをよく思っていない人も多く・・・」
「いいから、行ってくれるかい?」
「、、、かしこまりました」
貴族、平民、そしてそれ以下。
そんな、どうでもいい制度を気にしている人々が多くはびこっているこの町は表向きではとてもきれいな街だ。そんな、表だけのこの街だから、差別はもちろん貧困の差で優越が付いており残虐な殺戮、人身売買などは日常茶飯事で起きている。
そんな街でも、子供という存在は無邪気にただ純粋に生きていて、あまりにもまぶしい。
「ギル伯爵つきました。」
「はい、ありがとね。じゃあ、少ししたら戻ってくるから待っててね」
「了解しました」
そんな、自分の安否を心配するまなざしを気にしながら今日もこの、よどんだ街を進んでいく。
行きかう人の目線はとても気持ちのいいものではないが、そんな目線を他所に町の真ん中にある青果店の前で足を止めた。
「いらっしゃいませ!あ!お兄さん今日も来てくれたんだ!」
そういってかけよってきたのは、棚に果物を並べているま歳は九つくらいの女の子。顔までフードをかぶって体も布で覆われているためよくは見えないがところどころから見える肌は、健康的ではなく骨ばっていた。髪もボサボサでとても手入れされているとは思えず、他の同い年比べて小さく見えた。まさにこの町でいう
”それ以下”に当てはまっていた。
「こ、こら!お客さんに話しかけるなとあれほど、、、」
そういって駆け寄ってきた店主はその子を引きずると
「ああ、ギル伯爵でしたか!毎度ありがとうございます」
「なんで、あの子を奥にやったのかな??僕はあの子と話していたのだけど」
「いえ、何をおっしゃいますか!毎回言っておりますが、あの子はとても伯爵様と会話できるような身分ではないですよ。あ、いつものですね用意してありますよ。」
徐に紙袋を渡してきた。
「では、お代のほうを」
そういい、手を出してきたため
いつもより力強く代金を手の中に入れ込み店を出てきた
「お兄さん!今日もありがとう!また明日もお願いします!」
奥から駆け出してきてフードを脱ぎ笑顔で駆け寄ってきた
「ああ、また来るよ。だから、またお願いね。」
「うん!」
この町でまだこんなにもまぶしい笑顔が見れるのか。そんな、今でも焼き切れるような思いを抱いて
来た道を戻った。
「ごめん、今日も待たせたね」
「いえ、お気になさらず」
「じゃあ、いつもの場所で」
「了解しました」
いつもと同じ時間を経てたどり着いた青果店はいつもと違った人だかりができていた。
「私の娘は一体どこへ行ったの!昨日から帰ってこないのだけど!」
「奥さん。そんなこと言われてもわっからないよ。こっちも朝から来ないで品出しが進まなくて困っているんだよ」
そう、店の前で口論しているのは歳は50ほどの女性だ。服装はあたかも今朝下したような少し派手な格好をしている。
「そんな、、、きっと昨日の帰りに人売りにさらわれたのよ!」
そういうと地面に崩れ落ちた。
そんな彼女に近づいて
「そこの、奥様どうしましたか」
「ああ!ギル伯爵様!私の!私の娘が人売りにさらわれてしまって!」
そこまで言うとまた泣き崩れた
泣き崩れている奥さんの顔を手であげ
「ああ、奥様なんてきれいな涙なんだ」
「伯爵様今なんと?おっしゃいました?」
顔をあげられた奥さんは睨みつけながら言った
「いえ、ですから。あまりにもきれいな涙だったのでつい感想を。きれいな涙と」
「なんなんですか!人の娘なんてどうでもいいってことでしゃうか!最低!」
そういうと、ひれ手打ちをして泣きながら走っていった。
「なんて人なんだ」
「信じられない。あんな状況であんなこと言える?」
「やっぱり、あの人おかしい」
「人の心を持ってるのか」
流石に、全力のビンタは痛かったが立ち上がって
「では、店主。今日は帰りますがまたお願いしますね」
それだけ言っていつものように来た道を戻った。
陳列棚はきれいに陳列されていた。
「ああ、ごめんね今日は」
「いえ、今日は町のほうへ行かないのですか?」
話しているのは屋敷の自室
「ああ、うん。それより今日は調べごとをお願いしたくてね」
部屋に立ち込める煙がドアを開けるとともに廊下に流れていった
「ああ、お待たせしたね」
「いえ、暑い中待つのも悪くないなと思っていたところでございます」
「それは、嫌味つもりかい?」
「いえ、滅相もございません。今日の行先は”町はずれの貧困街”でいいでしょうか?」
「うん、お願い」
橋を渡った瞬間から空気が変わった。路肩にはボロボロの服を着た人が横たわっており、配給のごみと思われるごみからは異臭が放たれてる。
そんな道をしばらく歩いたところに、肩に鞄をさげ何か言っている小さい子がいた。その子に近づいていくと、年はわからないほど痩せていたがかろうじて女の子であることはわかった。その子は片方しかない腕でカバンを押さえながら、中に入っている小さな成りかけのりんごを交互に見ながら
「り、りんごはいりませんか」
その子に近づき、しゃがみこんで
「そのりんごかってもいいかい?」
その、少女は渡さてたお金を見て
「こ、こんなに高くないです」
「いや、いいんだよどうしてもこのりんごが食べたいんだ」
その、小さな手には持ちきれないほどの紙をその子に渡した
「あ、ありがとうございます。これだけあればお母さんに、、、」
そこまで言いかけて少女は顔を上げて
「あれ、お母さんってどこにいるんだろう」
読んでいただきありがとうございました。希望と絶望の差し引きは本当にゼロなんでしょうか。
話は変わりますが連載の4話は次回投稿します